「サポートプロジェクト、やってみてどうでした?」プロジェクトメンバーがNPOに事後インタビュー【後編】
NPO側は満足の進行。でもその裏で大事件が!
こず:ほーりーさんの中では、プロジェクトが始まる前からゴールは明確にあったんですか?
堀江:サポートプロジェクトはメンバーのみなさんがゴールを決めて進めていくものだから、あえて何も決めていませんでした。ただ、何かしら「ライト・ライト」が先に進むための起爆剤になったらいいなくらいは思っていました。
想定としては、今あるものについて、みなさんからフィードバックをもらう感じかなと。それだけでも、私たちは動きやすくなるし、それでみなさんが「楽しかった」とか「成長できた」と思ってもらえたらいいなって。
海野:それが、あれよあれよという間にクラウドファンディングをして、動画を撮って、パンフレットを作って…ってね。
堀江:すごくうれしい誤算でしたね。
こず:最初に「ライト・ライト」を見せていただいたときに、メンバーの中から「こうしたらいいんじゃないか?」って意見が出たんですけど、それをほーりーさんに伝えるか伝えないかという話になったんですよ。
堀江:何で迷ったんですか!? キレられそうだから?(笑)
らま:そうではなくて(笑)。すごく熱意を持って作られたことはCommonRoomのときに伺っていたので。それを覆していいものかと…。
堀江:フォードバックでボロカスに言われることは慣れているから平気ですよ(笑)。あのときメンバーから名言が出ましたよね。「これはオポチュニティだと思うんですよ」って。悪いところがあるから直すんじゃなくて、もっといいところに向かうための「機会」だって。
海野:そうか。そうやってこちらを尊重してくれていたんですね。プロジェクトの間も、至る場面で私たちのことを立ててくれている感じはすごくありました。メンバー同士のやりとりを見ていても、それぞれの意見や考え方、関わり方を尊重しながら進めているなって、見ていてとても気持ちがよかったです。
堀江:でも、そこでこずさんがキレたんですよね?
こず:いや、キレたわけじゃないんですけど(笑)。特に中間報告会が終わってから最終報告会に向けての期間、お互いを尊重しすぎているように思えて。年内最後のミーティングが終わったあとに、メンバーに向けて「このままでいいんですか? もっとできることがあるんじゃないんですか?」というメッセージを送ったんです。
海野:後からその一件を知って、私たちも学ぶところがありました。チームとしてまとまっていくには、お互いの意見を立てるだけじゃダメなんだ、ぶつかることで見えてくるものがあるんだって。
堀江:私としては、団体としてのゴールも持ちながら、個人がどう変化していくかも気をつけていたから、そこは二枚目の名刺さんとも話しておければよかったなと思いました。こずさんがどう思っているかも含めてね。波風立てずにプロジェクトを進めるほうがいいのか、議論する場をつくったほうがいいのかは、私個人としても興味が強いので。そこで話ができていたら、「いいぞ、もっとやれ!」って火をつけられたのに(笑)。
海野:炎上させないで!(笑)
こず:私としては、目に見える成果物とプロジェクトメンバーの何かしらの変化の両方が欲しいと思っていて。クラウドファンディングも、導入実績も、メンバーがもっと協力することで数を伸ばせたんじゃないかと思ったので、そういう話し合いをしないのかな…っていうのが気になっていたんですよ。
海野:それを聞いていれば、諸手を挙げて「ぜひ!」ってところですね。そういう意味では、こずさんと私たちが話す機会があればよかったですね。団体と関わってくれる人たちのゴールを共有するうえで、コーディネーターとのパイプラインは必要かもしれません。
(「関わり方次第で、成果物も自分たちの変化も大きく変わる。そこをメンバー内でしっかり話し合って欲しかった」とサブコーディネーターのこず)
現状を正直に伝えることが、相性のいいメンバーと出会う第一歩
こず:これからパートナーとして参加するNPOの方にアドバイスをいただけますか?
堀江:伴走してくれる人がいることはサポートプロジェクトの強みだと思うんです。それを前提に、何のプロジェクトに携わってもらうか考えておくのがカギかもしれません。あと、相性のいいプロジェクトメンバーが集まってくれたのは、CommonRoomのときに「何もない」っていう団体の状況を正直に話したからじゃないかなって思います。
海野:うんうん、してましたね。
堀江:「うちには何もありません!『ライト・ライト』もあるように見せているけど、実は何もないんです!」って(笑)。「何もないからこそ、メンバーの方が作ってくれるものにはコミットします!」と伝えたことで、そこに興味のある人が集まってくれたのかなって。
中島:ゼロから作っていくことに興味を持ってくれた人たちが集まってくれましたね。
堀江:CommonRoomみたいな場って、少しでもできていることを言いたくなるものだけど、伴走してくれる人たちが集まっている場だからこそ、現状を話すことが最初のポイントな気がします。
中島:困っていることをちゃんと「困っています」って伝えるということですよね。
こず:確かに団体さんの状況がわかると、スムーズにスタートできそうです。これから参加しようかなと思っている社会人へのメッセージは何かありますか?
中島:プロボノとしてほかのNPOに入る側でもある立場から言えるのは、「コミュニケーションに遠慮しちゃいけない」ということでしょうか。今回のプロジェクトは順調でしたけど、そうじゃないときもあります。そのときに腹を割って話しきれないとか、気になることを伝えられないのは、もったいないと思います。
あと、いろんなバックグランドの人と活動するのは学びも多く楽しいので、気になっている方はぜひ「やってみよう」という思いを大切に、参加してみたら、きっととてもおもしろいと思います。
海野:私はArrowArrowに入るまでは一般企業で働いていて。NPOで働くなんて全く思わず、「社会も、政治も、日本も、周囲も何も変わらない。自分だけがおもしろく仕事をしてればいい」とずっと思っていたんです。
でもArrowArrowに入ってプロボノやボランティアの方たちと関わって、はじめて「こういう大人がたくさんいたら、社会って変わるかもしれない」と思えたんです。だから、そういう人が少しずつでも増えてくれたらうれしいなと思います。
プロジェクト終了後も、つながり続けたい
堀江:私たちNPO側には当然メリットがあるものだけど、みなさんはどうだったのか、話を聞ける機会があったらいいなと思っていました。
らま:私は参加してよかったです。プロジェクトに参加して、他業種の方や異なる世代の方と接したことで、仕事とは別の軸ができて、視野が広がった気がします。仕事は個人業務が多く、誰かとミーティングをしたり資料を作ったりという機会があまりないので、普段できないことを経験させていただけたのもありがたかったです。
こず:私は直接成果を出すことに関わっていた立場ではありませんが、ArrowArrowのみなさんとプロジェクトメンバーのみなさんの「社会を変えるんだ」という熱い想いや行動にとても感化されました。このプロジェクトに関われて本当によかったと思っています。プロジェクト期間中だけではなく、今でもときどき連絡を取ったり、こうしてお会いできたり、仕事や友人関係とはまた違う大切な繋がりができることもサポートプロジェクトの魅力の一つだなと思っています。
(「普段のフレームワークを越えた経験ができた」とプロジェクトメンバーのらま)
海野:よかった~。プロジェクトが終わったあと、そういう話聞けるといいですね。
堀江:そうだね。プロジェクト終了後に定期的に会って報告するしくみがあったら、こっちもエンジンをかけ続けられるかもしれないし。
海野:プロジェクトきっかけに出会えたこと自体が貴重だと思うので。プロジェクトはもとより、「最近どうですか?」って話せる機会があるといいですよね。
こず:じゃあ飲み会でもしますか?
全員:やりましょう!
(サポートプロジェクトによって完成した「ライト・ライト」)
写真:原田麗奈
ライター
編集者
カメラマン