福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト Vol.3 –プロジェクトデザイナーが語る、福島での伴走のリアル

(TOP写真:二枚目の名刺ポーズで!左から渥美 敬之(たか)、桐ヶ谷 綾菜(きりさん)、小松 直樹(こまっちゃん))
東日本大震災から約15年。
復興の歩みが続く福島12市町村では、今も地域の未来をつくる挑戦が続いています。
本プロジェクトでは、地域団体と都市部のプロボノ人材がチームを組み、約3ヶ月間にわたる共創を行いました。その中で、プロジェクト全体を支えたのが「プロジェクトデザイナー(伴走者)」の存在です。
Vol.1では参加3団体の声を、
Vol.2では主催・運営の振り返りをお届けしてきましたが、
今回は、プロジェクトデザイナーである、
cotohanaチームの小松 直樹(こまっちゃん)、
nononowaチームの渥美 敬之(たか)、
いのちとぶんか社チームの桐ヶ谷 綾菜(きりさん)、
3名の対談を通して、福島という場でのリアルな体験と、伴走のあり方の変化について掘り下げます。
現地で関わることで見えたもの
──福島を舞台に、リアルで関わったからこそ感じたことは?
こまっちゃん:
やっぱり、プロジェクトのキックオフ時点で、プロジェクトメンバーと団体関係者が現地で会えるっていうのはすごく大きかったですね。メンバー同士も団体との関係性も、オンラインに比べて圧倒的に作りやすかったです。
さらに2日目に被災地の現場を目の当たりにしたことで、「このプロジェクトを成功させるんだ!」という気持ちをみんなで早い段階から共有できたことも、プロジェクトが円滑に進んだ要因として大きかったと思います。
たか:
僕はこれまでオンラインでしか、デザイナーの経験がなかったので、今回が初めてのリアルだったんですが、全然違うと感じました。
現地には3回足を運びました。宿泊地から現地への車での移動の中で、団体の方たちとの何気ない会話中で、団体の現状や活動に対する「想い」の理解が圧倒的に深まるんですよね。
あと、プロジェクトメンバー間の関係性も深まり、プロジェクトに対する一体感も生まれました。。参加メンバーは年齢もバラバラでしたけど、最後は冗談を言い合えるくらいの関係性になっていて、「プロジェクトとしてのまとまり」が、オンラインでの活動に比べて、とても良くなっていました。
きりさん:
私は「リアル」と「福島」という2つの観点で印象的でした。
まずリアルの部分でいうと、オンラインでの活動に比べて心理的安全性が高かったですね。本音で話せる環境作りができたことで、メンバー間で活発な議論ができたと思います。、実際に社会人メンバー同士で集まって、深く話す場も生まれていました。
もう一つは福島という場所そのものです。
「復興」という言葉一つとっても、外から見たイメージと現地の感覚が全く違っていたんです。私たちは、震災から15年も経ったことから、復興が進んでいると思っていたんです。でも、実際に被災現場を見たり、地元の方たちから「まだ、震災前の生活に戻っていないんです」という話を聞き、ギャップの大きさに驚きました。やはり、実際に現地に行ってよかったと思います。
デザイナーとしての関わり方はどう変わったか
──今回のプロジェクトで、デザイナーとしての立ち位置や関わり方に変化はありましたか?
たか:
福島だから変えたという訳ではありませんが、今回のプロジェクトでは自分自身の関わり方を変えようと思って入りました。
通常のプロジェクトでは、デザイナーはあまり介入せず、プロジェクトの社会人メンバーの判断に任せるスタイルだったんですが、今回はもう少し積極的に関与しようと思いました。
結果的に、リアルだったからこそ関われる場面が多くて、プロジェクトメンバーとの距離もかなり近くなりました。
きりさん:
私は、今回の福島プロジェクトで初めてデザイナーとして参加しました。たかさんとは違い、私は逆にあえて「何もしない」デザイナーとなることを意識しました。
普段は、プロジェクトが円滑に進むように、イニシアティブを取って進める役割を担いがちなんですが、それをやるとプロジェクトメンバーが主体的に活動しないのではないかと思ったからです。
だから、「結論を急がず、あえて判断しない」ということを心がけて、プロジェクトをサポートしていました。
結果として、プロジェクトメンバー自身が主体的に動いてくれて、プロジェクトとしても、円滑に回っていけました。
こまっちゃん:
私はかなり、プロジェクトに積極的に関与しましたね(笑)
福島で活動している団体と実際に関わる中で、「この団体は本当に大事なことをやっている!」という実感が強くなり、自然とこのプロジェクトへの熱量が上がったんです。
なので、団体の方やプロジェクトメンバーが妥協しそうな場面では「本当にそれでいいの?」と問いかけたり、アウトプットの中身にもかなり踏み込みました。
デザイナーとしての役割の線引きは意識しつつも、「関わる以上はより良いものを」という気持ちで動いていました。
福島での経験が、これからの“関わり方”を問い直す
──この経験は、今後のプロジェクトとの向き合い方にどんな影響を与えそうですか?
きりさん:
今回、福島のプロジェクトにデザイナーとして参加し感じたことは、「団体のコンセプトや未来像が明確になっていることが大切」ということです。コンセプトや目指すべき方向が、団体とプロジェクトメンバー間で一致していると、プロジェクト終了後も継続して関係が続く傾向にあるとわかりました。
また、福島に貢献したいという想いは大事なんですが、それだけだとプロジェクトのゴールが曖昧になってしまい、「やって満足」で終わってしまうということにも気づきました。
今回のプロジェクトでは、「3カ月後だけでなく、その先を見据える」という視点を、メンバー全員が持てたことが、成果につながったと思います。そして、今も団体とプロジェクトメンバーの関係が続いていて、関わり続けること自体が価値なんだと感じています。
たか:
やっぱりリアルで会うことの重要性を強く感じました。
今後オンラインのプロジェクトでも、意識的にリアルの場をつくることで、団体とプロジェクトメンバー間の関係が深まり、よりよい成果を出すことができるのではないかと思います。
こまっちゃん:
私も同じくリアルの力は大きいと感じました。
加えて、プロジェクト終了後も関わり続けられる仕組みをつくることが大事だと思っています。
振り返りや1on1などを通して、「その後の関わり」が生まれる設計をしていきたいです。
未来の伴走者へ
──最後に、今後このプロジェクトにデザイナー(伴走役)として関わる方へのメッセージをお願いします。
きりさん:
私は初めてのデザイナーで、しかも初めてのリアルプロジェクトでしたので、団体や社会人メンバーに助けられてやり遂げることができました。
まずは参加してみること。それが一番大事だと思います。
こまっちゃん:
福島プロジェクトは、二枚目の名刺の価値にいち早く触れられる場だと思っています。
ぜひ臆せず、積極的に関わってみてください。
たか:
デザイナーの関わり方に正解はありません。
伴走者として、関与するスタイルも人それぞれ。
ぜひ自分の持ち味を活かして、楽しみながら取り組んでほしいです。
編集後記:関わることで生まれるもの
今回の対談を通して強く感じたのは、「福島」という復興の地で伴走することの意味でした。
現地に足を運び、同じ景色を見て、同じ時間を過ごす。
その中で生まれる言葉や感情は、オンラインでは得られないものばかりです。
「復興」という言葉の捉え方ひとつとっても、現地で初めて気づく違いがある。
そのリアルに触れることが、関わり方そのものを変えていくのだと感じました。
だからこそ、このプロジェクトは人と地域が本当の意味で出会い、関係性を築いていくプロセスだったのではないでしょうか。
福島での経験が、これからどんな広がりを生んでいくのか。
その続きにも、ぜひ注目していただけたらと思います。
関連リンク:
福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト Vol.1 — 参加3団体に聞く”3カ月間の共働のリアル”
福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト Vol.2 — 主催・運営が振り返る、共働プロジェクトの手応え
二枚目の名刺の活動については
こちらでも紹介しています。
NPO法人 二枚目の名刺 公式サイト
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