『二枚目の名刺』と『セカンドキャリア』について / 立花祐子さんインタビュー
今回は、以前「二枚目の名刺」にご参加いただき、現在、セカンドキャリア(定年後の社会人人生)として、「ホットクックを使った時短料理」を発信されている立花祐子さんに、「二枚目の名刺」と「セカンドキャリア」についてインタビューをさせていただきました。
「二枚目の名刺」に参加したきっかけや活動について教えてください。
最初は、好奇心から二枚目の名刺さんとNTT西日本さん主催の関西説明会に参加しました。
3つのNPOさんの紹介があり、その中でホームレスの支援をされているHomedoorさんとご縁があり、3ヶ月のプロジェクトとしてお手伝いさせていただきました。
活動は、「ホームレスの方の社会復帰をサポートする」というHomedoorさんの目標に基づき、ホームレスの方の収入となるレンタル自転車駐輪スポットを増やすことでした。メンバー6名は、皆、初対面でしたが、短期間で仲良くなり、それぞれが強みを出し合ってプロジェクトを進められました。
「二枚目の名刺」の活動は、若い方もいれば、ビジネス人生の定年前などのタイミングで今後何か違うことをしてみたいと参加する方も結構いらっしゃいます。現在、セカンドキャリアとして色々ご活躍の立花さんから見て、「二枚目の名刺」は、「セカンドキャリア」模索の場として、どのように感じられましたか?
1つ目は、その人に何らかの社会課題を解決したいという「強い思い」があり、そのために何かしたいと思っているのなら、「二枚目の名刺」活動を通して、その課題に取り組んでいるNPO活動に参加してみるのは、とても意義があるのではないでしょうか。実際に活動してみると、その課題に対する自分の“熱量”の確認ができると思います。
2つ目は、役職にとらわれないフラットな関係の中で、別の会社・異なるジェネレーションの方から学びを得ることができる場でもあると思いました。自分の会社・自分の部署では常識だと思っていることが通じなかったり、10歳、20歳くらい年齢が離れた方と、上司部下の関係でなく一緒に活動できるのは新鮮な体験でした。
3つ目は、自分はどんなことが得意か、何がフィットしそうか試すには最適の場所だと思いました。私の場合は、目標を決めて全体を見渡して進めることが得意ですね、と言われました。 他のメンバーは、それぞれ素晴らしい知識やスキルをもっておられ、そこからの新しい学びや気づきもたくさんありました。
よく、自分の強みややりたいことがわからないという方がおられますが、自分の強みは自分では気づかないことが多いので、「二枚目の名刺」のような、いつもと違う土俵でいろいろ試してみるとそれが発見できるのではないかと思います。
「セカンドキャリア」についてお伺いします。 「セカンドキャリア」を考える上で、影響を受けた人生の出来事などはありましたか?
30代前半に、会社から6ヶ月間イギリス支社に赴任する経験をさせていただき、そのときの体験が考え方の土台になっている気がします。イギリス支社は、皆、朝7:30くらいに出社し、帰るのは4:30ぐらい。帰宅後、子供と遊んだり、地元のサッカークラブに連れて行ったりした後、家族揃って夕食を食べ、それから、夜に仕事する人はするし、くつろぐ人はくつろぐなど人生をトータルで考え、仕事とプライベートの時間をうまく配分していると感じました。
日本だと、特に当時(約25年前)は、今より社会全体として「会社第一」で、1日24時間から会社に使う時間を引き算して、残りが自分の時間という思考だったと思います。
当時から欧米は、男女とも家族のために早く帰るのが普通、もちろん担当プロジェクトで忙しくままならない時期もありますが、基本的には残業する人は要領が悪い、と考えられているようでした。日本のように「残業代」がないこともこの思考に影響していると思います。
これに影響を受け、帰国後は、朝4時くらいに起きて、早く出社し早く帰って子供と過ごし、早く寝ることにしました。つまり、時間やエネルギーの使い方として、仕事で使った残りからやりくりするのではなく、最初から、会社・自身への投資・家族・趣味と配分して考えるようになりました。
その時に身につけた「時間配分」の考え方は、セカンドキャリアを考える際にどのように生かされていますか?
この時間軸を自分の人生の時間に置き換えて考えてみました。すると、これから大切なのは、家族以外では、「健康」「友達」「お金」だと思いました。これらをマネージするために、自然に自分の時間の優先順位をつけ始めたと思います。ごはんは、何歳になっても自分でお料理をして、しっかり食べて体力を維持したいし、足腰を鍛えたくて山岳会にはいり、仲間と山行を楽しんでいます。また、お金のことをもしっかり管理したくて、ファイナンシャルプランナーの資格もとりました。このようにいろいろ動いていると、新しいコミュニティも増えて友達も自然に増えていきました。
自己流でいろいろ試していた「ホットクックを使った時短料理」を発信し始めて、ありがたいことに最近は、教えてほしいとお声がけいただくことも多くなってきました。時短料理を教えることは、健康、友達、お金と私が大事にしたい3つとシンクロしていたことに、あとになって気づきました。お料理を教えることが収入になるかどうかはまだまだこれからですけど(笑)
人生100年時代ですから、100年トータルの人生時間をいろいろ考えたときに、自分にとって大事なことを明確にし、時間とエネルギーを最初に配分して、日々の忙しさで流されないようにしたいと考えるようになったと思います。
最後に、立花さんは、定年後に「働くこと」をどのように捉えているかお聞かせください
私のようなサラリーマンは、「働くこと」=「会社」と考えてしまいがちですが、最近はそうではないと思い始めました。私は、70歳、80歳になってもその年齢なりにできることで、社会に関わっていられたら幸せだと思っています。例えば、おじいちゃん、おばあちゃんが孫の世話を手伝って、若い世代の時間を作ってあげることも「働くこと」だと思いますし、地域のために自治会での活動を行うこともそうだと思います。歳を経ても何か自分ができることを見つけて、働いていたいです。そして働く時間があってこそ、それ以外の遊びの時間も全力投球できる気がします。 私は定年後、人生100年時代を見据えて、自分でこれらの時間コントロールができる生活をめざしたいと思っています。
本日は貴重なお話ありがとうございました。
「二枚目の名刺」の活動経験が、セカンドキャリアを考える上で役に立ったとお伺いすることができました。
また自分の人生に大切な要素を見いだし、逆算して必要なものを考えて、それらを組み立てるために自分の時間をつくっていく大切さのお話、とても参考になりました。
ライター
編集者
カメラマン