社外活動から何を学べる?コトづくり大学主催イベントレポート
今回のイベントレポートは、コトづくり大学の事務局スタッフである私、水溜智士(みずたまり さとし)が記事を書きます。私自身は、通信キャリアでエンジニアとして働きながら、“境遇に関わらず、やりたいことに挑戦できる社会”を目指して、NPO法人かものはしプロジェクトの社会人ボランティアマネージャ、NPO法人a-conの事務局スタッフ、そしてこのコトづくり大学の事務局スタッフをおこなっており、社外活動をしているからこそ見えたことを、自分の観点と照らして皆さんにお伝えしたいと思います。
2018年1月27日(土)に、任意団体コトづくり大学主催の講座「社外活動が本業の質を高める!実践者のチャレンジと工夫から学ぶキャリアアップの秘訣」を開催しました。
皆さんは、ボランティアやプロボノなどに参加されたことはありますか?参加経験が無い方は、「自分へのメリットって何だろう?」、「自組織の仕事にどう活かせるんだろう?」と疑問があるかもしれませんが、参加経験が有る方でも意外とはっきり答えられる人って少ないのではないでしょうか。
コトづくり大学では、プロボノなど社外活動の経験が無い方も有る方もそんな想いを持っている方に対して、実際に社外活動を通して本業に活かしている人を招き、経験を共有することで、少しでも役に立ちたいと考え、今回の講座を実施しました。これまでソーシャルプロジェクトマネジメントを学ぶ講座や、ソーシャルプロジェクトへ取り組む上での心構えを学ぶダイバーシティプロジェクトマネジメント講座などを実施しており、今回は第3弾の企画となります。
私たちは社会人プロボノの有志メンバーで運営しており、多種多様な仲間と自発的に日常からちょっとした変化を生み出し、自分のいる組織や社会をより良くしていくことが“コトづくり”だというコンセプトを掲げ、そんな想いを持つ人材の輩出を通して、「コトづくり」に溢れた世の中にすることを目指しています。
どのような「社外活動」があるのかを知る
当日は大きなテーマを2つ設けてパネルディスカッション形式で進行しました。 1つ目は「どのような社外活動を経験したか?」。登壇者はコトづくり大学から1名、ゲストとして3名をお招きし、以下の4名で実施しました。
きっかけも様々で山崎の例で言うと、会社から強制的に「社会貢献活動しましょう」というアナウンスがあり、障がい者就労支援NPOや国際教育支援NPOのサポートを行いました。自身の動機としては、若い時に越境学習をして、人・物・金が豊富ではないNPOなどでの経験がビジネスマンとしての自己を成長させるという理由が強かったそうです。
藤田さんは、IT会社に勤めながら震災復興支援を行いました。藤田さんの場合は、元々はボランティアに興味が有った訳ではありませんが、ご自身が難病にかかったことで自分は受援者だと実感し、自分のできることを続けて、受援者自身がサポートをするという好循環を作りたいと考えたそうです。
藤澤さんの研究現場からは以下のようなコメントがありました。
個人の参加動機の視点では、大きく3点存在し、社会の役に立ちたいなどの「社会貢献・大人の社会科見学」、自分のスキルや問題意識を社外で試したいなどの「大人の武者修行」、共通のテーマに関心を持つ仲間と集まりたいなどの「大人の部活動」に分けられるそうです。また、組織の動機としては、CSRや従業員への機会提供という動機、NPOの動機としては、社会課題への理解者・共感者を増やすという動機があると考えられるそうです。
「社外活動」が自分の仕事にどう活きているか
続いて、2つ目のテーマは「本業に活きているコトは何か?」です。
一ノ関さんからは、社外活動において主体性は必要になるが、会社の中でも主体性を発揮できるのでないかと感じ、社内で実践してみたところ意外と上司に止められないことに気付いたそうです。社外活動では学校の先生のIT支援などを通して、会社とは違って直接サービスを受ける人に対面する事が多く信頼を得ることもできやりがいを感じたそうです。社外活動を通して仕事を「自分事化」するという仕事に対する新たな姿勢を体感できた様子です。
また、周りの人との関わり方にも、人にどう動いてもらうかを大事するという変化が訪れました。
社外活動におけるプロボノ等では、お金の関係性が無いので、その人にどうしたら動いてもらえるかを考える必然性が出てきます。自分や他人のやりたいこと、自分がやらなくても良いことを考え、プロボノでも本業でもプロジェクトに入る時に、そのプロジェクトにかける想いを聞いてみることが大事だと考えているそうです。
また、社内の新人研修の時に「以前より接しやすい社員が増えたな」と感じたことを周りの人に話したところ、「おそらく周りが変わったのでなく一ノ関さん自身の人との関わり方が変わったのでないか」という意見を頂き、自分自身の変化も実感していました。
山崎の場合も、勉強になった例として、NPOのサポートなどでは色々なメンバーが存在していて前提が全然違うため最初にみんなの気持ちを合わせるマインドセットを行ったことを挙げました。
同様に社内会議でも社員の意識を同じ目線にすることが大事と思い、実践をしているようです。
藤田さんも、震災復興プロジェクトを、東京の友人、地元の名古屋の友人、会社の友人という経由で、色々な人に広げて聞いていきましたが、社内の場合でも、良い他社事例をどう社内に納得してもらうかが難しかったりしていて、多くのチャネルを持っておく大切さなどを学んだそうです。
藤澤さん曰く、「会社のメンター制度などより、社外活動をすることによって視野が広がり、よっぽど成長できるのではないか」との事です。
藤澤さんから研究現場のコメントをもらいました。
本業への活かし方についても、研究現場からの声を伺いました。社外活動など越境をすることでの学びが多くあります。
そもそもビジネス活動とソーシャル活動では様々な違いがあります。ビジネスでは1から100を生み出す為の部門間連携が比較的大事な一方、ソーシャル活動では0から1を生み出す為のニーズとのマッチング存在証明が比較的大事であったりします。
こういった違いを体験することで“当たり前じゃなかった”ことが見え文脈を横断し、自明視されていたものに気付き、何が出来て、誰・何と繋がっていて、何者で、何者になりうるかという「自己イメージの変化」を学ぶことができるとのことです。
越境を通して本業に戻るとは、異物になった自分を抱えて組織に戻ることで、仕事におけるやり方/関わり方/在り方を変化させることや、仕事の「私」事化や「志」事化、関心や問題や熱意などを共有する学びを得る事ができます。
ボランティアやプロボノなどの社外活動における「自分へのメリットって何だろう?」、「自組織の仕事にどう活かせるんだろう?」
読者の皆さんもこの答えのヒントは見つけられましたか?少しでもお役に立てたらスタッフ一同嬉しいです。
本講座の参加者からは以下の様な声を頂きましたので、ご紹介致します。
・「育休をきっかけに社外活動に興味を持ったというところが、印象的でした。何かとこのような活動は大々的な事をしなければならないと思っていた。身近な事、自分の興味から広げていく事もできるのかと思えたし少しとっつきやすく思えた」
・ 「現在、現場のマネージャーをしている中で、『どうせやるなら楽しく成果出したい』と思っていたので、来期の担当を決める前に、『何を活かしたいか』をアンケート取ってから決めようと思います」
・ 「やってみれば意外とできる。今まさに自分がやろうとしているのがこのフェーズなんだと思った。社内の複数のチャネル(コミュニティ)も複数作り始めている所。でも目的が明確なプロジェクトではないので、どうやってコミュニティの仲間に楽しんでもらうか、いい繋がりにしていくか不安もあるけど、とにかくやろうという想いも強くなった」
今後は、プロジェクトマネジメント実践編として経験者の成功事例やしくじり事例をテーマとした講座を企画中であり、講座開催を通して、日常から変化を生み出す“コトづくり”をするための活動をしていきます。コトづくり大学は、社会人プロボノの有志メンバーで運営しています。今後も講座開催を通して、コトづくりをする人材の輩出をし、「コトづくり」に溢れた世の中にすることを目指します。ぜひ、コトづくり大学をフォローください。
◆コトづくり大学 https://www.facebook.com/kotozukuri/
◆過去開催のイベントレポート
・第1回講座「ダイバーシティプロジェクトマネジメント ― AI時代を生き抜くために必要なスキル?」イベントレポート
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