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2017.02.09

「メディア企画という本業があるからこそ、唯一無二のフードコーディネーターになれる

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2016年2月にリリースされた、ファッションや美容、グルメ、お出かけに関する情報を発信している、働く女性をターゲットにしたWebメディア『LiBz LIFE(リブズライフ)』のメディア企画を務める佐武麻美さん。

広告代理店2社を経て、2016年4月に『LiBz LIFE』の運営会社である株式会社LiBに転職。以来メディア企画として『LiBz LIFE』の統括を担っているほか、取材や撮影、ライティングなど記事づくりにも携わっている。そんな佐武さんの「2枚目の名刺」はフードコーディネーター。会社員として働きながら、資格を取得した経緯や2枚の名刺を持つ現在のワークスタイルを聞いた。

フードコーディネーターの知識や技術を活かし、メディアを成長させたい

Webメディアは毎日新しい記事を配信していくことが継続的なユーザー獲得のために欠かせない。実際の運営は、佐武さんはじめごく限られた人数で行っていることもあり、必然的に記事の作成にも関わることになる。

「記事の企画、構成はもちろんですが、取材が必要なものは自分でアポイントをとって取材へ。撮影は、写真の上手な社内のデザイナーやエンジニアにお願いすることもありますが、自分で撮ることも。フードコーディネーターの養成学校で写真の授業があったので、基本的なことはそこで教えてもらったんです」

グルメ、フード関連の記事にも、もちろんフードコーディネーターである佐武さんの手腕が生かされている。

「レシピ記事はフードコーディネーター養成学校時代の仲間に声をかけて、そこからつながった方々にお願いしています。レストランなどに取材に行くと、料理を食べたときにどんな材料や調味料が使われているのかがだいたいわかるので、シェフから聞くだけよりも深い話が聞けるんですよ。結果的に記事に厚みも出ますし、他の媒体と差別化することができていると思います

『LiBz LIFE』の母体である株式会社LiBは、もともとキャリア女性に向けた会員制の転職サービス『LiBz CAREER(リブズキャリア)』を運営する企業。

「転職サービスとユーザーの接点は、どうしても転職を考えている期間限定で、“点”になりがちですよね。そこを“線”に変えようと誕生したのが『LiBz LIFE』です。逆に、『LiBz CAREER』のことを知らない『LiBz LIFE』のユーザーが、転職したいと考えたときに“そういえば、LiBって転職サービスもやっているんだっけ”と思ってくれたら…という想いもあります。なので、配信する記事はすべて“働く女性”をターゲットにした切り口や構成を意識しています」

「主体性を持ってできる仕事がしたい」という想いがフードコーディネーターを目指すきっかけに

佐武さん自身もこれまでに2回の転職を経験。大学ではマスコミ法を学び、新卒で広告代理店に就職。リスティング広告の運用業務を担当し、そこでマーケティングの基礎や社会人としての基盤を2年間つくった後、運用ではなく発信の仕事がしたいと、総合広告代理店に転職する。

「そこでは4年間、プロデューサーとしての経験を積みました。プロデューサーは、全体を仕切るのが主な役目。コピーライターやデザイナーに誰を起用するのかを考え、オリエンに挑み、クライアントの窓口になってくれる広告宣伝の担当者や商品の開発担当者、あるいは経営者の意向をうまく汲んで、全員が納得できるものをつくっていきます。クリエイティブな仕事ではあるものの、自分で手を動かして何かを作るわけではないんですよね。そこで、主体性を持ってできる仕事も並行してやってみたいと考えたときに思いついたのが、フードコーディネーターだったんです

もともと食べることや料理をつくることが好きで、食に対する興味が高かった佐武さん。プロデューサーとして撮影に立ち合う中でフードコーディネーターという仕事も知ったという。

「フードコーディネーターって、できあがった料理の盛りつけや器、クロスを選ぶセンスもとても重要なんです。特に食器選びは、誰がどんな場面で、何人で食べるのかなど想定されるシーンによって“ベスト”が変わってくるので、センスだけでなく想像力も働かせないといけません」

父親の影響で、幼少期から食器が好きだったことも、佐武さんをフードコーディネーターの道へ進ませたきっかけのひとつ。

「父がアパレル関係の仕事をしていたんです。休日は伊勢丹などに行き、“このコートはいくらだと思う?”といった値段当てクイズをやるのが定番でした(笑)。その積み重ねで、いいものと悪いものを見分ける目は培われたと思います。私の場合は、食に興味があったので、洋服ではなく食器に意識が向くようになったんでしょうね」

負けず嫌いが原動力。土日で学校の課題に取り組み資格を取得

こうして、広告代理店での仕事を続けながら学校に通い、フードコーディネーターの資格をとることにチャレンジしたが、その道のりは決して楽なものではなかったようだ。

「私はフード関係の専門学校を出ているわけでもないし、レストランで勤務しているわけでもありません。同じようにフードコーディネーターの資格をとろうとする人に比べて圧倒的に経験も知識も足りないことには、強いコンプレックスがありました。ただ、私は“企業で働く女性”という視点を持つことができるので、そこを強みにして、時短レシピを考えたり、働く女性がうれしくなるような盛りつけにこだわることができると切り替えていきました」

週5日の勤務に加え、学校から出される課題をクリアしていくことは、かなりハードだっただろうということは、想像に難くない。

「写真を撮る課題は特に大変でした。料理の写真は、午前中の自然光で、半逆光で撮るとおいしそうに写ると言われているのですが、土曜の午前中は学校に通っているし、平日は仕事をしていたので、日曜の午前中に撮るしかありません。いつも日曜の朝に、近所の公園に料理や食材を持って行き、撮影していました。シソがあったりすると大変です。軽いので少しでも風が吹くと飛んじゃうんですよ(笑)。撮ろうとしたら飛んでしまったのを拾って直して、また撮ろうとしたら飛んじゃって…というのを繰り返したこともありました」

精神的にも肉体的にも辛かったのに、途中でやめずに資格取得まで至った原動力は何だったのだろうか。

「私、負けず嫌いなんですよ(笑)。何より途中でやめてしまうのが嫌だったんです。それが一番ですね。あとは自分が稼いだお金の中からそれなりの金額を出して通っていたので、フードコーディネーターの資格を得ることが、自分の給料への対価になるという意識もありました」

幼いころからの知識、社会人になってからの経験、すべてが今の仕事につながっている

努力が実り、見事フードコーディネーターの資格を取得。ちょうどそのタイミングで会社の組織変更があり、営業職への配置換えを示唆される。せっかく取得したフードコーディネーターの資格も生かせるような仕事もしたいという思いから転職を検討してところ、前職の先輩から誘われたのが、『LiBz LIFE』のプランナー職だった。

「最初の企業でメディアについて学び、次の企業ではメディアの中身をつくることを学びました。今の仕事では中身もつくらないといけないし、コンセプトを考えて、社内外のさまざまな人と交渉して運営していくことも必要です。社会人になって、これまでに学んできたことをすべて生かすことができる集大成のような仕事に就けたと思っています

生かせているのは仕事で学んできたことだけではない。フードコーディネーターとしての技術や知識、プライベートでの経験もすべて含まれている。

「今、ファッションの記事作成にも携わっていますが、父と値段当てクイズをしていた頃に、ブランドの名前やその特長が刷り込まれているので、掲載するアイテムのどんな部分が良いのかがだいたいわかるんです。あとは、映画を観たり、小説を読んだりすることが、写真のセンスや文章にも出てくるのを感じています。プライベートでやっていることも、どれも仕事につながっている。そう考えると、今はプライベートと仕事を完全に切り離して、オンオフをはっきりさせる働き方はあまり私にマッチしていないんですよね

そうした理由からか、フードコーディネーターとしての活動も、現在は6割が『LiBz LIFE』の業務の一環になっているという。

「当初は、フードコーディネーターとして『LiBz LIFE』とは別に活動することも考え、業務委託という形で入社したんです。今もプロ向けのサイトでレシピの提供をしたり、たまに前職のつながりで撮影の立ち合いをしたりすることはありますが、『LiBz LIFE』の中でフードコーディネーターとしての資格を活かし、経験を積むこともできているので、昨年9月からは正社員として勤務しています」

将来のキャリアプランとして真っ先に出てくるのは、フードコーディネーターの資格を活かし、自分の名前で活動することだ。

「フードコーディネーターって、発信できるとか、世の中に広める手段を持っているとか、自分をブランディングできる人が強いんです。料理がうまいのは当たり前だし、センスのよさも結局は個性なので。フードコーディネーターに関わらず自分でサービスを背負ってやる人は同じだと思いますが、+αがないと勝てない。私の場合は、メディア運営の知識を持っていて、編集もできるフードコーディネーターとして、一本立ちできればと思っています」

そのためにも、まずは『LiBz LIFE』の地位を確立させることが、今の一番の目標だという。

人から“出たい”“インタビューされたい”と言われるようなメディアにしたいですね。関わりたいと思ってくれる方が増えて、世の中で広く認知されるようなサイトにしていきたいです。ただ、私の体はひとつしかないので、日々やらなきゃいけないことと、ロマンとどうバランスをとっていくかが課題です。フードコーディネーターとして一本立ちするのは…東京オリンピックあたりが目標かな」

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【取材後記】
「メディアをつくる」という仕事の中で、メディアプランナーとしての経験を積むと同時にフードコーディネーターとしてのスキルアップも重ねることができている佐武さん。「2枚目の名刺」というと、それぞれの仕事を明確に分けた働き方をイメージしますが、一つの仕事に2方向から関わるという持ち方もあるのは、新たな発見でした。

(フードコーディネーターとしての佐武さんの作品)

https://www.instagram.com/asamemo.gohan/
Instagram:asamemo.gohan

佐武さんがレシピの作成から動画編集までを手掛けた記事。
深夜レシピ~バジルソースでおつまみポテト

写真:ハラダケイコ
聞き手:はしもとゆふこ(二枚目の名刺)
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古川 はる香
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フリーライター。女性誌や育児誌を中心に雑誌、書籍、WEBで執筆。