【イベントレポ】二枚目の名刺×サービスグラント「みんなで考えてみたい産休育休からの復帰」
2016年9月16日、「第1子出産後も仕事を続ける女性の割合が初めて5割を超えた」というニュースが朝日新聞に掲載されました。
育休を取得して、職場復帰をする女性が増えています。でも、初めての育児をしながらの復帰には不安がいっぱい…。
そんな状況を打破するべく、復帰時に役立つサービスの紹介や、復職経験者のリアルな体験談が聞ける「みんなで考えてみたい産休育休からの復帰」を企画。二枚目の名刺夏フェス2016のPreweekイベントとして、NPO法人サービスグラントと二枚目の名刺が2016年7月23日に共同主催しました。
今回は、このイベントにパネリストとして参加した、ふたりの復職経験者の話をレポートします。
◯パネリスト
高宮ゆいさん
広告代理店勤務。2人目育休中の2015年に、仕事へのモチベーション維持のため、ママボノにプロジェクトマネージャーとして参加。
安東直美
NPO法人二枚目の名刺ディレクター。前職時代に、二枚目の名刺でNPOとの恊働プロジェクトに参加。2016年より現職。「2枚目の名刺webマガジン」の編集長も務める。
育休は、育児と理想の働き方を両立するための準備期間
2度の育休と復職を経験した高宮ゆいさんの1度目の育休は、ほぼ保活一色。かたや2度目の育休中には、「NECワーキングマザーサロンへの参加」、「ママボノ(育休中のママ達が集まりNPO支援に取り組む、ママ達のプロボノ)でのプロジェクトマネージャーへの挑戦」、「NPO法人でのインターン」と、自身のスキルアップに多くの時間を費やすことができたそうです。その理由について高宮さんは、次のように話してくれました。
高宮さん:第1子の時は、生まれてくる子どもの成長過程やお世話の仕方が分からず、育休中の生活についての想像ができなかったので、「どう過ごすか」という計画が立てられませんでした。
一方で、第2子の時は、第1子の経験からだいたいの生活がイメージできた。それに、第1子を抱えて働く中で、“子どもを育てながら、将来どう働くか”という「自分の理想とする働き方に」ついて考え、「女性の支援をしたい」「地元で活動する軸を持ちたい」という私なりの理想の形が見えていました。
それを実現するためには、育休中にどんな過ごし方をすれば良いのか、どんな活動に関われそうかということを、事前に考えたり、リサーチできたことが大きいですね。
ー新しいことにチャレンジした動機は?
高宮さん:何もせずに職場に復帰して、“休んでいるうちにスキルが落ちた人”になりたくなかったんです。そのためには、自分のウリを増やす必要があると思いました。
育休中に3つの活動に携わる、バイタリティ溢れる行動の原動力は、「自分の思い描く将来のビジョン」。高宮さんにとっての育休期間は、「子どもを育てながら働き続けるための準備期間」でもあったようです。
社会との接点を持ち、母や妻ではない“自分”である時間が余裕を生んだ
当時、外資系企業に勤めていた二枚目の名刺の安東は、自身の産休育休時のことをこう振り返ります。
安東:マンションの部屋から一歩も出ない“天上人”状態の産褥機が明けて、産後ヘルプに来てくれた母が帰った後に、強烈な孤独感が襲ってきました。しばらくそんな状態が続いた後、NPO法人マドレボニータが主催する産後エクササイズ教室に参加したり、保活をする中で、少しずつ外に出る機会を得ることができたのですが、その時に、「母や妻ではない、“個”としての自分」と「社会との接点」が私には必要なんだと思いました。それで、産前から参加していた二枚目の名刺の活動に加わり、社会との接点を持ったところ、孤独感も薄れ、育児もより楽しくなりましたね。
ー育休中の過ごし方についてリサーチする時のポイントは?
安東:いざ育児がスタートすると、分からないことだらけ。自分に余裕がなくなります。あれこれやりたいことをピックアップして、ガチガチに計画を立てると、結果的にできないこと続きで苦しむことになるので、少し余裕があるくらいの計画を組むのが良いと思います。自分が本当にやりたいこと、できそうなことを1つ、2つピックアップするくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
初めてだらけの赤ちゃんのお世話に加え、気軽に話せる相手のいない環境下での育児に、孤独を感じるママは多いようです。そんな時、思い切って外への一歩を踏み出してみると、世界が変わるのかもしれません。安東がそうであったように、復帰後のキャリアにつながる可能性も…?
パネリストとして参加した「いつかは産休・育休をとりたい女性代表」の竹内麻衣さん(右)。人材業界で働く竹内さんからは「キャリアチェンジをする働くママが増えている」という話も出てきました。
新しい働き方をサポートしてくれるパートナーって素敵!
育休中にスキルアップに取り組んだ高宮さんと、社会活動を通じて充実した育休生活を送ることのできた安東。
彼女たちにはできたけれど、生まれて間もない赤ちゃんのお世話と家事をひとりで担いながら新しいチャレンジをするのは、時間的にも精神的にもハードルが高いこと。
高宮さんが自身のパートナーについて、「私よりも家事や育児のスキルが高い」と話し、安東も「夫の育児参加がある」と言っているように、彼女たちのチャレンジの背景には、“パートナーに安心して家事や育児を任せられる”ことがあるのだと思います。
「自然に後押ししてくれる上司や同僚、パートナーって素敵!」ということも、このイベントのテーマのひとつでしたが、まさに高宮さんや安東の家庭には、そんな環境が整っていたようです。実のある育休生活を送ることや、産休育休からの復帰って、本人だけの問題ではないんですよね!
おわりに
このイベントには、たくさんの子どもたちが参加者と一緒に来場してくれました。冒頭で挨拶に立った、サービスグラントの岡本さんが、「子どもたちを見守りながら、会を進行していければ」と抱っこ紐でお子さんを抱っこしながら呼びかければ、安東も自身の子どもを連れてパネルディスカッションに登壇。
こうした気軽に子どもと参加できる場を作ることも、「プロボノ、二枚目の名刺ができることって何?」の答えのひとつだと考え、これから活動していきます!
ライター
編集者
カメラマン