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2019.05.30

何でも面白がっちゃう僕が、“3枚の名刺”を持ち続ける秘訣【「○○を面白がる会」主催者に訊く】後編

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さまざまなテーマについて、集まったメンバーが一杯飲みながら課題解決アイデアを考える飲み会「○○を面白がる会」(以下「面白がる会」)。前編では「京王新線を面白がる会」の様子をレポートし、課題を面白がっているうちに“2枚目の名刺”につながってしまう「面白がる会」の“面白さ”をお伝えした。

“面白さ”を体験すると気になるのは「面白がる会」の裏側。「面白がる会」を主催する唐品知浩さんにこのイベントが生まれるまで、そしてご自身の“2枚目”観についても聞いた。

不動産を“ゆるく”とらえて楽しむ発想から「面白がる会」が誕生

「面白がる会」を主催する唐品さんの“1枚目”は別荘に特化した不動産ポータルサイト「別荘リゾートネット」の運営。それ以前もリクルートで不動産サイトの運営に携わっており、不動産会社や不動産関係の知り合いが多かったことが「面白がる会」を始めるきっかけになった。

「今は駅からの近さで家賃が決まってますが、だんだん“駅から離れていても物件が楽しければいい”という人も増えてきていますよね。そんな感じで、もうちょっと不動産をゆるくとらえられたら、不動産業界はもっと面白くなるし、一般の人との接点もできると思ったんです。それで始めたのが『不動産を面白がる会』。『面白がる会』の第一弾です」

「不動産を面白がる会」は「モデルルームを面白がる会」「管理組合を面白がる会」などテーマを変えて開催。既成概念を変えて「もっとゆるくやりたい」というムードが不動産業界で広がっているのもあり、参加者も増えていったという。

「京王新線を面白がる会」のように、エリア名を冠した「面白がる会」の初回は「調布を面白がるバー」だった。「調布」が選ばれたのは、唐品さんの地元だったことから。やはり何事も“自分事”であることが“面白がる”原点なのかもしれない。

「『別荘リゾートネット』の会社自体は中央区にあるんですが、そこから調布まで往復すると2時間かかる。仕事としては会社に行かないとできないことでもないし、地元にできたコワーキングスペースで仕事するようになったら、そこの運営の人から“調布でもやりたいです!”と言われて。開催にものすごいパワーが必要な飲み会でもなく、設営も大して手間がかからない『面白がる会』ならやってみようかと」

「手間がかからない」ことは、「面白がる会」を過去100回近く続けることができたひとつの要因だと唐品さんは話す。告知内容や当日会場で話される「面白がる会」の趣旨は基本的には毎回同じ。会場にも特別な設営は必要なく、プロジェクターとマイクさえあればできてしまう。

「別に僕がやることが重要なわけではない。主体は参加者ですから。あがってきたアイデアについても僕が動く必然性はなくて、集まった人たちのやる気がわくようならば行動を起こしてもらえばいいと思っています」

「面白がる会」をきっかけに動き出した『ねぶくろシネマ』

ちなみに「調布を面白がるバー」では唐品さん自身がやる気になって、動き出しているアイデアがある。それが野外上映イベントとして全国各地でも開催されるようになった『ねぶくろシネマ』だ。

(画像:「ねぶくろシネマ」Facebookページより転載)

「“とりあえず京王線の橋脚に映画を映して、みんなで観よう”というところから始まったもので、ほかの場所でも開催してビジネスにすることは当初は考えてませんでした。最初にいつも『面白がる会』で使っているプロジェクターと発電機を持って、“やりたい!”って言い出した仲間と川に行って試写をしてみたら、色あせた橋脚に映画が映ってるのがすごくよくて。そこから本気で仲間を集めようとなったのが2016年の10月中旬。本来なら、暖かくなる3月ごろにやるべきなんだけど、誰かに言いたい感が止まらなくなって、無理矢理12月にねじこんだんです(笑)。寒さをどうにかするために、寝袋にくるまって観るから『ねぶくろシネマ』という名称になりました」

唐品さんが“3枚目の名刺”を持つようになったのも、「面白がる会」をきっかけにした“やりたい!”というワクワク感が原動力に。『ねぶくろシネマ』というキャッチーなネーミングも偶然の産物だったというわけだ。

根っこをつなげ、効率化するのが“3枚の名刺”を持ち続ける秘訣に

3枚の名刺ホルダーである唐品さんだが、「別荘リゾートネット」が不動産関連であり、「面白がる会」も「ねぶくろシネマ」も不動産会社がサポートしてくれることが多い。すべてが「不動産」という根っこにつながっている。

「話をする相手は共通してるんだけど、Webサイト、イベント、映画と、媒体が違うものをテーマに話をしている感覚ですね。それぞれの名刺で出会った人たちみんなとFacebookでつながってるので、人脈がぐちゃぐちゃになってるんですけど(笑)、わざとぐちゃぐちゃにしてるのもあるかも。『ねぶくろシネマ』でつながった人が、“この50万円の別荘おもしろい!”って別荘に興味を持ってくれることもあるので。そういう相乗効果はありますね」

複数の名刺の根っこをつなげておくのは、効率的であるというメリットも。

「アパレルはとにかくたくさんの人に来てほしいけど、不動産はあまりたくさん来なくていいから買ってくれる人が確実に来てほしい。業界によって求める利益率や効果が違うじゃないですか。いろんな業界の名刺を持つと、幸せのベクトルが違ってややこしくなる。僕はいろんなことをやりたいからこそ、業界を同じにして効率化させているところはあるかもしれないです。『ねぶくろシネマ』も『面白がる会』も効率化にはこだわっていて。『ねぶくろシネマ』は上映パターンやセッティング方法はほぼ決まっていて、毎回場所が変わるだけ。『面白がる会』もプロジェクターと基本セットは同じだし、導入で話すことも同じ。合間で話すエリアの話をその都度変更するだけにしています。どちらもできるだけ数をたくさんやるためにも、なるべく効率的にする。そこは心がけていますね」

まちづくりに参加するにしても、これからの社会を創るために2枚目の名刺を持つにしても、まずは「面白がる」姿勢を体感することは何よりの第一歩かもしれない。

「そもそも知らない人の話って面白いじゃないですか。まったく知らない業界の人と話して、仕事上でこんな悩みがあるって聞くだけでも面白かったりする。課題解決につながらなくても、人の話を聞くだけで面白いというのはあると思うんですよね。たまに自分のやりたいことだけを話し続ける人もいたりするんですけど、一歩引いてみると、この人はなぜ自分のことばかり話すんだろう?って面白がれたりする。自分ができることや、自分の価値に気づいていない人も結構多いので、『面白がる会』に来てもらって普段会わない人と話すことで、それを見つけてもらえるといいかもしれないです」

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古川 はる香
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フリーライター。主に女性誌や育児誌、WEBで執筆。
はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。