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NPO二枚目の名刺担当者インタビュー~50代のキャリアで大切なのは“内省”と“意味付け”(後編)

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前編でお伝えしたNPO二枚目の名刺とJCDA(特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会)が共催したセミナーは、「50代のキャリアを考える」というテーマで開催した。

後編では、今回のセミナーを皮切りに、NPO二枚目の名刺が今後取り組んでいきたいと考えている「50代のキャリア」について、今回のセミナーを担当したお二人に話を聴いた。

 

◆     ◆     ◆

 

お話をお聴きしたお二人

あきさん(岡 昭宏) 勤めていた会社を早期退職をして、海外支援や障害者支援の団体などで活動。その後、連携団体側からNPO二枚目の名刺のサポートプロジェクト(SPJ)に関わったのがきっかけで、NPO二枚目の名刺の活動に参画。NPO二枚目の名刺では、主にサポートプロジェクトデザイナーとして活動。

キタさん(北川 雄久) 長く携わってきた人事職から異動となり、今後のキャリアに悩んでいたときに「越境学習」というキーワードに出会ってSPJに参加。その後、NPO二枚目の名刺に参画し、主にサポートプロジェクトデザイナーとして活動。国家資格キャリアコンサルタントとして小中学校のキャリア教育などにもかかわる

 

 

振り返って自分を見つめ直す機会が必要

JCDA×二枚目の名刺セミナー後に(担当者の皆さんで)

 

――本日は今回のセミナーを担当した、あきさんとキタさんからお話をおうかがいします。よろしくお願いします。

あきさんキタさんよろしくお願いします。

――セミナーは大盛況でしたね。

キタさん

JCDAでも異例の早さで満員になったそうです。200人以上のキャリアコンサルタントの皆さんとのブレイクアウトルームでのグループトークもすごかったですね。

開催後にメールマガジンの購読申込もあり、NPO二枚目の名刺の取組に関心を持ってくれたキャリアコンサルタントの方もいるようです。

あきさん

――お二人が50代向けの取り組みに関心をもったのはなぜですか?

キタさん

職場やキャリアカウンセリングを通じて周りの50代が輝きを失っていくのを見てきたんですね。役職定年になったりして、それまでの仕事から離れて、自信やモチベーションを失っていくひとを何人も見ました

一方で、NPO二枚目の名刺のSPJなど社外の活動に取り組んでいる50代は、皆さんとてもイキイキしている。「なんでだろう?」って思いましたが、もしかしたら会社では経験してこなかった新しい経験の中で、自分を見つめ直す機会になっているのではないかと考えたんです。

――自分を見つめ直す機会?

キタさん

はい。SPJに参加する50代のひとたちを見ていると、20代や30代に混じって対等に取り組んだり、会社が用意してくれないような「スキルを求められない新しい挑戦」をしていたりする中で、自分のことを見つめ直すことができていると思うんです。

――あきさんは、なぜ50代向けの取り組みに関心をもったのですか?

あきさん

社会が変わっていく中で、今の50代も変わっていかなきゃいけないなんて言われることもあります。ただ、高度成長期に子ども時代を過ごした今の50代は、その環境によってつくられた価値観があるのは仕方ない部分もあるのかなと思うんです。自戒を込めて。

でも、自分たちが若い頃とは変化のスピードが全然違う今の社会だからこそ、私たち50代には振り返って自分を見つめ直す機会が必要なんじゃないかと思うんです。そこで、私も当事者の一人ですし、何かできることがあるんじゃないかと。

SPJ(サポートプロジェクト)とは
サポートプロジェクトは、さまざまな業種・職種の社会人がチームを組み、新しい社会を創ることを目指す団体(NPOなど)とともに、団体の事業推進に取り組む有期のプロジェクトです。通常、5人程度の社会人チームが3~4か月の期間で行います。
プロジェクトテーマは、パートナー団体と社会人チームで協議し、柔軟に設定して実施します。NPO法人二枚目の名刺は、プロジェクトチームのチームビルディングや、社会人チームとパートナー団体のコミュニケーションのサポートなどプロジェクト全体の推進をサポートします。(NPO二枚目の名刺HPから)。

 

それまでの固まった価値観を揺さぶられた

――50代にとってNPO二枚目の名刺のSPJはどういう意味があると思いますか?

キタさんSPJに飛び込むことで自分の足りないところを自覚したり、知らない世界があることを知ることができると思うんです。

年を重ねて経験が増えるとつい傲慢になってしまうこともあるかもしれないけれど、新しい世界で足りないことを知ることでより知りたい気持ちが生まれ謙虚になれる、自分だけでは足りないと思うからこそ助けあえて他者と協働できる。そのことを知れば、もっと踏み出せるのではないかとおもうのです。

――自分の足りないところを知ると、かえって自信を失うことはありませんか?

キタさんできないことを知るばかりじゃなくて、会社の外でも人に役立てる強みに気付くこともできます。私もそうでしたが、自分の強みと弱みの「でこぼこ」を知ることができるんですよね。

これはできるけど、これはできないから助けてもらえばいい。そうやって実施してきたことが、人の役にたつことが実感できれば、むしろ自信になると思うのです。

 

――あきさんは50代にとってSPJはどういう意味があると思いますか?

あきさん見つめ直すことですね。歳を重ねると、気が付かないうちに価値観が固まってることがあります。

SPJもそうですが、それまで過ごした会社の外でNPOの取組などに飛び込むと、そういうことを取っ払える気がします。それは、いろいろなひとがいて、社会人も団体のひとも本当に多様な人と関わることになるから。

――50代には、そういう多様な価値観に触れる機会が必要?

あきさん私も早期退職して、団体に入ってそれまでの固まった価値観を揺さぶられました。BAJという団体の活動でベトナムに行ったんですけど、そこで日本でのあたりまえとの違いを強く意識して。本気で「命がけでがんばるひとを救いたい!」って思った。

仕事では「これが正しいよね」と決めて結論を出すのがあたりまえだった。でも、世の中に正しいこととか、結論なんて本当はないのかもしれない。そんな普通のことに気が付けた。だから、私は本気で、外に出て揺さぶられてよかったって思ってます。訊かれたら即答です。

 

アタマで考えないで、ココロで飛び込んで

――私たちNPO二枚目の名刺ができることって、どんなことでしょう?

キタさん大事なのは機会提供です。人生100年時代、これまで会社のために使ってきた時間を解放できたとき何をするのか、ちゃんと考えることが大切なんですよね。

NPO二枚目の名刺は、SPJをはじめとして、シニアが多様な世代と一緒に社会課題の解決に取り組む機会をまだまだ提供できると思います。SPJにはシニアもだいぶ参加するようになったけど、一方で、こういう場に見向きもしない人にどうアプローチするかは難しいところです。

あきさんSPJに参加してもらえていない50代に、SPJやNPO二枚目の名刺のことをどう知ってもらうかは大切ですよね。参加してもらえるような仕かけが必要なのだと思います。

キタさん企業を巻き込んだり、今回セミナーに参加してくれたようなキャリアコンサルタントとも連携したり、いろいろと仕かけは考えていきたいと思います!

 

――キャリアコンサルタントとはどんな連携をイメージしていますか?

キタさん:SPJに参加しているときの心の葛藤が大切だと考えているんですね。価値観の違うひとたちと取り組んで、課題も思うように解決できない中で、ついcan(できること)、must(やるべきこと)に囚われちゃうのですが、それで終わらない機会にしたいんです。もっとwill(やりたいこと)を大切にしてほしいというか。

そうやって心の葛藤を感じたときに、相談できたり、内省を支援してくれるひとがいると、参加者はSPJの体験をつうじて、より大きな気付きを得られるはずです。まだ模索中ですが、そこでキャリアコンサルタントがいればできることはありそうです。

SPJにはいろいろな人が参加するから、価値観の違いからモヤモヤすることもある。そこに自分の価値観やこだわりが現れているんですよね。そこを掘り下げるのにキャリアコンサルタントのスキルが活きると思います。

SPJの中でのキャリアコンサルタントの位置づけは、まだ模索中ですが、サポートプロジェクトデザイナーとは異なる第三者的な立場から一人ひとりに寄り添う役割などに可能性を感じています。

 

――お二人はNPO二枚目の名刺が50代との取り組みを進めていくと、どんな社会になると考えていますか?

キタさんいきいきしたシニアがたくさんいる社会ですね。自分の子どもに「仕事、つらそうだね」って言われて、ヤバいなと思ったんです。未来の自分も含めて、かがやくシニアを増やしたい。

あきさんやはり高齢化が進んで、シニアは増えていくわけですよね。その人たちがイキイキしないとみんながイキイキしません。それって、これからの若い世代にもいい影響はないと思うんです。SPJの経験をつうじて、イキイキするシニアが増えてくれたらいいですね。

キタさん一方で、言い方が難しいのですが、「シニアはイキイキするべき」という私たちの理想像を押し付けてはいけないとも思っています。そこはやはり本人が一生を終えるときに「いい人生だった」と思えるなら、2枚目の名刺なんて知らなくてもいいのかもしれません。

ただ、選択肢としてはもっと知られてもいいし、その選択肢を選ぶことでいい人生を送れるひとには、もっと私たちの活動を届けていきたいですね。

 

――最後に、2枚目の名刺を持ってみようか悩んでいるひとへのメッセージを

キタさんSPJは時間はつかうけど、他に失うものはない。だから、この扉だけ叩いてみませんか? 好奇心にふたをしないでってことかな。

あきさんここまで話したことをひっくり返すみたいになっちゃうけど、あまり自分を振り返るとかキャリアがどうとか、考え過ぎなくていいんじゃないかな。とにかく入ってみたら分かることってあるよね。アタマで考えないで、ココロで飛び込んでもらえたらいいと思う

 

【編集後記】
今回は、前編でJCDAとのセミナーの内容をご報告し、後編で50代が2枚目の名刺をもつことの意味をインタビュー記事としてお伝えしました。
組織にとらわれず活躍する50代は活き活きしていますが、仕事と家庭のことで手一杯というのが多くの50代のリアルではないでしょうか。それでもセミナーでNPO二枚目の名刺の白石が放った「《会社=社会》だと退職後《社会ー会社=ゼロすなわち孤独》になる」という言葉は、厳しいながらも事実でしょう。
NPO二枚目の名刺が取り組むサポートプロジェクトにも、ここ数年50代の参加者が増えているように感じます。「会社でのキャリアは組織が決める。でも、人生のキャリアは自分が決めるもの」これも白石の言葉ですが、私たちNPO二枚目の名刺が、自分のキャリアを自分で決めようとする50代の皆さんのために、どんな機会を提供できるのか、これからも考えていきたい。今回の記事制作・編集をつうじて、そんなことを強く感じました。
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ライター

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島田正樹
島田正樹
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さいたま市役所に勤めながら、NPO法人二枚目の名刺「2枚目の名刺webマガジン」の編集者として活動。その他、地域コミュニティづくりの活動や、公務員のキャリアに関する活動などにも取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”。『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)著者。ブログで日々情報発信中。https://note.com/shimada10708 https://magazine.nimaime.or.jp/shimadamasaki_interview/
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