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2枚目は楽しいけれど本業は……そんなあなたこそ、1人でもできる“働きがい改革”を始めよう!

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2枚目の名刺で行う活動は楽しいけど、1枚目の名刺(=本業)はつまらないと感じている方はいませんか? あるいは2枚目の名刺を通じた出会いや経験に刺激を受けて、新しい環境へのチャレンジを視野に入れている方もいるかもしれません。

とはいえ本業は生活の基盤なので、決断は慎重にならざるを得ないという人が多いのが現実。そこで2枚目の名刺を持つ方が、「本業も輝かせるためにできることは何か」を探るために、 “企業の働きがい”にフォーカスした事業を展開する株式会社働きがいのある会社研究所(以下、GPTW)の岡元利奈子社長にお話を伺いました。

2枚目は楽しいけれど本業は……そんなあなたこそ、1人でもできる“働きがい改革”を始めよう!

働きがい=働きやすさ+やりがい

二枚目:「働きがい」の専門家であるGPTWさんにお聞きしたいのですが、
自分の意思でやる2枚目、3枚目の活動に比べて、「本業には働きがいを感じない……」というパラレルワーカーもいると思うのです。そうした方が、会社に頼らずとも、自分で働きがいを高める方法は何かありますか?

岡元さん:もちろん、ありますよ。その前に、「働きがい」って何だと思われますか?

二枚目:「この仕事をやってよかった」と思うこと、でしょうか?

岡元さん:GPTWでは、働きがいを「働きやすさ+やりがい」だと定義しているのですが、「やってよかった」というのは、やりがいの一つですね。

二枚目:「働きやすさ」や「やりがい」には、それぞれどんな要素が含まれるのでしょう?

岡元さん:まず「働きやすさ」は、快適に働き続けるための就労条件や報酬条件のことを指します。一方で「やりがい」は、仕事に対するモチベーション、つまり成長感や達成感、チームワークや誇りなど、仕事の楽しさや仕事を通じた変化によるものです。私たちの考える「働きがいのある会社」とは、「働きやすさ」と「やりがい」の両方が備わった組織のことです。

二枚目:近年よく聞く「働き方改革」と、これらの「働きやすさ」や「やりがい」は、どういう関係にあるのでしょうか?

岡元さん:現在多くの企業で取り組まれている「働き方改革」に関する施策は、「働きやすさ」を高めるためのものが多いと言えます。もともと「働き方改革」は、生産性の向上を目的に提唱されたものなのですが、現在の取り組みは、労働時間の削減や、働く場所の自由度を高める施策に偏っていると思います。でも、ただ働きやすい環境を用意しただけでは生産性は向上しません。生産性をあげようと思うのであれば、働く人が仕事を楽しいと思えるか、仕事に誇りを持てるかなど、「やりがい」も非常に大事なファクターになるはずです。

二枚目:確かにニュースで取り上げられるのは、残業時間削減やリモートワーク推進の話題など、「働きやすさ」に関するものが多い気がします。

岡元さん:「働きやすさ」の取り組みや変化は目に見えやすいのに対して、「やりがい」は見えにくいので、「働きやすさ」の改善からスタートする企業も多いのです。

二枚目:残業○時間削減!月給○万円UP!って、分かりやすいですもんね。でもそれだけだと働きがいは高まらないし、仕事だって楽しくならない……。会社が何かしてくれるのを待っていても仕方がないし、「やりがい」は個人でも高められるとのことなので、ぜひその方法を知りたいです! 教えていただけますか?

「自分も会社のカルチャーを創る一員である」と自覚しよう!

岡元さん:まず前提として、何に働きがいを感じるかは人それぞれです。GPTWが発表している「働きがいのある会社ランキング」の上位企業も、世の中の全ての人にとって働きがいがある会社というわけではありません。

自分がこれまでの職業人生で嬉しかった瞬間やモチベーションが上がった時などを思い出して、自分が何に働きがいを感じるのかを棚卸していくことが必要になります。

二枚目:まずは「自分が働きがいを感じるポイントを知る」ということですね。

岡元さん:そうですね。加えて、もうひとつあります。今の職場での働きがいを高めようとする場合、「信頼関係の向上」を目指してみるのが一つの方法です。

二枚目:信頼関係、ですか?

岡元さん:はい。GPTWでは、従業員から見た「働きがいのある会社」を、「従業員が会社や経営者・管理者を“信頼”し、自分の仕事に“誇り”を持ち、一緒に働いている人たちと“連帯感”を持てる会社」と定義しています。この中でも、最も重要だと考えているのが、“信頼”です。

(「働きがいのある会社」モデル 出典:働きがいのある会社研究所HP)

二枚目:なるほど。勤務している会社や経営者への信頼が重要なのですね。でも会社や経営者との信頼自分からの働きかけで変わるものでもないような気がします。どのように信頼関係を向上させれば良いのでしょう?

岡元さん:従業員一人ひとりが、「自分もカルチャーを作っている一員である」ということを自覚する必要があります。信頼関係は相互作用です。自分からの働きかけによって相手との信頼関係は変わっていきます。上司や同僚たちとの信頼関係をいかに作るのかを考えて行動することが、働きがい向上への第一歩です。

二枚目:当事者として、自ら考え、働きかけるということですね。

岡元さん:はい。そのための行動としてオススメなのが、「ギフトワーク」です。これはGift+Workの造語で、文字通り「相手にプレゼントをするような働きかけ」という意味です。

例えば職場の中で誰かに感謝してみるとか、誰かが良い成果を上げた時に周囲を巻き込んでちょっとしたお祝いをするとかでもいいかもしれません。相手の期待を上回る行動や言葉をプレゼントすることで、人との心理的な距離が縮まって信頼関係が高まっていきます。例えば、自分がやった仕事に対して、心のこもったお礼を伝えてくれる上司がいたり、良い成果に対して同僚たちがお祝いをしてくれたとしたら、相手に対する信頼は高まっていきますよね。これは相手がいかなる立場の相手であったとしても通用する話です。

二枚目:身近な人に感謝することなら、今すぐにでもできますね! そして相手が心地よく働ける環境を自ら創り出すことで、チームに気持ちの良い循環が生まれれば、自分の「やりがい」も高まりそうです。

転職する前に、今の会社で信頼関係を高めてみよう

二枚目:「本業にはやりがいを感じない」と思っているパラレルワーカーの中には、「環境を変えさえすれば……」と思っている人もいるかもしれません。でも、転職などで環境を変える前に、ギフトワークを実践してみると良さそうですね。

岡元さん:そうですね。転職の動機は様々ですが、人間関係の悩みが圧倒的に多いと言われています。もしそうだとしたら、すぐに会社を変えるのはもったいないです。

チームや上司との信頼関係が高まることで、自分たちのチームが生み出している仕事の面白さや価値が自然と語られるようになることもあります。また、そういった話を周囲と共有することで、会社や社会の役に立っているという実感を持てるようになるかもしれません。

二枚目:とはいえ、ギフトワークを実践しても働きがいが変わらないことも考えられます。ギフトワークはどのくらい続けるべきでしょうか。

岡元さん:これが、終わりはないんですよ(笑)。というのも、自分がギフトワークと思って実践したことが、相手の本当に望んでいることかは分からないからです。相手のバックグラウンドやキャリア志向を認識した上で、何がギフトワークになるのかを想像し、プレゼントとして演出するという繰り返しが必要になります。「ここまでやる」というよりも、「やり続ける」ことによって、信頼関係が向上して働きがいが向上するというグッドサイクルが生まれていくのです。

ビジョンやミッションへの共感を大切にしよう

二枚目:今の環境で働きがいを高めていけることは分かりました。ただ、それでも働きがいの棚卸をした結果「こういう仕事をしたい」などの動機で転職を強く希望する方もいると思います。そのような方が、自分にとって働きがいのある会社を見極めるポイントはありますか?

岡元さん:先ほど、「自分の働きがいを感じるポイントを知ることが大事だ」というお話をしました。それに従って、自分にとって譲れないポイントに優先順位をつけてみましょう。あとは転職しようと考えている会社で、そうした大事なポイントが満たすことができるものなのか単純に聞いてみるということが必要だと思います。質問に対して、きちんと誠意がある回答を得られない企業は自分とは合わないということでしょう。

二枚目:働きがいのある会社ランキングで上位の会社は、在籍している従業員の方にとって、働きやすさとやりがいを両立しているということですよね? 働きがいのある会社に共通点ってあるんですか?

岡元さん:ありますよ。上位企業の共通点は、ミッションやビジョンが明確なことです。自分たちが何の価値を生み出す会社や組織なのかが皆さんはっきりしています。それがどうして働きがいにつながるのかというと、捨てる仕事が決められるからでもあります。

ミッションやビジョンと関係が遠い仕事は外部に委託してしまうとか、場合によっては止めてしまうなどの取捨選択ができます。従業員のエネルギーをミッションやビジョンの実現に集中させることで、働きやすさとやりがいの両方を高めるという良い循環を実現しているんです。

二枚目:なるほど。働きがいのある会社かどうかを見極めるには、やりたい仕事かどうかということも大事ですが、企業がどんなビジョンやミッションをもって、どんな取り組みをしているかという点を注意深く見ていく必要があるのですね。

それと同時に、2枚目の名刺を持っている方の中には、自分の想いをベースに人を巻き込んで活動している方も多くいます。彼らに求められていることも、活動におけるミッションやビジョンを明確にし、信頼に満ちた環境で、それぞれの能力を最大限に発揮できる場を創ることなのかもしれないな、と思いました。

今日はありがとうございました。

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SunagaYuichiro
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フリーライター・フォトグラファー