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公務員のパラレルキャリアを推進!「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」の今

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2017年9月にスタートを切った「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」。

約3ヶ月間の第1フェーズではどのようなことが行われ、第2フェーズ真っ只中にある今、どんな動きがあるのだろうか。

「公務員プロジェクト」第1フェーズでの取り組みと、そこから見えた公務員が2枚目の名刺を持つこと に対する意識、社会のムーブメント、そして第2フェーズ以降にも続く今後の展望を報告する。

公務員のパラレルキャリアが 当たり前の社会に

民間企業では柔軟な働き方に対する理解が拡がり“副業解禁”を打ち出す企業も出てきている中で、 公務員が2枚目の名刺を持つこと、例えばNPOで活動したり、副業・兼業を実践したりすることについて、みなさんはどんな感想を持つだろうか。

「公務員って副業禁止では?」

「公平性が損なわれるので問題では?」

「そんな時間があるならもっと本業に励むべきでは ?」

と思われるだろうか。

 

あなたがもし公務員であれば、

「市民や職場の理解が得られないのでは?」

「上長の許可を取ったり、活動内容の報告をしたりするのが面倒だ」

「減給されたり、降格させられたりしないだろうか」

そんな懸念や不安が脳裏をよぎるかもしれない。

 

「公務員プロジェクト」第1フェーズの対話の場「作戦会議」に参加した方々が発していたのも、まさにこうした声だった。

中には「今日、この作戦会議に参加するために、課長の許可を取ったほうがいいのか悩んだ」という参加者もいた。

どこまでが許容され、どこからが認められていないのか、具体的な線引きがない。だから、職場や市民に公務以外の活動をしていることを知られることが躊躇され、2枚目の名刺を持ちづらいし、持つことに対する不安がある。これが、これまでに公務員がパラレルキャリアを実践しづらかった大きな理由の一つであることは明確だろう。

 

しかし、最近になって国会でこのような答弁がされたのをご存知だろうか。

「公務部門におきましても、働き方改革を進めていくことが重要であり、神戸市の事例のように、公務以外の時間を社会貢献や自己実現に資するように有効に活用していくことも有意義であると考えております」平成29年11月24日及び同12月1日 衆議院・内閣委員会・梶山大臣(国家公務員制度担当大臣)

答弁では、社会貢献やイノベーション推進という点で国家公務員の副業・兼業を推進すべきではないかという意図での質疑に対して、大臣が国家公務員が仕事以外の時間に社会貢献などをすることを有意義だと認めている。

地方公共団体でも、神戸市や奈良県生駒市で、職員が公務以外で報酬を得て地域活動などをする際の基準を設けるなど、職員が2枚目の名刺を持つことを組織として後押しする動きが出始めてきた。

「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」第1フェーズでは、こうした流れの中で、公務員がパラレルキャリアを実践しやすい雰囲気づくりをすべく、プロジェクトを一緒に進めてくれる仲間づくりと、「公務員と2枚の名刺」というテーマで対話を行うことを目的に、9月〜12月まで毎月1回の作戦会議を行った。

「公務員と2枚目の名刺」についての対話

作戦会議には毎回10名前後の参加者が集い、のべ43名が参加。国家公務員、地方公務員だけではなく、民間企業に務める方の参加があったことは、プロジェクトデザイナーである島田正樹も想定外だったようだ。

全回ともに、「公務員と2枚目の名刺」というテーマで参加者同士が対話をすることだけを目的に、フリーディスカッションやワークショップ、座談会と様々なスタイルで、公務員が2枚目の名刺を持つことについての考えを聴いていった。

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ルールで縛られていること、ルールで許されているのに雰囲気や常識に縛られていること、首長や上司の理解が重要であること、民間との違い、100年人生におけるキャリアの考え方……様々な切り口で、普段はなかなか語る機会の無い“2枚目の名刺を持つこと”についての自らの考えを伝え合い、聴き合う場となった。

 

中でも印象的だったのは、

「何かやりたいけど、どうしたらいいか分からない」

「具体的にやりたいことが定まらない」

といった当事者の声が多く聞かれたことだ。

 

「役所の中しか知らないので外に出て勉強してみたい」

「役所でも家庭でも無い個人として自分を表現したい」

「職場の再雇用の人を見て、将来に不安を覚えている」

といった職場の外での活動のニーズを把握すると同時に、当事者の声から分かったのは、2枚目の名刺が持ちにくい要因が制度や雰囲気といった外部要因だけではないということだった。“やりたいことがわからない”、“何から始めれば良いのかわからない”という自分自身の内側にモヤモヤしたものを抱えている参加者が一定数いたことが、この「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」で今後取り組むべきことを考えるヒントになったようだ 。

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“出会い”や“学び”が得られる「ポスト作戦会議」を企画

プロジェクトデザイナーの島田は言う。

「4回の作戦会議での参加者との対話を通して、具体的な行動につながる場の必要性を感じています。だから次のステップとして、テーマや目的をより明確化し、2枚目の名刺を持つための行動に繋がるような企画を実施したいと思っています」 

現在、同プロジェクトは第2フェーズ真っ最中だが、5月以降、このポスト作戦会議ともいえる新たな場を作っていくようだ。そこでは対話を重視しつつも、作戦会議で明らかになった公務員ならではの課題を意識して、それを解決する手段を提供し、次のステップとなる“具体的な出口”を提示するような場を目指していくのだという。

「公務員に限らず、2枚目の名刺に関心のある人同士が接点を持ったり、団体や活動との“出会い”が生まれたりする場を設けていけたらと考えています。またそれだけでなく、公務員に関係する法令や事例、気づき、そして自分のwill(=意志)などを“学ぶ”ようなプログラムも用意できたらと」(島田)

島田が立ち上げたこのプロジェクトは、確実に次のフェーズに進んでいるが、それは「公務員も2枚目の名刺を持ちやすい世の中にしたい」という島田の想いに共感し、プロジェクトの企画・運営者として参画したメンバーの出現や関わりによるところも大きいだろう。

 

第2フェーズ進行中、5月から第3フェーズへ

第2フェーズ(2018年1月~4月)では、公務員 目的に、現役公務員を対象とした「本業以外の活動についての意識調査」の準備が進められている。

また第3フェーズでは、ポスト作戦会議の実施に加え、プロジェクト発足当初から計画していた法令上の制約の調査や、2枚目の名刺を持って活動している公務員のインタビュー記事、あるいは自治体の先進事例などをこのWebマガジンから発信していく予定だ。

公務員が組織を越えた活動を“当たり前”にしている、そんな未来に向けて、確実に歩みを進めている「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」。

意識調査では、どのような結果が見られるのだろう。

公務員のパラレルキャリアを阻む要因を、専門家はどのように指し示すのだろう。

当Webマガジンは、引き続きこのプロジェクトを追っていく。

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information

【「ポスト作戦会議(仮)」 開催に向けて準備中!】

  • 時期:今年の夏開始予定
  • 場所:都内で検討中
  • 内容:「公務員が2枚目の名刺を持つ社会を当たり前にする」ことをテーマに過去4回開催された対話の場「作戦会議」をブラッシュアップ! 作戦会議で明らかになった公務員ならではの課題を意識して、それを解決する手段を提供し、次のステップとなる“具体的な出口”を提示するような企画を準備中です。

・2枚目の名刺を持ちたい人同士でつながりたい
・2枚目の名刺を持てるような団体や活動と出会いたい
・関連するルールや先進的な取組について知りたい
・気持ちはあるのになかなか行動に移せない

そんな人のための、2枚目の名刺を持つ“はじめの一歩”につながる場を目指しています。現役公務員を意識した内容になっていますが、民間企業にお勤めの方のご参加も大歓迎です。

  • 申し込み方法:準備が出来次第HP(http://nimaime.com/)やFacebookページ(https://www.facebook.com/Nimaimenomeishi/)で内容とともに告知予定です。

主催:NPO法人二枚目の名刺

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編集者

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カメラマン

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はしもと ゆふこ
ライター
女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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