福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト Vol.1 — 参加3団体に聞く”3カ月間の共働のリアル”

(TOP写真:左から福島相双機構 川尻さん、いのちとぶんか社 葛西さん、nononowa 中山さん、cotohana 小林さん、鈴木さん)
※本記事は「福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト」を紹介するシリーズ記事です。
東日本大震災から約15年。
復興の歩みが続く福島12市町村では、今も地域の未来をつくる活動が続いています。
本記事では、「福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクト」に参加した3団体へのインタビューを通して、社会人・学生との3カ月間の共働から生まれた気づきや変化をお届けします。
当プロジェクトの概要
◆発足経緯・ミッション
東日本大震災から約15年が経ちます。被災地以外の方には、震災のことも風化されつつある現実があります。しかし被災地では、まだ復興の途中にあり完全復興への道のりは遠いという認識が強いです。
このような状況を少しでも改善するため、特に震災の影響が大きかった福島県内の12市町村で社会貢献活動を行っている団体を、今このタイミングでサポートするべきという声が上がりました。
そこで、これらの団体の支援を、公益社団法人福島相双復興推進機構が主催し、二枚目の名刺が運営を受託することで、推進していくことになりました。
◆活動スケジュール
2025年9月~12月(約3カ月間)
・9/20~21:キックオフ
・11/8~9:中間報告会
・12/20~21:最終報告会
◆当プロジェクトで支援した3団体
①任意団体いわき・双葉の子育て応援コミュニティ cotohana
②株式会社いのちとぶんか社
③一般社団法人nononowa
各団体へのインタビュー
任意団体いわき・双葉の子育て応援コミュニティ cotohana
◆活動内容
福島県双葉郡で子育て応援のため、「子育て中の家族」「子育て支援に関わる地域の方」「関係機関」との連携を目指し、情報発信・事業づくりを推進している
◆課題
・持続可能な運営基盤づくり
・こどもの育ちを応援する地域内の人材育成とネットワークづくり
◆インタビュー(共同代表 小林奈保子さん/鈴木みなみさん)

Q1)今回のプロジェクトを受け入れたことに対する率直な感想は?
A1)私たちは、組織の基盤づくりについて、参加者の皆さんの力を借りました。この課題は、私たちの団体だけではなく、福島12市町村で草の根で活動する団体に共通する課題でもあると感じています。今回のプロジェクトで、福島12市町村内の団体の代表として多種多様な人たちと、価値観の違いを乗り越えて活動できたことは、学びの多い時間でした。
3カ月間の活動内容が濃密であったことから、私たちコトハナスタッフがいかにコミットしていけるかという点や、私たち自身が今回の活動に対して真摯に向き合えているか、常に問い続けながら取り組みを進めました。
今回のプロジェクトに参画していた他の団体のみなさんと、より一歩踏み込んだ交流ができれば、活動の幅がさらに広がると感じました。お互いの知見を分かち合うことで、地域全体にポジティブな相乗効果を生み出していけると思います。
Q2)約3カ月間、社会人・学生と共働してみて、自分たちの団体の活動に変化や気づきがありましたか?
A2)ビジョン、ミッション、課題について、私たちの団体のメンバー内で共有されていると思っていたことが、実は各メンバー間で認識のグラデーションがあることに気づくことができました。多種多様な方たちと議論をしていくことで、団体内のメンバー間同士の認識が深まり、意思統一ができた点がよかったです。
Q3)今回のプロジェクトを通じて、地域に根差した活動を行う団体にとって、どんなメリットがありましたか?
A3)違う切り口やアイデアがあるということを、プロジェクトに参加されたプロボノの方々から教えていただきました。たとえば、自分たちが情報発信していた層とは異なる層へ、情報発信する考え方もあるということです。また、参加していただいた方が、自分のSNSから私たちの団体の情報発信をしていただき、うれしかったです。
Q4)次回このプロジェクトに参加される、福島12市町村の他の団体へのメッセージをお願いします
A4)100%を目指さなくても良いということです。あまり肩に力を入れずにプロジェクト活動をした方が得るものが大きいと思いました。また、プロジェクトが始まる前に、団体としての「心構え」や「事前準備」を少し整えておくと、より充実した活動につながると感じました。団体の核を担うスタッフが積極的にプロジェクトに参画することで、団体の目指すべき方向性を考えるよい機会になると思いました。
また、プロジェクトが始まる前に、団体としての「心構え」や「事前準備」を少し整えておくと、より充実した活動につながると感じました。
株式会社いのちとぶんか社
◆活動内容
一人ひとりの「いのち」を大切に生かすために、災害が起きても乗り越えられる個人とコミュニティを形成する
◆課題
・いのちを生かす社会のありかたを、多様な人と考える機会がほしい
・普遍性ではなく、個別性を寛容する社会を一緒に考えてくれる仲間がほしい
・福島にある学びを、福島で生きる人に一緒に聴きに行ってくれる仲間がほしい
◆インタビュー(取締役 葛西優香さん)

Q1)今回のプロジェクトを受け入れたことに対する率直な感想は?
A1)受け入れ前は、「どんな方が参加してくださるのか」「私たちが参加される方に対してどんなことが提供できるのか」といった不安がありました。一方、参加される方が持っているスキルを吸収できればいいなといった期待感もありました。
実際にプロジェクトには、さまざまな価値観やスキルを持っている方に参加いただき、多くの刺激を受けました。反省点としては、団体側のチームビルディングを、もっと工夫すればよかったと思いました。
Q2)約3カ月間、社会人・学生と共働してみて、自分たちの団体の活動に変化や気づきがありましたか?
A2)参加者の方と共働する中で、私たちの団体内のメンバーの役割が明確になり、各人の得意不得意な点がわかりました。今まではリモート主体で活動していたため、コミュニケーションを取ることが難しく、メンバーの役割や特性があまりクリアではなかったためです。
Q3)今回のプロジェクトを通じて、地域に根差した活動を行う団体にとって、どんなメリットがありましたか?
A3)私たちは主に、双葉郡の文化を守っていくことをミッションにしています。今までに、私たちが取り組んできたことは、間違っていなかったということがわかり、とても自信になりました。
たとえば、今回のプロジェクトでは、地域の「盆踊り」を将来的に復活・開催していく構想が立ち上がりました。参加した社会人メンバーの方々もその意義に共感し、前向きに関わってくださいました。このように、地域の文化を守り次世代へつないでいくことには大きな意義があると感じました。
Q4)次回このプロジェクトに参加される、福島12市町村の他の団体へのメッセージをお願いします
A4)最初は、プロジェクトを進めるにあたって、私たち団体側がイニシアチブを取ったほうが良いのか悩みました。実際に活動を行う中で、もっとフランクな気持ちで参加者の方と向き合えば良いということがわかりました。
そのため、肩肘を張って事前準備を行ったり、心構えをしておく必要はなく、自然な形で参加者の方たちと活動していけば良いと思います。
一般社団法人nononowa
https://www.instagram.com/nononowa.jp/
◆活動内容
自然と人とのつながりを育む場を提供する拠点。里山の風景や四季の中で、子どもから大人まで自然に触れ、学び、遊ぶ体験を通じて心豊かな時間を共有する。人・山などの命の循環やつながりを大切にして、次世代への自然教育や地域食の発展を目指す
◆課題
・ナツハゼ(地域の食として愛されてきた和製ベリーの加工品)の生産加工事業の継承にあたり、前生産者のこれまでの生産や取り組み、これからの事業について共感を生むストーリーを広報したい
・nononowaとナツハゼの認知向上とブランディングを図りたい
・nononowaとナツハゼ商品の都市部への認知拡大と関係構築を実現したい
◆インタビュー(代表 中山真波さん)

Q1)今回のプロジェクトを受け入れたことに対する率直な感想は?
A1)私たちは、「ナツハゼ」の実の生産加工事業の継承を目指しています。事業継承にあたっては、今までの生産者さんの思いなども引き継ぎたいと思い、そのためには「ストーリー」が大切だと考えました。
この「ストーリー」を、どうまとめていけばよいのか、私たちは悩んでいました。今回のプロジェクトを進めていく中で、参加者の方からいろいろな視点でアイデアを出していただき、このプロジェクトをやって本当によかったと思っています。
Q2)約3カ月間、社会人・学生と共働してみて、自分たちの団体の活動に変化や気づきがありましたか?
A2)私たちが想像していた以上に、多くのアイデアを出していただき、「形(ホームページなど)」も作っていただきました。そのため、とてもありがたかったです。
また、私たちが思いもしなかったアプローチで、課題解決に取り組んでいただきました。たとえば、自治体の関係者の方たちへの声掛けなどです。こういったアプローチもあるのだと気づかされました。
Q3)今回のプロジェクトを通じて、地域に根差した活動を行う団体にとって、どんなメリットがありましたか?
A3)私たちの団体は、この地域(田村市)に住んでいる方はもちろんですが、地域外の方たちにも、協力していただきたいという強い思いがあります。今回のプロジェクトを通して、こういった団体の「核」ともいえる、ミッションの重要性があらためてわかりました。これは、大きなメリットだと思います。
Q4)次回このプロジェクトに参加される、福島12市町村の他の団体へのメッセージをお願いします
A4)このプロジェクトの中で、団体として「何がやりたいのか」という点を、事前に明確にしておいた方が、やりやすいと思います。「やりたいこと」がクリアになっていないと、プロジェクトを進めていく中で迷走してしまったり、時間ばかりがかかるためです。
また、プロジェクトの参加者の方に、実際に「現地」に来てもらうとよいです。私たちのプロジェクトでは現地に来ていただき、「ナツハゼ」の木を見たり、実を試食してもらったりしました。こういったオフラインで会うことによって、私たちの団体の課題を「自分ごと」として捉えてもらえます。その結果、課題解決に向けてのモチベーションアップにつながったと思っています。
編集後記
福島12市町村という地域で活動する団体と、社会人・学生が出会い、共働する3カ月。
その中で生まれた気づきや変化の一端を、今回のインタビューから感じることができました。
福島12市町村ソーシャルコラボレーションプロジェクトの取り組みは、今後もシリーズ記事としてお届けしていきます。
関連リンク:
二枚目の名刺の活動については
こちらでも紹介しています。
NPO法人 二枚目の名刺 公式サイト
ライター
編集者
カメラマン



