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副業プログラムのプロデューサーが語る「2枚目の名刺人材に求められること」とは?

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NPO法人ETIC.で地域に貢献したいと考える都市部人材と、経営課題の解決を望む地域企業を結ぶマッチングプラットフォーム「YOSOMON!」の事業責任者として活躍している伊藤順平さんのインタビュー後編です。

前編はこちら↓

「社会的意義をダイレクトに感じられる仕事がしたい!」起業を夢見た彼がNPOに出戻った理由

ソーシャルを仕事にする

NPO法人ETIC.に復帰後、伊藤さんは地方を舞台にチャレンジする人を増やすローカルイノベーション事業部に所属。現在は、地域に貢献したいと考える都市部人材と課題解決を望む地域企業を副業でマッチングする『YOSOMON!』事業を手掛けている。

『副収入を得るための副業』というよりは、『貢献実感を得られるところで働く副業』を推奨するプログラムです。スキルや経験を活かし地域に貢献したいという温かいリソースを、人材不足に苦しむ地域の企業につないでいく、そんなイメージです。会社の理念や事業への共感をベースにマッチングを図っています。」

「東京生まれ東京育ちなんで、最近話題の地方創生もそんなに興味がないんですよね」とあっけらかんと言う伊藤さんだが、取り組む事業内容は、『その人が輝けるように背中を押す』という、やりたいことそのものだ。

「副業とは言え、誰かの人生がかかっている仕事。受け入れる側の企業にとっても、どんな人が来るかは非常に重要です。だからこそ、採用する側にも、採用される側にも、自分で決める、選ぶ、意思決定してもらう、ということを何より大切にしています。『伊藤さんが言ったから決めました』ではダメ。自身の意思で決めて、行動したことであれば、もし仮にミスマッチになってしまったとしても、得るものが必ずあると思っています。」

仲介をする立場としての責任。ミスマッチになってしまったときには、胸が詰まる想いもするという。

「だけど、チャレンジした人が楽しそうに活き活きと活躍している姿を見ると、本当に嬉しいんです。」

輝きたい人の背中を押し、輝かせるきっかけを作る。その仕事は、伊藤さんの人生にも『貢献できた』という実感をダイレクトに与えてくれる仕事でもあるようだ。

ソーシャルを仕事にする人たちの共通点

そんな伊藤さんに、転職をして感じていることについて訊ねてみた。

「予実管理やシフト作成といった、店長時代に身に着けた表面的なスキルは、直接的には役に立っていないですね(笑)。だけど、店舗で学んだこと、例えば『いかにお客さんの期待を上回るか』という姿勢だったり、『繁忙期の前の準備が大事』という準備の大切さ、店長時代にアルバイト面接やスタッフ教育で培った『人とのコミュニケーションの取り方』などは、本質的な部分でどんな仕事とも共通することだと思います」

伊藤さん自身は、最初の会社も今のNPOも、同じように理念に共感して入った組織だが、NPOで働く人に、より強く感じる共通点があるという。

「非営利は、『やりたくてやっている』という同じ価値観で働いている人が多いので、働きやすいですね。給与がいいから、休みが多いからなど、条件を目当てにNPOを選ぶ人はなかなかいないと思います。そういった環境面が未整備でも、前向きなモチベーションで仕事をできる人が集まっている印象です。もちろん、魅力ある職場環境づくりへの努力は、団体としても業界としても、やっていかないといけないのですけど。」

理念に共感して集い、働くことに対する価値観も一緒なのは、NPOだからこそ、なのかもしれない。

「次のキャリアをどうするか、いつまでETIC.にいるのかも決めていないですけど、今はこの状況を楽しめています。」

笑顔でそう答えてくれた。

2枚目の名刺人材に求められることとは……

ETIC.で活躍されている伊藤さんだが、実は2枚目の名刺ホルダー。
本業でご縁があった、山口県のジャムメーカーのお手伝いを定期的にされているという。

「東京で開催されるパン祭りに山口から来て出店されるというので、遊びに行かせてもらったのがきっかけでした。社長と社員の方の2名でお店を切り盛りされていたのですが、お客さんが多すぎてチャンスロスがあると思ったんです。」

現場に足を運んでみて、見えた課題。

「山口から社員を連れてくるには、交通費も宿泊費も多くかかります。自分にできることが何かないかと考えたとき、自分にはお店を運営した経験も、接客の経験もある。だったら、と思って、東京で催事に出店するときには、東京の現地スタッフのような形でお手伝いするようになりました。最近は、社員の方が1人も来なくなって、東京で運営チームを作ってイベント出店をしています(笑)。」

前職で培ったスキルは本業では活かせなくても、2枚目のフィールドでは、誰かの役に立つスキルとなることもある。自身の貢献できることを活かして、現場に潜んでいた課題を解決した事例だ。

「中小企業やNPOに共通することかもしれませんが、『明確な困りごと』がないケースって、とても多いと思っています。なぜなら、オーダーが分かっていれば、アウトソースできるから。ジャム屋さんの件は、求人に出ていないニーズを拾い、たまたま汲み取ることができたという話なんです。」

受発注の関係ではなく、現場に寄り添い、一緒に考えて、自分で役割を作り出せる人が『2枚目の名刺人材』には求められていると、伊藤さんは語る。

「誰しもが誰かの役に立てると信じています。最初は、時間や工数を提供できるだけかもしれないけれど、そのこと自体も素晴らしいこと。そうして、足を踏み込めば見えてくるものが必ずあります。そこから、自分でできることで、もっと貢献できないかと考えが広がって、課題の解決や新しい価値創造に繋がる。コミュニケーションをする中で見えてくることもあると思うので、まずは気軽に足を踏み入れてほしいです。」

自分を3Dスティックで操作しよう

大学生の頃に持っていた、漠然とした起業への憧れ。あの想いはまだあるのだろうか。

「あの時のように、漠然と『起業したい』とは、今は全く思っていないです(笑)。ただ、当時言われた『起業は手段』という言葉の理解が、より深まった感じがしています。社内ベンチャーも同じで「手段」なんですよね。そこへの執着は全くなくて、自分なりにこんな社会になったらいいなと思うことや、自分がやりたいと思っていることをやれている状態であることが大事だと考えています。」

最後に伊藤さんはこのように答えてくれた。

2枚目の名刺を持つことも、目的ではなく手段。
何のために2枚目の名刺を持つのかを、改めて考えてみてほしい。
本業ではないからこそ、自由に動ける自分自身を3Dスティックでどのように操作するか。輝かせるか。

もし、輝かせ方がわからないなら、難しく考えずに、まずは興味をもったことに飛び込んでみよう。勧められたことに乗っかってみよう。
伊藤さんが大学生時代にインターンシップ経験で人生の軸となるきっかけを得たように、そこではきっと、次のヒントが見つかるから。

会社を辞めずに地域に貢献する副業がしたい人必見!

伊藤さんが事業責任者を務める「YOSOMON!」はこちら
https://yosomon.jp/

(画像:YOSOMON!ホームページより流用)

本当に自分に合う地域や仕事・チャレンジの機会を探している都市部在住の方と、地域で新たな事業・チャレンジを仕掛けている人=『仕掛け人』を繋ぐマッチングイベント「日本全国!地域仕掛人市2019」も6月30日開催予定です。
https://shikakenin.challenge-community.jp/

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大西弘毅
ライター
多様な価値観・働き方に触れること、文章を書くこと、写真を撮ることが好きで、学生の頃から「2枚目の名刺」としてアマチュアライター実践中。1枚目の名刺は経営コンサルタント。3枚目の名刺は国家資格キャリアコンサルタント。
はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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