社会人によるNPO支援プロジェクト、NPOの本音を聞いてみた! サポートプロジェクト説明会@関西報告レポート【団体編】
2020年5月31日、zoom&Facebook LIVEによるウェビナー(オンラインセミナー)で二枚目の名刺@関西説明会が初開催されました。
イベントレポート「団体編」では、参加団体側が気になるポイント「どうやって社会人と連携していくの?」といった疑問にお答えできるよう、レポートしていきます!
[社会人参加者レポート(社会人編)はこちら]
二枚目の名刺って何をしているの?
既に所属している組織や本業が1枚目の名刺とするならば、2枚目の名刺はお金を得ることを目的にした副業でもなく、自分のための趣味でもなく、社会のこれからを創る活動に取り組むときの名刺。
「自分」ではなく「社会」にベクトルを向けていることがポイントで、こんな社会であってほしい、という自身の価値観やアイデンティティを示すアイテムともいえます。
NPO二枚目の名刺では、「サポートプロジェクト」を通じて、社会人に2枚目の名刺を持つきっかけを提供するとともに、社会のこれからを創ることにとりくむ団体と社会人をつなぐことを進め、社会の変化が実現することを後押ししていくことをミッションとしています。
(詳しくはNPO法人二枚目の名刺Webサイトをご覧ください)
社会人と繋がりを生み出す「CommonRoom」
では、どのように個々の社会人と団体の活動が繋がっていくのでしょうか。
それは「CommonRoom(コモンルーム)」と呼ばれるイベントをきっかけに始まります。今回のような説明会が行われた後日、Common Roomを開きます。
ここでは、参加団体が活動で抱える課題やミッションを社会人に深く伝える場を提供。団体がプレゼンしたテーマに興味のある社会人を「プロジェクトデザイナー」と呼ばれるNPO二枚目の名刺スタッフたちが繋ぎ、調整していきます。
CommonRoomは、個人も団体も、誰もが自由に参加でき、接点を持たなかった人たちが繋がることができる場であり、2枚目の名刺を持つきっかけになります。
団体の活動の理解を“共感”で深める
Common Roomは参加団体にとって、社会人参加者とのマッチングが行われる場であることはもちろん、活動紹介や社会課題の認知を広めることができる場でもあります。
一方で、社会人にとっては、団体の取り組みや今起きている社会課題を知ることができ、改めて“自分ごと”として捉えるきっかけも得られます。
社会人は参加団体のプレゼンを様々な角度から聞いたうえで、信念や活動内容に共感できる団体へ参加表明。その中から5〜6名で1グループを結成し、いよいよ3ヶ月間のサポートプロジェクトがスタートです。
活動内容をお互いに理解・共感をしてスタートする、誰もが“自分ごと”として活動できる点が特徴とも言えます。
プロボノとは違う!?
よく聞かれるのが「プロボノですか?」という質問。
もっとも大きな違いは、プロボノがスキルや経験を活かしたボランティアであり参加者の強みが重視される一方、二枚目の名刺の取り組みは、参加者の「共感」が最も大事でスキル・経験は実は問いません。
プロジェクトのテーマについてもプロボノをベースにしたプロジェクトは予め団体側で決まっており、プロボノで取り組む参加者がそれに応えていくという形が多いですが、二枚目の名刺の取り組みでは、チームメンバーの個性も生かしながら団体とともにテーマ設定し、団体活動の一部として取り組むスタイルになります。
参加団体と社会人の協業事例
それでは2019年に実際参加した2団体の事例をご紹介!
<NPO法人JAE(ジャイー)の場合>
JAEは「若者が希望と誇りを持ち、挑戦する社会」をビジョンに、キャリア教育プログラムの企画、運営などを行う団体。(詳しい活動内容はこちら)
JAEには教育というテーマに興味を持つ7名の社会人チームが結成されました。メンバーの持つ“1枚目の名刺”は、熱血営業マン、元教師、保育事業コンサルなど、誰一人として被らない肩書きが並びます。
そんなメンバーが持つ個性が掛け合わさって生み出されたプロジェクト「Liferary(ライフラリー)」は実際に3ヶ月後に高校生を対象として実施されました。
(※プロジェクトの内容は社会人編をご覧ください)
お互いに初対面のメンバーは、もちろんJAEスタッフとも“はじめまして”な関係。
本業ではビジネスであるがゆえに効率性が求められることもありますが、メンバー同士は敢えて個々での話す時間をじっくり取ったと言います。それぞれの想いをぶつけ合って議論をしながら、3ヶ月という短期スパンでひとつのプロジェクトを成し遂げた社会人チーム。
共にプロジェクトに参加したJAEの坂野充(ばんのみちる)さんは、社会人チームとの協業を振り返って“外側からの刺激”が大きかったと話します。
「団体側としては、日常的に自分たちの教育プログラムをどのように広めていくか考えています。今回チームの皆さんは単一のプロジェクトではなく、“構想”で考えてくれました。
我々は子どもたちに何を提供しているのか、その考え方などを皆さんと話し合えたことは、本質的な面を見つめ直す良い機会になりました。
また、作業自体を共に行わなくても、同じ想いを持って取組む“仲間”が増えたのは心の支えであったと感じます。」
<認定NPO法人Homedoor(ホームドア)の場合>
Homedoorは「ホームレス状態を生み出さない日本」を目指す団体。ホームレスの状態から抜け出すことが困難な環境や、ホームレスへの強い偏見、様々な要因が複雑に絡み合うホームレスの課題に対し自立支援活動を行っています。(詳しい活動内容はこちら)
こちらも集まった社会人は学生からIT、製薬や置かれている状況が色とりどり。
Homedoorスタッフは比較的保守的な思考タイプが多いのに対し、社会人メンバーはリスクを厭わない“ファーストペンギン”タイプが6人中4人と多めのバランス。
「最初うまくやっていける自信が全然なかったです(笑)」と話すのは、Homedoorの松本浩美(まつもとひろみ)さん。
「キャラクターが正反対ではあったけれど、もう一方のタイプの社会人メンバーや、二枚目の名刺のプロジェクトデザイナーの方の調整があって、結果的にうまくまとまっていたと感じます。私も、タイプが違うメンバーを知ることで、自分に不足している考え方を学ぶ機会を得られました。」
メンバーたちが考えたのは、メイン事業となる「HUBchari(ハブチャリ)」プロジェクトの活性化。プロジェクトのミッションから実施後の成果(ゴール)まで、順を追いながら組み立てていきました。
プロジェクトがスタートした6月時点では1.5万人だったユーザーが、取り組み後は3万人まで上り、Homedoorもその効果は実感しているそうです。
(※プロジェクト実現までの様子は社会人編をご覧ください)
「プロジェクトの成果もありHUBchariの利用者は増えました。この結果はもちろん嬉しかったですが、一番感銘を受けたのは、真剣に一緒に向き合ってくれる社会人がこんなにも多くいるんだと思えたことです。一時的なボランティアさんとの活動の際は、あれこれとお願いするには憚られます。しかし、今回のように共感のもと、マインドをひとつに活動できたので、こちらからお願いする際も遠慮なく言えた点は大きかったです。」と、松本さんは協業の様子を振り返ります。
新たな出会いから協業をするのって、実際どうなの?
各団体の事例紹介が行われた後、パネルディスカッションへと移った本イベント。
「実際、協業するってどうだったの?」という部分を掘り下げてみます。
JAEの坂野さんは、プロジェクトだけに留まらない良さを語ってくれました。
「社会課題は、幅も広く深さもあるので、とてつもなく高い壁を前に取り組む感覚があります。10名ほどのJAEという組織が動くには、やはり限界があるんですね。
そういった状況で、想いを同じくした人たちと『より良くしよう!』と一緒に議論を重ねられること、また、プロジェクトを終えてもなお話すことができる仲間ができたことに本当に感謝したいです。」
一方で、Homedoorの松本さんは、出会いの場づくりをする二枚目の名刺の存在は貴重であると言います。
「ホームレスの問題というのは、短期間で正しい認識を持ってもらうのは難しいところがあります。しかし今回参加してくれたメンバーはハブチャリ自体を愛してくれるだけでなく、プロジェクトが終わっても関わってくれる人がいる。ボランティアの方とこうして長期的に関わっていただけることは本当に有り難いですし、そういった出会いの場を生み出している二枚目の名刺は、NPO団体側としてもとても嬉しいです。」
協業するうえで気をつけたい点は?
プロジェクトを実行するのは、もちろん万事がうまく運ぶというほど甘くはありません。
「ずばり、協業するうえで覚悟しておいたほうが良いと思ったことは?」ということで、現実的な部分も聞いてみましょう。
JAE坂野さんは、『受け入れる』というワードを挙げます。
「実は最初『正解を見つけていこう』という意識が自分の中にありました。すると、意図しない方向に進んだ時、違いが気になったんです。だけど、メンバーも当事者として関わっているのに、自分たちの行っている方法だけが正解とは限らないと気づきました。
それからは、“実験する”感覚に切り替えたんですね。むしろ自分たちとは違う発想を大切にして取り入れていこう、と。もしも『これをやってほしいです』と依頼するような形で進めていたら、依頼する側/される側の立場に分かれてしまうので、『受け入れる』を前提にするのが良いのかなと思いました。」
Homedoor松本さんが挙げたワードは、『任せきりにしない』。
「社会の中では、ある程度任せておいて後で報告してください、という流れがメジャーだと思うのですが、過去に別件のプロジェクトで任せきりにして失敗をした経験があったので、ミーティングなどにできるだけ顔を見せるなど、流れの中に身を置くことを意識しました。
それと同時に『自分からは口出しをしない』ということも決めていました。社会人メンバーの皆さんの柔軟な発想を大事に形にしていくことは、メンバーにとって良いものができると思います。それは私にとっても普段想像し得ない新たな発想を知ることができるので、この点も気をつけていました。」
同じ想い・目標を持って議論する協業においては、社会人も、団体も、職業も、全てが対等であることを考えさせられます。
プロジェクトデザイナーの存在
参加団体側が、社会人チームを結成して、3ヶ月まとめるというのは至難の業。
そんな時に一役買うのが、二枚目の名刺スタッフから参加する「プロジェクトデザイナー」。プロジェクトデザイナーたちもまた、本業の1枚目の名刺を持つ社会人です。
元々いち社会人参加者としてサポートプロジェクトに携わったこと、本業とは異なる場に越境しプロジェクトを体感したこと、そんな経験がきっかけとなっているデザイナーたち。
3ヶ月の短期間でプロジェクトを進める難しさ、はじめましてのメンバーがまとまるまでの大変さ、課題と結果のシビアな現実など、様々な困難をデザイナー自身が知っています。
プロジェクトを円滑に進めるための調整役は安心しておまかせできそうですね。
(コロナ影響で、イベント企画・運営を全てオンラインで実施しているデザイナー達。何処でも、何時でも!)
もしも、今、
「人手が足りない」
「もっと活動、社会課題の認知を広げたい」
「新たな突破口を見つけたい」
そんなお悩みをお持ちであれば、CommonRoomでプロジェクト仲間を募ってみるのはいかがでしょうか?
まずは、お問い合わせフォームよりNPO法人 二枚目の名刺までご相談ください。ご連絡お待ちしております!
ライター
編集者
カメラマン