愛知県の、企業×NPOの協働の様子を伺ってきました
愛知県がいま、アツい?
こんにちは、二枚目の名刺のまついです。
ご存知でしたか? 最近、愛知県で企業とNPOの協働が増えていること。
例えば、
・デンソー:スキル提供型ボランティア「デンソープロボノプログラム」を開始
・ブラザー工業:「東海若手起業塾」の支援活動にブラザー従業員が参加
・愛知県庁:プロボノ2016 in愛知
これまで二枚目の名刺は、首都圏を中心に「2枚目の名刺を持つスタイル」を広げてきたわけですが、昨年頃から様々な地域からの問い合わせも増えていて、「地域への展開」も少しずつ可能性を探ってきました。
そんな中、今年度、愛知県で動きが出てきていることを知り、愛知県出身であるまついが、故郷の取り組みの様子を探りに行き、実際に取り組みをされている方々の声を聞いてきました!
◆愛知県での行政の取り組み
》マッチングだけじゃない、愛知県庁の取り組み
まずご紹介したいのが、愛知県庁の取り組み。
愛知県庁の外観です。ものすごく立派!と思いきや、まついが伺う「社会活動推進課」は全く違う場所にあるとのこと。職員の方に連れて行ってもらいました(危うく迷子になるところでした)。
今回、県庁の取り組み「プロボノ2016 in 愛知」について伺う際、個人的には、「行政はたいがい企業とNPOを募集してマッチングって形が多いもんで、どこまで具体的な取り組みまでやっとるかがポイントだわ」(地元三河地方の方言)という問題意識を持っていました。
そこで少し踏み込んで聞いていったところ、実はかなり実践的な取り組みであることが発覚しました。
(丁寧に説明くださった、社会活動推進課の上原さん、ありがとうございました!)
具体的には、NPOや社会人、企業が出会う「1DAY ACTION」を開催した後(もしこれだけで終わってたら、マッチングだけなのですが)、そこから各地区でグループチームを組んで、約3ヵ月のプロジェクトを実施するとのこと!
しかも、昨年度は4件のプロジェクトだったそうですが、今年度は愛知4地区で、それぞれ3件のプロジェクト、計12件のプロジェクトを実施するプログラムとのことでした。
二枚目の名刺でも並行してできるプロジェクトは最大5件なので、その規模感に驚きました。
》事業者を通じて地域を盛り上げるOka-Biz
自分の地元岡崎市の行政主導の取り組みを知るために、岡崎市図書館交流プラザLibra(りぶら)内に入っているOka-Bizにも行ってきました。
こちらは、直接NPOと企業をつないでいるわけではないのですが、地域のビジネスを盛り上げるため、市役所の音頭の下で、市の拠点に相談所を設置し、商工会議所のメンバーやIT・デザインのアドバイザーが一緒に、地場事業者へアドバイザリーするというもの。
こういったモデルは、「〇〇-Biz」として岡崎以外の地域にも広がっているとのことで、地域を盛り上げるための新しいカタチとなる予感がしました。
◆企業側はどうなの?
》デンソー:カネとチエを通じたNPOの強化
一方、ビジネス側でもNPOとの接点を持って活動する動きが出てきています。その筆頭事例が、 上記でもご紹介した株式会社デンソー。
デンソーは、もともと「デンソーはあとふる基金」という助成プログラムをNPO向けに実施していたのですが、それをさらに強化したのが、今回の「デンソープロボノプログラム」。
これまでのように、「助成金を出して終わり」ということではなく、カネ・ヒトの両面からNPOの組織基盤を強化しようという取り組みです。(助成金による「アメ」だけでなく、実際にNPOの組織強化を、伴走を通じて実現する「ムチ」という意味合いもあるとのこと)
「お金(助成金)があっても、それを上手く事業運営に活かせずに、後に残るカタチにできない…」そんな実態を踏まえて、立ち上げたプログラム。
デンソーが、助成先の団体を中心にNPOを募集選考し、事前研修を踏まえてプロジェクトチームを立ち上げ、デンソー社員と共に助成事業企画を立案。約半年間の助成事業を実践する、というステップ。成果志向の観点からNPOの基盤強化実現を目指すものでした。
》トヨタ財団:トヨタ自動車の「問題解決」手法をNPOに
また、愛知県に限定した取り組みではありませんが、公益財団法人トヨタ財団でもユニークな取り組みが実施されています。
それが、トヨタNPOカレッジ「カイケツ」。
このプログラムは、30のNPO団体にむけて、4回(月1回)にわたるトヨタの問題解決手法の講座やグループワークを通じて、NPOの組織運営の方法をレクチャーした上で、4カ月間の実践期間を経て実際の団体運営の向上を目指すもの。
6つのグループには、トヨタ自動車のTQM(トータル クオリティ マネジメント)推進部の現役・OBのメンバーがトヨタ流の問題解決・PDCAの方法について伴走します。
(トヨタ財団の大野事務局長(左)と喜田さん(右))
まずは初回始動ということで、手探りでの取り組みとのことですが、約250人が集まったキックオフシンポジウムの様子から見ても、今後も注目を集めるプログラムとなりそうです。
まとめ:「2枚目の名刺を持つスタイル」が地域に広がるには?
愛知の色々な取り組みを伺ってきましたが、その中で、以下の2点が印象的でした。
◆「地域課題」を見つける難しさ
「地域の課題は、地域の人間がよく知っている」と言われますが、実は「地域の課題を出すのが、こういった取り組みの際に最も難しい」(愛知県庁 上原さん談)のです。
たしかに、岡崎でも「この地域の課題は?」と聞かれた時に、自分の地元にも関わらず、なかなか出てこない。肝となる課題を、地域に密着しながら捉えるには、どうするか。これが、企業も行政も、そしてNPOの方々にとっても最も大きなポイントだと感じました。
◆カギは、プレーヤー同士をつなぐ中間支援:あいちコミュニティ財団
では、2枚目の名刺を持つスタイルを地域に広げること、社会人が会社の枠を超えて地域の課題に取り組むことを広げるのは、不可能なのか?というと、そうでもなく、突破口となる先進的な取り組みが。
それが、名古屋を拠点に活動されている「あいちコミュニティ財団」の取り組みです。実は、上記の愛知県庁やデンソー、トヨタ財団の取り組みを後ろから支えているのが、こちらの団体。
地域のNPO運営や地域特有の課題に向き合いながら、行政・企業・NPOの各プレーヤーをつないで、協働を強力に後押しする。そして、その知恵を上手く各プレーヤーにも共有して、地域の協働やNPO支援を質・量ともに引き上げる。この活動と、これまで二枚目の名刺が実践してきた活動には通ずるものがありました。
(個人的にずっとお会いしたいと思っていたあいちコミュニティ財団の木村代表)
今回はお会いできませんでしたが、「中部プロボノセンター」も愛知県でNPO運営の講座をかなり骨太に実践されていると、様々な方々から伺いしました。
首都圏を中心に活動してきた二枚目の名刺が地域にも広がろうとする時、首都圏のやり方をそのまま当てはめても、なかなかうまくいかないもの。そんな時、僕らのやってきた知恵やモデルを、こういった団体と一緒に、地域に添ってブラッシュアップしていけば、具体的な展開のきっかけができるのではないか、と可能性を感じました。
それにしても、愛知県の建物、どれもエラい立派でしたわ。やっぱ、東京よりも広いスペース使って建てれるだかね。(最後は地元の方言で)
ライター
編集者
カメラマン