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【商社×2枚目の名刺】「日本人全員先生にします」と言ってみたらまさかの反応が~29歳商社マンもう一つの挑戦~

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『日本総先生化プロジェクト』は、2019年1月に創設された日本人全員を先生にするための教育プロジェクトだ。代表を務めるのは、丸紅従業員組合勤務のサラリーマンでもある小澤悠(おざわ ゆう)さん。

小澤さんは1990年、兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2013年に丸紅株式会社入社。以後、大豆・菜種等の穀物トレーディング業務に従事。2017年から労働組合専従の副書記長。現職に至る。専門は働き方改革と組合主導でのコミュニティ創出。本業の傍ら企業や学校で多数の講演を行っている。

そんな『日本総先生化プロジェクト』の概要や、小澤さんがプロジェクトにかける熱い思いについて、NPO法人二枚目の名刺の代表・廣優樹が話を伺った。
 

虎ノ門ヒルズフォーラムで開催する有料カンファレンス
『リーマン、母校に帰る 大キックオフ』
イベント概要
日程:9月21日(土)13時〜17時45分

パネルディスカッション①ご登壇者:
ディスカバ コーディネーター/NPOカタリバパートナー 今村 亮様
日本総先生化プロジェクト代表 小澤 悠

パネルディスカッション②ご登壇者:
株式会社ハッシャダイ代表取締役COO兼ハッシャダイファクトリー代表取締役 橋本 茂人様
明海大学 教職課程副センター長(元田柄高等学校校長) 大池 公紀先生
県立高等学校 教諭 上田 祥子先生
日本総先生化プロジェクト副代表 堀口 翔平
日本総先生化プロジェクト高校生代表 牧田 陽奈子(私立高校2年生)

ワークショップ:一般社団法人ウィルドア 共同代表理事 竹田 和広様

会場:東京 虎ノ門ヒルズフォーラム 4F「ホールB」
参加費:前売り 4,000円(Peatixによるお支払い、事前振込)/ 当日 4,500円(会場にてお支払い)

お申込み・詳細情報→ https://all-teacher-pjt-kickoff.peatix.com/

大規模な教育カンファレンスを開催するそうですね。どのようなコンセプトのイベントなんですか?
小澤
『リーマン、母校に帰る 大キックオフ』と題したカンファレンスになります。この『リーマン、母校に帰る』とは、僕らが進めている『日本総先生プロジェクト』のイベントの一つです。2020年1月から3月にかけて、なるべく多くのサラリーマンや経営者を含む社会人に、自分の母校をはじめとする高校で授業をやってもらおうと考えています。このイベントのきっかけを作るための舞台が今回のカンファレンスです。

企業で働く社会人に、「先生をやってください」とお願いすると、「私なんかで授業ができるんですか?」「教えられるコンテンツなんて何もありませんよ」という声が返ってくるんですが、大事なのはコンテンツではなくて、その人が過去から現在にかけてどのように生きてきたか?という人生のストーリーなんです。そのストーリーを高校生に話して共有してもらいたい。自分の人生そのものが授業になるということですね。そのことに気付いてもらうためのカンファレンスにしていきたいと考えています。

高校生向けに授業を行う理由

ひとそれぞれ人生のストーリーが授業になるというのは興味深いです。対象を高校生向けにしたのはなにか理由があるのでしょうか?
小澤
高校時代って、「大学に行くか?」「働くか?」「東京に出るのか?」「地方に残るのか?」といった選択が迫られる瞬間だと思うんですね。自分の人生について、自分がどうしたいかを初めて考える人も多い。だからまずは高校生向けの授業から始めたいと考えました。いずれは中学生向けの授業も行っていきたいです。
小澤さんがこのような教育に関する取り組みを始めようと思ったそもそものきっかけはなんだったのでしょうか?
小澤
僕自身の中高時代と、多くの日本人の中高時代との乖離を感じたのがきっかけです。というのも僕自身は中高時代にインターナショナルスクールに通っていました。ここでは中学1年生から高校3年生までタメ口でしたし、上下関係もありません。普段の会話からディスカッションまで、フラットな関係で意見を言い合ったり、思いを話せる関係でした。そのような環境にいたため、アイディアが豊富に出てきましたし、常に心理的安全性が担保されているなと感じていました。
そこから日本の一般の大学へ進学し、サークルに入ったところ、いきなり上下関係にぶち当たったんですね。その後も仕事で大企業の人に触れるたびに「なんて階級社会なんだ!」「上下関係が強い組織なんだ!」と違和感を感じていました。

小澤
その時の違和感を振り返った時に、もしかしたらこれまで中高時代に限られた一部の大人としか触れずに同質性を求められる教育が多くの日本の学校現場で行われていて、それがそのまま大学や会社組織の雰囲気に繋がっているのではないかと考えるようになりました。この違和感を解消すべく、中高生に多様な大人に出会って欲しいと思ったことが『日本総先生化プロジェクト』を始めるきっかけの一つになっています。

『日本総先生化プロジェクト』とは

『日本総先生化プロジェクト』って直球なプロジェクト名だな!と思いました。このプロジェクトのスタート地点はどのような始まりだったんですか?
小澤
2018年の年末に、ある有名な若手経営者が80人程集まる異業種交流会に参加したところ、「自分の好きなこと」「やるべきこと」を見つけて仕事にしている人がたくさんいたんです。そして、「自分がやりたいことは?」「自分がすべきことは?」と考えるようになったとき、「人を元気にする仕事をしたい」という強い思いが湧いてきました。広く社会に届けられることをやりたいと思ったんです。そして、ふっと閃いたのが「教育」でした。

学校の先生方が子どもの教育の”全て”を担うということは実際にとても大変なことです。人生を幸せに生きていく為に提供する教育を学校の先生方だけに押し付けるのはおかしいですよね。だったら「日本人全員を先生」にすれば、世の中が幸せになるのではないかと思ったんです。早速、「日本人全員先生にします」とFacebookのイベントページと個人ページで発信したところ、50人の応募がありました。反響がすごかったので、2019年1月13日にキックオフイベントを開いたところ、実際に50人が集まってくれました。その一週間後に2回目のイベントを開いたら、またしても50人が集まってくれたんです。
Facebookに発信するだけで100人の人が集まってくれたことで、多くの人が教育に問題意識を持っているんだということを感じました。現在は、そこからさらに人数が増え、380人のメンバーが集まってくれています。

あっという間に人数が拡大していますね!多くの人が教育に問題意識を持っていることに共感しますが、小澤さんは特にどのようなところに課題を感じたのですか?
小澤
僕は、日本の子どもの、「自己肯定感の低さ」「選択肢の少なさ」に問題意識を持っています。日本の子どもの自己肯定感は、先進諸国の中で一番低いんです。「自分に対して満足しているか?」という質問に対して、「Yes」と答える人の割合は10%にも満たない。自己肯定感が低い子どもは、大人になってからも自己肯定感が低いまま。それを何とかしたいと考えています。
選択肢の少なさについては、僕の中高時代を思い返してみても、社会人がどんなことをしているか知らない子どもが多かったですね。先生方や両親以外の大人に会う機会がほとんどないことが原因です。だから自分が知っている限られた職業や会社の中から仕事を選ぶため、選択肢が非常に少なくなってしまいます。
集まったメンバーもみなさんも、そんな自分たちの実体験があるからこそ、子どもたちに選択肢を伝えたいという潜在意識があるのだと思います。
『日本総先生化プロジェクト』には幅広い世代の方が参画されているんですよね。
小澤
はい。年代としては、20代後半から30代前半が一番多いですが、50代60代の方も参画してくれています。50代、60代の方は、将来世代に対する貢献を意識されている方が多いです。また、20代、30代のメンバーは、会社だけでは表現しきれない、自らの価値観、また「社会に貢献しているか」「本当にやりたいことが実現できているのか」という自己実現の手段の一つとして、元々教育に問題意識を持っている人たちがプロジェクトに参加してくれているように思いますね。

 

サラリーマンと並行してプロジェクトに取り組む理由

会社の中で自己実現できることもあれば、会社の外でできることもあると思います。小澤さんが本業の仕事と教育事業の二つを、敢えて並行して行うのは何か理由があるんですか?

小澤
僕がやろうとしていることに対して批判的な意見もあると思います。一つは、「サラリーマンなんだから本業だけやれ」というもの。もう一つが、「教育事業をやりたいなら、本業を辞めて専業でやれ」というもの。でも僕はこれらの意見は逆だと思っています。サラリーマンなのに教育事業をやるということに面白みがあるんですよ。本業と教育事業は、離れているように見えて実は繋がっています。僕は本業で社内の働き方改革を3年間やってきたのですが、働き方改革と教育改革には共通する部分があります。

働き方改革は、生き方改革そのもの。働き方を変えるということは生き方を変えることですからね。そして、教育とはそもそも何かのコンテンツであったり勉強を教えることではなくて、生き方を教えたり、見つけることがその本質だと思っています。 本業から教育事業に持ち込めることもあるし、逆に教育事業から本業に還元できることもあるんです。そしてサラリーマンの目線だからこそ見つかることもあると思うのです。

今は共感の時代であり、いかに自分がやることに共感してもらえるかが重要だと考えています。もし僕がスタートアップ経営者だったとしたら、もしかしたらこれほど多くの人に共感してもらえなかっと思うんですね。教育事業を始めても、作れる仲間は限られただろうし、多くの人がやっているサラリーマンだからこそ共感してもらえたという面もあります。

サラリーマンと学校を繋ぐための仕組み作り

先生として授業をするためには、実際に学校現場に入っていく必要がありますが、学校って自分の母校以外は入りづらい雰囲気がありますよね。この辺りを解決する仕組みはどのように設計していくのですか?

小澤
学校にアプローチして断られることを恐れて動けない人も少なからずいます。その敷居を下げるために、前述の『リーマン、母校に帰る』というイベントを企画しました。関係性のない人がお願いしても、学校側も受け入れてくれないかもしれませんが、母校であれば授業をさせてもらえる可能性が高くなります。 また、僕自身が訪問先を増やすための営業を行ったり、『日本総先生化プロジェクト』380人のメンバーのうち30人が学校の先生なので、彼らに協力を仰いだりもしています。
なるほど。授業を供給したい側だけが集まるだと、みんなで受け入れ先を探しにいかなければならなくなりますが、メンバーに先生がいるということで、それぞれの立場から解決策を持ち寄ることができますね。
小澤
とは言え今は社会人側の希望が多く供給過多状態なので、受け入れ側の先生方と社会人の合同勉強会、イベント、懇親会を開いていきたいですね。2019年10月から12月にかけてやりたいと考えています。
教育に企業で働く社会人の声を取り入れたいという学校側の意見も聞いたことがあります。いつもと違う先生が来ると、子どもたちの空気がピリッとして良い刺激になるそうですよ。でも先生側も経験がないため、どのように進めていけばいいのかわからないそうなので、うまく学校外の社会人と学校を繋ぐ仕組み作りが進められればいいですね。

授業をすることで得られるメリットとは?

いつもの職場を一歩離れて授業をやることで、先生をやる社会人側にも変化があったりするのではないですか?
小澤
正におっしゃる通りです。実は教育現場に限らず、大人たちに共通する大きな問題があるんです。それは、「自己肯定感」「探求力」「アウトプット力」が強烈に足りていないということですね。人は「自分の人生は失敗だらけだった」と思いがちなんです。でも実際は、失敗の中にも必ずいい要素があって、他の人の学びになったりもします。何かに挑戦して、何度も何度も失敗を繰り返しても諦めずに挑戦し続けるからこそ成功するわけです。人生ってその繰り返しですよね。僕自身も、恋愛や受験の失敗を高校生に赤裸々に話しています。そうすると、「勉強になりました!」「好きな子に告白します!」「失敗が怖くなくなりました!」って言ってもらえたりする。僕の失敗体験が子ども達の笑顔につながっていますし、彼らの自己肯定感を高めるきっかけにもなります。授業をすることは、子ども達、教える側両方の自己肯定感も上げる役割を果たしてくれるんです。

また、授業をするためには自分を深掘りし、自分が何者かということを深く探求する必要があります。働いていて目の前の仕事に追われているとなかなかやらない『内省』をすることになるわけです。高校生を相手に授業をするとなると、普段のビジネス用語では伝わらず、良い本質的なことを伝える必要があります。そのために深い探求をする必要が出てきます。これがものすごく良い経験になるんです。
 さらに、今働いている大人達はこれまで社会に出てもアウトプットする機会というのが職種によってはあまりなかったりします。それが授業の中で実現します。子ども達に授業という形で自分の存在をアウトプットできるからです。つまり、学校で高校生向けに授業を行うことで、「自己肯定感」「探求力」「アウトプット力」の全てが満たされるようになるわけです。めちゃくちゃハッピーなことですよね。

会社の中だけで過ごすより遥かに大きな刺激になりそうですね。
小澤
おっしゃる通りです。

 

小澤さんからのメッセージ

今後、どんな人に『日本総先生化プロジェクト』に参加してもらいたいですか?
小澤
「自分の人生なんて人へ話すに値しない」と思っている人にこそ来てほしいですね。授業をやれば自分の人生の価値に気付いてもらえるはずです。また、今のメンバーは380人がお互いにリスペクトし合っています。ぜひ安心して飛び込んできてください。サラリーマンに限らず、フリーランスの人や主婦も大歓迎です。子育て経験がある人の視点や言葉は、子ども達にものすごく伝わりますので、お母さんの授業というのもぜひやってもらいたいですね。
現在取り組んでいるクラウドファンディングでは、「リーマン、母校に帰る」の企画で、先生役のサラリーマンが地方に行くための交通費集めに取り組む。
https://readyfor.jp/projects/27724
実際にプロジェクトへ参画し学校に行くとなった時、自分の人生におけるストーリーを導き出せるのか不安になる人もいるのだと感じます。自身の人生に対する探求や深堀りをするやり方は具体的に教えてもらえるのでしょうか?
小澤
『リーマン、先生化プログラム』という、サラリーマンが先生になるためにはどうしたらよいかを具体的に教える場を、月に2回程度設けています。 僕が一番お勧めしたいのは、冒頭でお伝えした9月21日に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催する『リーマン、母校に帰る 大キックオフ』に来ていただくことです。ここでは「みなさんの授業を作る」というワークショップを開きますので、参加してもらえれば自ずと先生になることができます。ぜひ足を運んでみてください。

 

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編集者

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カメラマン

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詩織清水
詩織清水
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元国家公務員。5歳児の母。子育てに生かすべく「教育」と「女性のマインド」を研究中。
廣 優樹
NPO法人二枚目の名刺 代表。組織や立場を超えて、社会を創る活動に取り組む「2枚目の名刺」を持つことが、人の変化と社会の変化を同時に生み出すことを提唱。2009年に二枚目の名刺を立ち上げ、NPOサポートプロジェクトを展開。もう1枚の名刺では、日本銀行、経済産業省を経て、現在は商社で事業開発に取り組む。4児の父。
智美長井
智美長井
カメラマン
(株)まちなかHubLab CEO. LocalRelation® Designer, PRサポーター,SDGsファシリテーターとして活動中。
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