雑念とストレスが減少。生産性を高めるタスク管理方法“GTD”とは?
パラレルワーカーにとって、「タスクマネジメント」は重要な課題です。
複数の仕事をしていると、やるべきことが煩雑になってしまいがち。どうすれば家族・友人と過ごす時間や休息の時間を捻出できるか、試行錯誤している方も多いことでしょう。
そこで実践したいのが「GTD」というタスクマネジメント術。GTDを活用すれば、スケジュール帳やToDoリストのみを使う通常のタスク管理法よりも、効率的かつストレスフリーな状態でやるべきことをこなしていけます。
今回はGTDのメリットや通常のマネジメントとの違いから、実践方法、役立つアプリまで詳しく解説。仕事はもちろん、私生活まで含めたタスク管理を苦手とする方や、やるべきことを気持ち良く終わらせたいという方は必見です!
そもそもGTDとは?通常のタスクマネジメントと何が違う?
「GTD」とはGetting Things Doneの略で、直訳すれば“仕事を成し遂げる”という意味。
通常、タスクマネジメントにおいては「優先順位」や「計画」といったキーワードが頻出します。
しかしGTDではこれらに重点を置いていません。GTDは、タスクをこなす心理的負担を減らしつつ、生産性を向上させていくことが主な狙いなのです。
さっそく、通常のタスクマネジメントと「GTD」の違いを詳しくみていきましょう。
■通常のタスクマネジメントは…?
スケジュール帳やToDoリストのみを活用した通常のタスクマネジメントでは、優先順位などをもとに1日の行動計画やこなすべき仕事を把握します。
しかし、実際は予定通りに物事が進まないことが多く、急に入った作業などによって計画が破綻してしまうことがしばしば。すると、計画が無駄になるばかりか、計画を考えること自体が負担になったり、思うように進まないことがストレスになったりします。
あれもこれも……と頭の中がいっぱいになり、本当にすべきことが何だったのか思い出す作業が必要になることも。仕事に注力するためにタスク管理をしていたはずが、それでは本末転倒になってしまいます。
また、こうしたタスクマネジメントで管理できるのは、目先の物事がほとんど。将来的なビジョンや思いついたアイデアは忙しさに揉み消されてしまい、未来の可能性や仕事の質を向上させるチャンスを逃すことになってしまう恐れがあります。
■GTDでタスク管理するメリット
対して、GTDは「タスクを一度すべて書き出し、リスト分けして整理する」という手法。単に予定やこなすべき仕事を管理するだけでなく、ストレスがかからない形で、生産性やクオリティまでアップできるのがGTDのメリットです。
気になっていることを全て書き出し、頭の外へ追い出すことで雑念が取り除かれ、精神的ストレスが減るとともに、やるべきことに集中できます。また、タスクを洗い出した後、項目ごとに分けるので、実際に行動するときはタスクを淡々とこなすだけですみ、効率的に済ませることが可能です。
くわえて、目先のタスクだけでなく、気になっていること・いつか役立つかもしれないアイデアなども落とすことなく管理できるため、仕事の質を向上させたり、人生の幅を広げたりもできるでしょう。
GTDの実践方法を詳しく解説!
それでは早速、GTDの手順について説明していきましょう。
GTDは【収集】【処理】【整理】【見直し】【実行】という5つのステップから成り立っています。これらの項目を繰り返し行うことで、スムーズにタスクを片付けることが可能になるのです。
Step.1【収集】
まずは、頭の中にある「やるべきこと」「やりたいこと」「気になっていること」を紙やパソコン上に書き出します。
「◯日に会議あり」「A社に電話」「◯日の打ち合わせの準備」「◯◯案件について上司に確認」「英語を勉強したい」「自宅の電球が切れかけていた」など、自分の生活に関わることなら内容は何でもOK。
仕事中に思いついたアイデアなど公私や期間を問わず、とにかく頭の中にあるものをすべて洗い出すことが大切です。
タスクを抜け目なく出力するだけでなく、頭の中をスッキリさせることも重要な目的ですので、一度紙に書いたら忘れてしまっても大丈夫。最初は時間がかかりますが、脳内のすみずみに至るまで絞り尽くしましょう。
Step.2【処理】
次に、洗い出したタスクや気になっていることを分類し、リスト化していきます。
・今すぐやるものか?
・複雑なものか?
・他人に任せられるものか?
これらを判断基準として、以下のようなリストに振り分けていきましょう。
<行動すべきもの>
2. 「次の行動」……なるべく早くやるもの
3. 「カレンダー」……特定の日に予定されているもの
4. 「連絡待ち」……他人に任せられるものを依頼し、他人の行動を待っているもの
5. 「プロジェクト」……複雑なもの。計画を立てて進め、定期的に見直す
<行動しなくてよいもの>
7. 「資料」……行動は必要ないが情報として価値あるもの・アイデア
8. 「ゴミ箱」……必要ないもの・きっぱり捨てるもの
9. 「備忘録」……今後、改めて必要かどうかを判断するもの
上記のように分類してみると、客観的に物事を見極めやすくなります。
例えば、Step.1で出した「◯日に会議あり」は③、「A社に電話」は①に当てはまります。「◯◯案件について上司に確認」のような直近のタスクは、②に含まれる場合が多いでしょう。
Step.3【整理】
最終的には、Step.2で分類したリストをもとに行動していきます。
ここで重要なのは、タスクを“簡単に確認できる”ようにすること。つねに手元にあり、すぐに確認できるスマートフォンを活用するのがおすすめです。
上記分類リストの②「次の行動」の中身などは、着手しやすいようにタスクを分割したり、会社・通勤中・自宅などの状況別で項目を分けたりしておくと、より効率的にやるべきことを進められます。
Step.4【見直し】
先にも述べた通り、仕事や生活のあらゆる状況は刻一刻と変化するもの。最初にリストを作成して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。
タスクの進捗状況・今の自分の状態では、リストに従って行動ができるのか。また、改めてチェックして、不十分な点や漏れがないか。状況にもよりますが、最低でも週に1度は見直すようにしましょう。
Step.5【実行】
1〜4のステップをしっかりやっておけば、タスクを実行することに集中できるはず。余計なことを考えず、明確化されたやるべきことを順次やっていきます。
逆のことを言えば、各ステップに抜けがあっては実行の場面で立ち止まってしまう可能性も。1〜5までのステップがそろって初めて意味があるマネジメント方法ですので、各ステップを確実に踏むことを意識しましょう。
タスクマネジメントに役立つスマホアプリ「todoist」
画像出典:todoist
上記の通り、GTDでは“アクセスしやすい身近なツール”を使用することが重要。近年はスマートフォンでタスクを管理している人も多く、便利なアプリがたくさんあります。
その中から、今回ご紹介するのは「todoist」というアプリ。基本的な機能は無料で、PC・iOS・Androidなど、あらゆるデバイス環境で同期しながら利用できます。
シンプルで直感的に操作できるデザインはもとより、GTDでタスクマネジメントする際にも使いやすい設計になっていることが大きなポイント。
例えば、プロジェクトやタスクを階層化できるため、用途に応じてタスクを細かく分類できます。もちろん、タスクを登録したあとも簡単に調整が可能。予定変更にも柔軟に対応できます。
また、ラベル機能を活用すれば、タスクをより効率的に進めやすくなります。例えば「@通勤中」といったラベルで場所ごとにタスクを分類したり、「@15分」と所要時間の情報を加えたりすれば、その場の状況に応じたタスクを迷わず選択できるでしょう。
このように、todoist はGTDに基づくタスク管理をしたい方にもってこい。ぜひ1つめのステップである「すべてを書き出す」という作業から、このアプリを活用してGTDを実践してみてください。
GTDを実践してタスクを効率的に実行しよう
複数の仕事や活動を行なうパラレルワーカーにとっては、確実なタスクマネジメント能力が必須。もちろん、家事・育児といった私生活でのタスクも、しっかりとやっていかなければなりません。身の回りにあふれるタスクを明確化し、スッキリした気持ちで取り組んでいくにはGTDが効果的です。
タスクを効率良くこなせれば使える時間も増え、さらに複業に力を入れたり、生活を充実させたりできるはず。仕事などのクオリティが向上すれば、あなたの信用度や評価も上がっていきます。整理した目の前のタスクを着実に実行していけば、いつしか将来の目標にも近づいていくでしょう。
ライター
編集者
カメラマン