「やりたいこと」見つけていますか?夢を実現するキャリアプランを考えよう
ほとんどの企業が新卒一括採用を取り入れている日本では、ついつい“就職”することが目的になってしまいがち。
しかし、自分のキャリアを考えるタイミングは必ずやってきます。
「何となくやりたいことはあるけど、その目標までのキャリアプランの描き方が分からない」、「そもそも、自分のやりたいことが分からない」……。
キャリアに対して、さまざまな不安を抱えることがあるでしょう。
今回は、社会人2年目を迎えた編集スタッフ・谷が、キャリアコンサルタントとして活躍されている鈴木むつみさんに、キャリア相談を敢行。キャリアプランを考える際のポイントを教えてもらいました。
あなたの将来のためにも、一度“キャリアプラン”をじっくり考えてみませんか?
鈴木むつみ
株式会社SINSEI 代表取締役。
対個人のキャリアカウンセリングだけでなく、企業組織内のキャリアコンサルティングなど、さまざまな形でキャリア支援を行なっている。
どうやったら自分の夢や目標をキャリアプランに落とし込めるの?
ーーはじめまして!今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。谷さんは、Web編集者としてのキャリアを築いていきたいんですよね。理想とするWeb編集者のイメージってどんな感じでしょう?さっそくですが、私にわかるように説明してもらえますか?
ーー記事を企画できる、記事を編集できることはもちろんで。Webの世界だと、記事を読みにくるユーザーは検索やSNS の拡散など、さまざまな流入経路からやってきます。メディアの色をおさえつつも、そうした流入経路を計算して多くのユーザーに情報を伝えていける、いろんな軸で物事を考えられる人かな、と思っています。
いろんな軸で物事を考えられる人って、具体的にはどういう人でしょう?
ーーうっ、難しい……。例えば、メディアの特色を活かしつつ、想定ユーザーのことも考えられる人ですかね……。……答えになっていますか ?
うーん……。あまりうまく説明できていませんね。「物事を人に説明できない」ということは、自分の中で“抽象的”なんですよね。
抽象的だと、キャリアプランを立てた後の行動にも繋がりません。何をできるのが自分の理想の姿なのか。その理想像を他の人に語れるぐらい、自分で具体的にイメージができていないと、キャリアアップのための行動まで棚卸しすることができません。
ーーなるほど。どれだけ具体的に考えるかが大切なんですね。
そうなんです。具体的になればなるほど、「今の自分には何が足りていなくて、明日から何をしなければならないのか」を考えられるようになるので。
例えば、「仕様書を来月までに書けるようになる」、「仕様書をひとりで全部仕上げられるようになる」とか。あるいは、「上司に仕上がりを見てもらって、できていない箇所を洗い出す」とか。そこまで考えると、自分でできるようになる道筋が見えますよね。
例えば、さっき谷さんが言っていた“いろんな物事を考えられる人”っていうと、 いろんな物事を考えるってことを、行動化するとしたら……。想像しづらいと思いませんか?
「どういうことをいろんな軸で考えるっていうんだ?」ってところまで落としていく。読者視点、クライアント視点、会社視点…。いろんな軸があると思いますが。
「読者層の人にアポイント取って、直接話を聞いてみる」、「いつまでに行った方がいいか」まで細かく考えると、本当に具体的になります。なりたい自分になるための道筋が立てやすくなるでしょう。
ーーなるほど。確かに、そこまで具体的にすると、自分でも行動に移しやすいですね。
そうした“具体化”が、キャリアプランの立て方の基本になります。
キャリアプランと聞くと、ついつい難しく仕事を軸に考えてしまうんですけど、“ライフイベント”から考えても良いんです。
例えば、谷さんは、今24歳ですが、35歳になった時に、どんな人になっていたいですか?仕事のことは関係なく、プライベートからの将来設計でかまいません。
ーーうーん。自分の母親のような人でしょうか。自営業でバリバリ働き、経済的にも自立していてかっこいいな、と思っています。
イメージしやすくて良い例だと思います!ライフイベントで考える場合は難しく考えず、結婚していたいとか、なんでも。それぐらい漠然としたもので良いんです。
あとは、「母のようになる」という目標に対して、年収はいくら必要で、そのためにはどういったポジションについていないといけないのか、とか。先ほどと同じように、具体的に落とし込んでいきましょう。
そもそも、「やりたいことが見つからない」人はどうすれば良い?
ーーキャリアプランを考える以前の問題で、そもそも「やりたいことがない人」もいるじゃないですか。就活の時、やりたいことが分からないと苦しんでいる友人が何人かいました。やりたいことを探す方法はあるのでしょうか?
確かに、やりたいことを探せって、かなり“酷なこと”ですよね。でも、就活の時には、必ず聞かれるポイントでもある。
大切なのは、「人と比べないこと」。そして、「自分の軸で生きる」ことです。
これまでは、親や他の人に褒められたり、認められるためだけに、顔色を伺い、人の意見に左右されながら生きてきた人もいると思います。しかし、社会人になり、自分のキャリアを考えるときには、そうした他人の意見は考えなくて良いのです。
実際に、キャリアコンサルティングの仕事をしていると、日本トップの大学を出ている学生でさえ、「自分のやりたいことが分からない、できることがない」と相談しにくる場合があるんですよね。
人の人生を生きるのではなく、自分の人生を生きていく訳なので。もし仮に明日が自分の命日になるとしたら、どんな自分だったら後悔なく最期の1日を生きられるのか、と考えてみて欲しいと思います。
ーー確かに。結局、人生には正解・不正解はないんですよね。
本当にそうですね。
あと、やりたいことが見つからない人におすすめしたいのは、「いろいろな人に会うこと」。いろんな人に会うと、いろんな価値観を知ることができ、見えてくるものがあるでしょう。この人の生き方好きだなとか、ちょっと私とは違う、という感覚を知るだけでも、全然違うと思います。
ーー確かに!私も、人の考え方や価値観に縛られて苦しんでいました。でも、田舎から上京してきて、いろんな人と話すようになって。「こういう考え方もあるんだ!」「別に私、これで良くない?」と感じ、救われた気分になったのを思い出しました。
さまざまな人と出会い、いろんな価値観に触れることで、もっと頑張らなきゃ、という刺激になったり、これでも良いんだと思えたりする良いきっかけになると思います。
ーーそうした場面で、ロールモデルに出会えたりするかもしれませんね。
きっと見つかると思います。なにも、ひとりの人じゃなくても良いですし。いろんな人の、好きなところや真似したいところをそれぞれピックアップしても良いと思います。
ーー「やりたい・やりたくない」の他に、「できる・できない」軸もあると思います。そうした部分はどう考えれば良いのでしょうか?
やっていることが心地いいと思えるかどうか、を判断基準にしても良いと思うんですよね。
「やりたい・やりたくない」も、「できる・できない」も、もっと自分に素直になって、思ったことや感じたことを信じていいと思います。「あっ、これは好きだな」、「これは苦手だな」といった感覚レベルでも良いんです。
よく、「就職活動はお見合いと一緒」って言われますよね。私は、的を得た表現だと思っていて。
出会った会社でできることをひとつずつ積み上げながら、やりたいことを見つけていく。これは好きとか、自分に合わないとか精査するぐらいで良いと思います。そうした積み重ねが、次のキャリアプランにも繋がっていくでしょう。
キャリアカウンセラーに自分のキャリアを語るというはじめての経験。
自分にはやりたいことや理想像がきちんとあると内心思いながらも、それらが抽象的で、まだまだ自分と向き合えていないという事実に直面することができました。
自分のキャリアプランについて、他の人に伝えるのはなかなか恥ずかしいもの。ですが、自分の将来について本気で考えたいのなら、しっかり向き合うこと。ましてや、実現したい夢や理想像があるのなら、なおさら必要です。
プロに相談するのは、なんだか気が引ける……。そんな方は、友人でも家族など、まずは近い存在の人に話してみてはいかがでしょうか?
まだまだ人生道半ば。
きちんと深掘り考えることで、それまではただの夢だったキャリアプランも、明確な目標に変わり、実現可能な道筋が見えてきます。さっそく、自分のキャリアを考え、できることから取り組んでいきましょう!
ライター
編集者
カメラマン