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年間50日休暇が増える!週休3日制度がパラレルワーカーに歓迎される理由

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「株式会社週休3日」というキャッチーな社名の会社を経営する永井宏明さん。

薬剤師をはじめとした医療介護福祉の従事者を週休3日正社員という働き方でマッチングする有料職業紹介を行っています。

前回の記事では、週休3日正社員を採用する事業者側のメリットと労働者側のニーズをお聞きしました。

前編「タイがカモになる!?株式会社週休3日に訊く「週休3日正社員制度のメリット」はこちら

この記事では、どのような人がどのような理由で週休3日正社員という働き方を選択しているのか、また事業所がこうした働き方を取り入れるうえでの留意点は何かをうかがいます。

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株式会社週休3日は、静岡県浜松市にある企業だ。

週休3日正社員で働く人ってどんな人?

株式会社週休3日に登録している人はどんな人たちで、なぜ週休3日正社員という働き方を求めているのだろうか? 2枚目の名刺を持つためにこのような働き方を希望する人もいるのだろうか?

永井さん「一概には言えませんが、育児や介護をしながら働きたい人、勉強と仕事を両立したい人。あとは、奥さんがバリバリのビジネスマンで、主夫業と両立しながら働きたいという人もいます。実は30代の男性からの週休3日正社員ニーズは高いんですよ。社会的な立場から『正社員じゃなきゃいけない』というプレッシャーがあるなかで、ペースダウンしたいという願望を持っている人が多いんです」

確かにパート薬剤師として働く方法もあるのだろうが、「正社員」という言葉の持つ社会的、精神的な安定感は大きい。柔軟な働き方が求められてる昨今でも、正社員という立場を譲れない人が多いことは、容易に理解できる。

それでは、ワークライフバランスを重視する傾向があると言われる20代はどうだろうか?

永井さん「20代の方からのニーズは他の年代よりも高いと思います。薬学部6年生の学生から『内定はもらっているけど、週休3日正社員という働き方も検討したい』というお問い合わせをもらうことも多いです。

今年当社が紹介し、新卒で週休3日正社員として就職した方もいます。彼女はもともと漫画家志望だったのですが、両親からの反対もあり、薬剤師の道に進みました。週休3日正社員として調剤薬局で働きながら、漫画を描いています」

週休3日正社員で働くと、給料は減るけれども、年間50日分の時間を手に入れることができるんです。『その時間を何に使いますか?』ということなんですよね。育児や介護に充ててもいいし、趣味や勉強といった2枚目の名刺の活動に充ててもいい」

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(週休3日正社員として働く青粘土さんの漫画。 出典:薬剤師.com)

漫画の続きは>こちらからどうぞ

週休3日で2日分の活力が手に入る

「ところで、この表なんだかわかります?」と言われて覗き込んだこの表。皆さんは何を示しているかわかるだろうか?

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答えは、活力のバロメーターだ。「週40時間勤務は、労働者の活力が一定であることを前提とした勤務体系であるとも言えます。でも人は働くうちに徐々に活力が減っていくんです」と永井さんが言う通り、社会人は休暇をリフレッシュと呼び、そこで活力を補っている。

永井さん「活力が低下したところで虐待的な言動や辞職、転職、ケガなどの大きな問題が起きているんです。週40時間活力を維持しながら働ける方もいるとは思いますが、多くの人の活力は低下してしまいます。医療や介護の現場から人が離れてしまうのも、これが一因です」

1日休暇が増えるということは、1日疲労が解消される日が増えるとともに、1日疲労が蓄積しない日が増えるということだ。活力といった意味では、2日分の効果がある

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活力のキャパシティーには個人差があるため、週40時間勤務で難なく働くことができる人もいれば、気力体力的に難しいという人もいる。週休3日正社員は、そうした人たちが活力やモチベーションを維持したまま働くことのできる制度にもなり得る。そして、それはサービスの質の向上にもつながるだろう。

「週5日、1日8時間勤務」は企業が定義した働き方でしかない

それでも、一般的に正社員は週5日、1日8時間勤務、あるいはそれに該当する時間をシフトで勤務しているイメージが強い。週休3日で働く人を「正社員」とすることに問題はないのだろうか。

永井さん「そもそも正社員というのは、行政や法律が定義しているわけじゃないんです。法律は週40時間という上限を設定しているだけであって、実は正社員の働き方は企業がその範囲内で自由に定義していいんですよ。

だから僕らはその下限に注目することにしたんです。諸々の事情をふまえると、週32時間、つまり週休3日が下限として最適であるとの考えに至りました」

育児時短制度や介護時間制度を設ける企業が増えてきたとはいえ、未だに多くの企業が正社員に一律の労働時間を提示している。そして働く側も「正社員なのだから、それが当たり前」とばかりに企業の定義に従い、それに即した働き方ができなくなると辞めていく……。

しかし正社員の定義や労働時間の設定は本来、自由だというのだ。

永井さん「人口減少社会や少子高齢化社会において、正社員を最適化して再定義しなければならないと思うんです。企業側のニーズではなく、働く人のニーズからビジネスを組み立てる必要があるのではないでしょうか」 

パラレルワークを求める人にとっても、週休3日という働き方は歓迎されるものであろう。週40時間勤務では時間的にも体力的にも第2の活動に費やす余力がないという人が、週32時間勤務であればパラレルキャリアを始められる可能性も出てくる。

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週休3日正社員はセーフティーネットになり得る

労働力人口が減少し、生き方・働き方が多様化する社会の中で注目されていくであろう週休3日正社員という選択肢。しかし「週休3日正社員であれば優秀な人材が採用できるだろう」と短絡的に導入すると、失敗することがあるという。企業が週休3日正社員制度を取り入れるうえで気をつけるべきことは何だろうか。

永井さん「安易に導入すると、『なんで週休3日で正社員なの?ずるい!』と週休2日で働いている人たちからの反発に遭ってしまいます。給与が変わるとはいえ、そこはロジックじゃない、感情的なものなんです。

だけど、週休3日正社員というのはある意味、今週休2日で働いている人にとって、将来的なセーフティーネットや選択肢にもなるんですよ。育児や介護、2枚目の活動やその他の事情で時間が必要になったときにペースダウンしながら正社員のまま働くことができるのですから。

『社員すべてに選択肢のある職場を作りたい』ということを理解してもらったうえで、取り入れることが大切なんじゃないかと思います」

正社員のハードルを下げてみよう!

最後に、なかなか柔軟な働き方を取り入れられない企業人事や経営者へのメッセージをいただいた。

永井さん「働く人のニーズをもっと、いやむしろ先行してキャッチアップし、制度化していかないとビジネスの継続が困難になっていくのではないでしょうか。

社員を採用できない、定着しないといった悩みは、自分たちが定義した働き方が一因となっているのかもしれません。正社員の定義を緩和し、ハードルを下げることが、結果的に社員の採用やサービスの質向上につながるかもしれませんよ」

 

「ワークとライフを両立した、理想の生き方ができている」

「もうちょっと働けるけど、これくらいにしておこう」

「1年後に、働き方を週休2日に戻そうかな」

そんな風に思える働き方ができる企業こそが、働き手にも、サービスの受け手にも求められる時代になっていくのかもしれない。

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はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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