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2017.07.29

子育て中のファッションライターが、アレルギーを持つ子も楽しめる飾り巻き寿司教室を主宰した理由

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飾り巻き寿司をご存知だろうか。

具材の置き方や巻き方を工夫することで、伝統的な古典柄やかわいい動物などの柄がカットした巻き寿司から現れる目にも楽しい新しいジャンルの寿司だ。

この飾り巻き寿司のインストラクター資格を持ち、都内で飾り巻き寿司を中心として「おもてなし料理教室」を開講している川口ゆかりさん。月に数回程度開催される教室は、川口さんのサイトやSNSで告知されると、数日の間に満席になる盛況ぶり。

ただ、飾り巻き寿司の講師は川口さんの2枚目の名刺。1枚目はキャリア20年になるファッションライターだ。

なぜ、ファッションライターから飾り巻き寿司の講師という2枚目にたどりついたのか。話を聞いていくと、揺るぎないライフテーマの上に2枚の名刺があることがわかった。

結婚前はとんでもない料理オンチだった

高校卒業後、読者モデルとして登場していた雑誌の編集部でアルバイトをしていた川口さんは、そこでライターという仕事に興味を持つ。お世話になっていた編集者に想いを伝え、小さなコラム記事からライターとしての活動をスタートさせることになった。

川口さん(以下、敬称略):「最初は読者である女子高生に取材をして、彼女たちのリアルな声をもとに作るようなページがメインでした。そのうち自分がアイデアを出した企画が通って、ファッションページを担当させていただいたことをきっかけに、次第にその分量が増え、今に至ります。最初からファッションライターを目指していたわけでもないですし、本当に“気がついたら”なんです。私と同じくらいファッションが好きな方はたくさんいるし、特にファッションに精通しているわけでもないと自分では思っています。いただいたお仕事を精一杯形にしてきたら、ここまでつながってきた感じです」

例え本人が気づいていなくても、周囲の人たちが求めている才能や特色が川口さんにある。入れ替わりの早い世界で20年仕事が途切れずにやってきたことが、その答えといえるだろう。

日頃から2人の子どもに手料理を食べさせ、夫にお弁当を持たせることもある。そして飾り巻き寿司教室を開く前から、個人的に友人に料理を教えることもあったというので、もともと料理が得意だったのかと思えば、結婚前は「パック入りのうどんをゆでて食べることも知らなかった」というほど料理オンチだったとか!

川口:「パックから出したうどんを、レトルトのカレーにつっこめばカレーうどんになると思ってました(笑)。夫は料理ができる人だったので、相当びっくりしていましたよ。最初は家で夫から習ったり、レシピを参考に自分なりに作ったりはしていたんですが、なかなか上達しなくて。これはいけないと思ってシェフをしている友人に個人レッスンをお願いしたんです。そこで習ったお料理を、夫や家に遊びに来た友人に出して喜んでもらえたとき、“料理って楽しい!”と感じました」

以前から、友達を集めてパーティを開くなど「場づくり」が好きだった川口さん。自分の料理をふるまうことで、みんなが楽しみ、喜んでもらえることがモチベーションとなり、一気に料理が上達した。

川口:「今では、料理をするのはテレビを観るのと同じ感覚。ほっとしたり、リフレッシュしたりするための手段ですね。ストレス解消で料理することもあります(笑)」

ママが赤ちゃん連れで来られるような料理教室を

2016年、2人のお子さんの子育ても少し落ち着き、川口さんの中に湧き上がってきたのが「何か新しいことをやりたい」という気持ち。あれこれと試行錯誤して、行きついたのが「おもてなし料理を教える料理教室を開く」ということだった。

川口:「出産後、時間はあるのになかなか赤ちゃん連れで出かけられる場所がなくてしょんぼりしていた記憶が自分の中にあって。同じように感じているママが、赤ちゃん連れで来られるような料理教室を開きたいと思ったんです。どんな料理教室を開いたらいいか考えていたときに、友達が助言してくれたのが、“アイシングクッキー”か“飾り巻き寿司”。ただ、アイシングクッキーは細かい技術が必要なので、私には難しそう。飾り巻き寿司なら料理歴10年程度の自分にもできるかも…と。もうひとつ飾り巻き寿司を選ぶきっかけになったのは、具材を工夫すれば、アレルギーのあるお子さんも食べられることですね」

川口さんの友人に重度の小麦、卵、乳製品アレルギーを持つお子さんがいるのだという。そのご友人親子も含めた仲間で集まり、ホームパーティをすることもあるが、小麦アレルギーのお子さんは食べられないものが多く、苦労する友人の姿が頭にあった。

川口:「クリスマスやハロウィンのパーティに持参するおもてなし料理で、そのお子さんもみんなと一緒に食べられるものがないか考えていたんです。飾り巻き寿司ならそこがクリアできる。実際、アレルギーのあるお子さんにも食べさせられるからとレッスンを受けてくださる方もいらっしゃいます」

(川口さん宅でのキッズパーティー。アレルギーの子でも食べられるものにはフラッグが付いている)

「やる」と決めて約半年後には資格取得

おだやかな雰囲気からは想像もできないような行動力を持つ川口さん。飾り巻き寿司インストラクターの資格を取ると決めて、すぐに検定を受けるための講座に申し込み、ライターの仕事や家事育児で忙しい合間を縫ってJSIA飾り巻き寿司1級インストラクターの資格を取得した。

また、並行して盛り付けやテーブルコーディネートなどの技術の証明となるJADPトータルフードコーディネーターや日本漬物マイスター1級、東京都食品衛生責任者の資格も取得。それから間もなく「おもてなしごはん東京」主宰として、最初の飾り巻き寿司教室を開催する。

川口:「自分で“やる!”と決めると行動は早いですし、一度決めたことは、なんとかしてやり抜くところはあるかもしれません。トータルフードコーディネーターの資格も取ったのは、私の教室では、料理を教えておしまいではなく、そのお料理でお客さまをおもてなしするときのテーブルセッティングまでお伝えしたかったので。飾り巻き寿司も含めて、資格があったほうが信用度も高いと思ったんです」

今ではファッションライターの仕事に加えて、月に数回、飾り巻き教室を開催。さらにおつきあいのある編集者やファッションブランドのプレス、PRの友達から頼まれてケータリングを行うことも。どのように時間をやりくりしているのだろうか。そして、今後は、ライターとして、料理教室講師として、どのような展望を持っているのか。後編で聞いていく。

後編につづく>>

ブログ:ファッションライター川口ゆかりのMOM’S DAYS
インスタグラム:@yucarikawaguchi

撮影(インタビューカット)/二村友也
※その他の画像は川口さんのインスタグラムより転載
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古川 はる香
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フリーライター。女性誌や育児誌を中心に雑誌、書籍、WEBで執筆。