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タイがカモになる!?株式会社週休3日に訊く「週休3日正社員制度のメリット」

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静岡県浜松市にある「株式会社週休3日」

キャッチーな看板がSNSにアップされ、yahoo!のトップニュースでも話題になったので、ご存知の方もいるかもしれません。

 

パラレルキャリアを応援する「2枚目の名刺Webマガジン」としては、“週休3日”を社名にまでしてしまう同社を見逃してはおけません。

だって、週休3日で働くことで、2枚目の名刺を持つハードルがグッと下がるかもしれないじゃないですか……!

参考記事>電通が労働環境改革の一環として試験導入した「インプットホリデー」で、社員の生活と仕事はどう変わるのか?

 

これは、「やりたいことはあるけど、本業が忙しくて2枚目なんてとてもじゃありません」という読者のためにも取材してこなければ!ということで遠路はるばる浜松まで行ってきました。

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ところで株式会社週休3日って、何する会社? ……と、その前に

浜松駅から徒歩10分ほどのところにあるオフィスで出迎えてくれたのは、株式会社週休3日の代表取締役 永井宏明さん。

永井さん「12年前に会社員をやっていたときに、週休3日正社員で働いていたんですよ、僕。もともと印刷・広告代理店で4年働いて、次にWebのコンサルをやっていたんですけど、週に1日、専門学校の非常勤講師をやることになりまして。それで、フリーランスになろうかなと思っていたら『週4日でもいいから働いてみないか』と誘っていただき、“週休3日正社員”として働くことになったんです」

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「働き方改革」はおろか、「柔軟な働き方」という概念さえなかった12年前から週休3日正社員として働かれていたのには驚いた。さらに、早くからパラレルキャリアも実践していたようだ。

永井さん「まさに2枚目の名刺かと思うんですけど、地元にタレント養成スクールがあって、そこでお芝居を教えたり、自分で脚本書いたり、演出したりっていうのもやっていて、もういっちょ……」

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(永井さん提供:演劇指導中の一コマ)

もういっちょ!?!?

永井さん「地元産の燃料を使った薪ストーブ、ベレットストーブを販売しています。地元産のエネルギーがあることを知り、普及のためのお手伝いをしているんです」

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(永井さん提供:おしゃれなベレットストーブ)

 

「完全にパラレルキャリアですね!!!」と思わず感嘆の声を上げてしまった。

まさかご自身の体験が株式会社週休3日設立の背景にあったとは……と思いきや、「そうではないんです」と永井さん。

週休3日正社員制度のメリットその①:離職率が下がる

永井さん「週休3日正社員で働いていた会社に介護事業があり、そこで介護施設の施設長を8年やらせてもらいました。

その中で、人手不足に困ったんです。楽ではない仕事ですから、やる気があるスタッフも週に2日の休みでは疲弊してしまいます。それに家庭の事情で、週休2日で働き続けることができない人もいます。採用にも苦労しましたし、離職率が高かったんです」

介護職員の離職率の高さは度々メディアで見聞きして知ってはいたが、永井さんのお話では、20%を超える施設も多いそうだ。

 

永井さん「それで、会社に理解してもらって、働く日数も8割、給料も8割、年間休日153日、月18日勤務で、ほぼ週休3日みたいな働き方をする正社員を募集することにしたんです。

最初は『そんな働き方したい人いるの?』と懐疑的な声が多かったのですが、実際にやってみると、既存の職員と新規採用者を合わせて、全体の4割弱が週休3日正社員を選択することになりました」

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(出典:株式会社週休3日HP)

なかには、産育休からの復職にあたり週休3日正社員を選ぶ人や、仕事時間を少し増やしてパートやアルバイトから正社員になる人、求人の時点で「本当に年間休日153日なんですか?」とこの制度があるがゆえに入社を決める人もいたそうだ。

永井さん「週休3日正社員は働く人にとって潜在的なニーズがあるのだということを確信しました」

 

さらに週休3日正社員は、事業者にとっても大きなメリットがあったという。

永井さん「従業員の離職率が大きく減ったんです。離職率が7%以下と半減し、週休3日正社員に限っていえば、5年間の平均離職率が2%にまで下がりました。

とにかく働く方が辞めないんです。そうすると採用コストが抑えられたり、研修教育コストが削減できたり、業界からの離脱を防止できたりします。なのに、総人件費は上がらないんですよね。給料が8割になると、社会保険の企業負担も8割になります。採用コストが下がる分、若干上がったとしても相殺されて、ほぼフラットです。

何より感じたのは、週休3日制で“タイがカモになる”ということです。これネタですけど(笑)」

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(永井さん提供)

週休3日正社員制度のメリットその②:タイがカモになる!?

永井さん「週休3日で働くと、もう1日休み“タイ”が、もう1日働いてもいい“カモ”になる。これくらい大きな変化があるんですよ。

ご入居を検討されているお客様にペースダウンして働ける正社員制度があるのだという話をすると、『あら、それなら余裕があって優しくしてくれるわね』と言われたことがありました。サービスの質の根拠にもなり、他者と差別化できますよね」

確かに自分や家族が医療や介護を受ける側に立つと、「もう1日休みたい」と思っている人よりも、「もう1日働いてもいいかも」と思っている人からサービスを受けたい。心や活力に余裕がある人の方が、質の良い丁寧なサービスを提供してくれそうだ。

 

では本題、株式会社週休3日は何をしている会社なのか? 

永井さん「そんな経験から、週休3日正社員を働き方の選択肢として広げたいと思い、2017年1月に株式会社週休3日を創業。週休3日正社員に特化した有料職業紹介を始めました。

ただ、第1期はかなりの赤字だったんですよ。理由は、週休3日正社員で採用する会社がなかったから。実際は事業開始前に「週休3日正社員でいいから紹介して」と複数の事業所と話がついていたのですが、実際にご紹介できる段階で、どの事業所さんもトーンダウンして(泣)。それで、働き方に悩む人が多く、かつ人材不足傾向にある薬剤師の人材紹介に特化したのが第2期です」

一般的な調剤薬局は、月・火・木・金は8時間勤務で、水・土は4時間勤務といった具合に、週に2日半日勤務であることが多い。実質週休1日だが、こうした働き方を週休2日と言っている。ハードワークであるため離職率も高く、「週休3日正社員でもいいから採用したい」という経営層からの声があった。

 

永井さん「週休3日正社員と事業者とのマッチングをしていますが、僕らは働く人全員が週休3日になればいいとは思っていないし、週休3日正社員で働き始めた人がずっと週休3日で働けばいいとも思っていないんです。ライフステージやその時の状況に応じて、週休3日正社員を選択できる世の中の方がより生きやすいだろうということなんです」

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変わってきた「週休3日」に対する社会の目

私も子育てをしながらフリーランスとして働いている。週休2日で、しかもハードワークな出版社の正社員として働き続けることが困難だったため、出産を機に退職した。今は土日を含めて週4〜5日程度働き、平日1日は自分のための時間に充てるよう努めている。それが、子どもに余裕のある状態で接するための秘訣だと、経験から学んだからだ。

そういうわけで、週休3日正社員という制度には大いに賛成するのだが、こうした共感の声は永井さんの元にも多く届くようになっている。

永井さん「週休3日正社員に対する共感は高まっていると感じます。実は去年の4月くらいまで週休3日に対するコメントって結構ネガティブだったんですよ。メディアで取り上げられても、良い反響なんてなくて……。それが、今年に入って『そういう選択肢もあっていいよね』『私も週休3日で働きたい』という声を多く見かけるようになってきました。声に出しやすくなったんでしょうね

インターネット上で『一般正社員と給料8割の週休3日正社員、どちらを選美ますか?』というアンケート調査をしたところ、70%の人が週休3日と回答したんです。女性の回答率が90%を超えてましたけど、相当ポテンシャルはあると思います」

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(出典:株式会社週休3日HP)

 

こうした社会背景の後押しもあり、週休3日正社員薬剤師の紹介業は軌道に乗り、今後は看護師、介護士などの医療介護福祉業界にまで幅広く広げて行く予定だという。

続く記事では、どのような人たちがどのような理由で週休3日正社員という働き方を選んでいるのか、事業所が週休3日制度を取り入れる上での留意点は何なのか、ということについて、永井さんにお話をうかがう。

後編「年間50日休暇が増える!週休3日制度がパラレルワーカーに歓迎される理由」に続く

株式会社週休3日のHPはこちら

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はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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