“2枚目の名刺”を 人生の選択肢にする 〜「自分を変える」ことが、社会を変えることになる〜

NPOとの協働を通じた越境体験の場を提供する「二枚目の名刺」。代表の廣 優樹(以下、ひろ)と、15年来のメンバーである大山 みのり(以下、みのり)が、活動の意味とこれからの選択を語り合いました。
※2026年4月25日にオンラインで実施いたしました、
『第43回二枚目の名刺ってなんなん?』のトークセッションを元に記事にしております

二枚目の名刺 代表。
2009年にNPO二枚目の名刺を立ち上げ。組織や立場を超えて社会を創ることに取り組む“二枚目の名刺”を通じて、社会人・ソーシャルセクター・企業が同時に変化するモデルを提唱。NPOと学生・社会人が協働するNPOサポートプロジェクトは、参加者の90%以上が変化・成長を実感する形に進化。誰でも手を上げたら取り組める良質な越境プログラムとして、企業・行政とも連携しながら展開している。日本銀行、経済産業省を経て、現在は商社で事業開発・投資にも従事。4人の娘の父。

二枚目の名刺 理事。公認会計士。大手会計事務所を経た後、個人で独立。会計事務所を営むかたわら、グロービス経営大学院にて講師登壇する。二枚目の名刺には立ち上げ当初から関わり、現在は 理事および事業管理・経理財務面を担当する。「二枚目の名刺」は、様々な業務を行う自身にとって 1 本通った「背骨」となるような存在であると感じている。
副業、地域活動、ボランティア—本業以外の場で活動する人が増えるなか、「二枚目の名刺」は2009年の設立以来、社会人がNPOをサポートするプロジェクトを通じた越境学習の場を作り続けてきました。単なる社会貢献ではなく、「自分を変えるプロジェクト」として打ち出してきたのが、この活動の核心です。
1:NPOと関わることのユニークな価値
ひろ: NPOとの協働がユニークだと思う点は、大きく2つあります。一つは、社会課題に向き合っているNPOの方のパッションやビジョンに直接触れられることです。それが自分の価値観を揺さぶって、「自分は本当は何をしたかったのか」と改めて考えるきっかけになります。もう一つは、会社の肩書きがない場で、「自分は何者か」を問い直せること。副業や地域活動など越境の機会はいろいろありますが、NPOとの協働だからこそ生まれる変化があると思っています。そうした思いを込めて、NPO二枚目の名刺として初めて開催したCommon Room(注:NPOと社会人のマッチングイベント)のイベントチラシには、「自分を変える、社会を変える、笑顔になる」というメッセージを掲げたんです。
みのり:私も全く同じことを感じています。2009年の最初のNPOとのサポートプロジェクトに、プロジェクトリーダーとして関わりました。助産師さんが立ち上げた地域の妊産婦支援の団体をサポートするもので、7名のメンバーで3ヶ月間、本当に手探りで何回も何回もメンバーと議論を重ねながら活動を行いました。でも、プロジェクトをやりきって発表会を終えたとき、すごく充実感がありました。サポートした団体の方からも「自分たちの活動が価値を持っているんだと実感できた」というフィードバックをいただいて。NPOの方の情熱は、1枚目の世界で感じるものとはまた少し違う。その刺激が、本当に大切な体験でした。
2:多面的な「私」が、自分らしさを作る
みのり:新しい人に出会ったとき、「何をされているんですか」と聞かれると、最近は即答できなくなっています。会計士、経営大学院の講師、企業の役員、二枚目の名刺の活動、子育て、……どれを切り取っても、一つだけでは私にならない。この組み合わせの重なったところが私なのかな、と思っています。しかもそれぞれが独立していなくて、大学院で二枚目の名刺で行っている活動の話をすると学生が興味を持ってくれたり、顧問先の方から「以前プロジェクトに参加しました」と声をかけていただいたり。全部がつながって、いい効果を生んでいるんです。
ひろ:大事なのは、与えられるものをこなすのではなく、自分で選んでバランスを取る感覚を持てるかどうか。誰かの役に立っていると感じる瞬間と、自分がここにいる意味があると感じる瞬間が重なったとき、活動が義務じゃなくなって「続けたい」という気持ちに変わっていきますね。
3:「変化・成長を実感した」94%が証明すること
二枚目の名刺の活動に参加した社会人の94%が「変化・成長を実感した」と回答。93%は「自らの成長のため」に参加していると答えながら、82%が「社会課題を解決したい」という意欲も持ち合わせています。「自分のため」と「社会のため」が、矛盾なく両立しているのです。
ひろ:変化は、うまくいかなかったときに生まれます。自分のやり方が通じなかったとき、相手の反応が想定とずれたとき —そのずれと向き合って初めて、人は自分を問い直す。だから良質な越境体験には、失敗が許容される場であることと、振り返りの機会があることが大事だと思っています。社会課題の解決には明確な正解・正攻法がまだありません。言い換えると、うまくいかなくてもそれは失敗でもない。越境して学びを得たい、自分の何かを変えたいと思われるのであれば、越境を通じて、試行錯誤と挑戦ができるか、というのは見極めポイントになると思います。
4:「いつか」ではなく、今日決める
みのり:15年前に始めるとき、本業があるなかで自分にキャパシティがあるか、正直不安でした。でも、あの小さな一歩がどんどん新しい自分を生んできた。少しでも興味を持っていただいた方には、小さな一歩からでもぜひ始めてみてほしいと思います。
ひろ:10年前も忙しかったし、10年後もきっと忙しい。「いつか」を今日と決めた人に、機会が訪れるんだと思います。自分の人生のオーナーシップを自分が握れているか—2枚目の名刺をもつというのはそのための手段の一つ。ぜひ選択肢として考えてみてもらえればと思います。
編集後記:小さな越境が、自分を変えていく
今回の対談を通して印象的だったのは、
お二人とも「特別な挑戦」を語っているわけではない、ということでした。
本業があり、忙しさや不安もあるなかで、
それでも少しだけ外に出てみる。
誰かと関わり、新しい価値観に触れてみる。
その“小さな越境”の積み重ねが、
結果として今の自分をつくってきたのだと感じました。
特に印象的だったのは、
「会社の肩書きがない場で、自分は何者かを問い直せる」
という言葉です。
日々の役割や肩書きの中で生きていると、
いつの間にか「自分自身」でいる感覚を見失ってしまうことがあります。
だからこそ、本業とは異なる場で、
誰かの想いに触れたり、試行錯誤したり、
うまくいかなさと向き合ったりする経験には、
人を変える力があるのかもしれません。
「いつか」ではなく、まずは小さな一歩から。
この記事が、
自分のこれからを少し考えてみるきっかけになれば嬉しいです。
二枚目の名刺が提供する越境体験やサポートプロジェクトについて詳しく知りたい方は、こちらの紹介ページもぜひご覧ください。
ライター
編集者
カメラマン
