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アデコの部長がNPOサポートプロジェクトに挑戦!上級管理職が2枚目の名刺を持ってみたら【前編】

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人材サービス会社であるアデコ株式会社の経営企画部門で部長を務める浅野弘樹さんと、営業部門で部長を務める岸浩之さんは、パラレルキャリアへの関心から、2018年6月から3ヶ月間、二枚目の名刺サポートプロジェクト(※)に参加した。

(※)NPO団体等が掲げるミッションや想いに共感し集まった社会人がチームを組み、団体の事業推進に取り組む3か月程度のプロジェクト

なぜ上級管理職の彼らが2枚目の名刺に興味を持ち、やってみようと思ったのか。どのようなプロジェクトに参加したのか。プロジェクトを通して何か変化はあったのか。ざっくばらんにお話しをうかがった。

前編では、2枚目の名刺に関心を持った理由や参加したプロジェクトについて紹介する。

(左:浅野弘樹さん、右:岸浩之さん)

副業解禁!まずは管理職である自分たちから……

―――パラレルキャリアへの関心からサポートプロジェクトに参加されたのだと伺いました。なぜやってみたいと思われたのでしょうか?

浅野さん:理由は2つあります。1つは、年齢を重ねるにつれ、自分の中からクリエイティビティが失われていっているのではないかという危機感があったこと。長年同じ会社で働いているので、きっと知らない間に固定観念ができてしまっている。それを明らかにして壊していかないと、クリエイティビティは維持できないだろう、と。違う環境に飛び込むことで、固定化したものを崩す作業がしたかったのです。

2つ目は、『未来の働き方のワークショップ』という社内研修に参加した時に、世の中の変化を“自分の”人生に照らし合わせて楽しもうとするマインドがないことに気付いたのです。経営企画の仕事をしているので、“組織人として”環境変化をどうビジネスにつなげるかということはよく考えていましたが、「個」としてどうしていこうかという意識はなかった。それで、ちょうど会社が副業解禁したこともあり、何かやってみたいと思いました。

岸さん:僕は、自分も含めた「アデコ社員の市場価値はどんなものなのか」ということに興味があり、外部との接点を持つことで市場価値を目の当たりにできるのではないかという期待がありました。一つの組織にいると、どうしてもその組織内での評価ばかりを求めがちです。でも会社の外に出た時に、「どんな価値を提供できるのか」ということを知っておくのはとても大事なことだと考えていました。

ただ社内で副業解禁されても取得率は一桁台。私もすぐにやろうと思っていましたが、なかなか始めの一歩を踏み出せずにいました。

浅野さん:ワークショップで岸さんと「パラレルキャリアチーム」を組み、「若手がやれば、会社が盛り上がるよね」という話をしている中で、「若手に勧めるためにも、まずは自分たちが経験してみよう」ということになったのです。

(「パラレルキャリアを始めてみようとは思ったものの、
何から始めればいいのかわからなかった」と岸さん)

“当たり前”が通用しない環境へのチャレンジ

―――パラレルキャリアを始める方法は色々とある中で、なぜ二枚目の名刺のサポートプロジェクトを選ばれたのですか?

浅野さん:はじめはスタートアップの事業会社に興味がありました。でも我々の年齢(浅野さん=46歳、岸さん=49歳)ではあまり受け皿がなく、マッチングできないケースも多いみたいで……。それに、会社が給与負担するスキームなど、いくつかの障害もありました。それで企業連携のプロジェクトをするなど、様々な新しいことに取り組んでいる二枚目の名刺にコンタクトを取ったのです。

岸さん: 他の団体でうまくマッチングできなかったということもありますが、普段の役職も業務も全て取っ払った自分の市場価値を知るのに、サポートプロジェクトは最適ではないかと思いました。

でも実は、いわゆる社会貢献活動やNPO活動をすることに対して、少し気恥ずかしさを感じたり、一歩引いてしまったりする自分もいました。どこか「自分とは遠いところの活動」というイメージがあって。プロジェクトが始まると、そんなことは忘れていましたけれど。

(「会社の当たり前が通用しない環境に飛び込むことで、
クリエイティビティが高まるのではないかと考えた」と浅野さん)

―――では今回参加したプロジェクトを選ばれた理由は何だったのでしょうか?

岸さん:僕の入った「きょうされんプロジェクト」のパートナーは、障がい者が働く共同作業所を支援している団体。人材サービスの会社に勤めているので、「働く」というテーマで何か役に立てるといいなと思い、参加を決めました。

ただ、団体からの最初の依頼は「障がいを持つ方々が作った商品を宣伝して欲しい」というもの。アデコはプロダクトを持たない会社なので、「果たして本当に力になれるのかな」と不安もありました。

(岸さんが参加したきょうされんプロジェクト)

浅野さん:私は一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会がパートナーの「いのちの授業」プロジェクトに参加しました。岸同様、初めから社会貢献活動に関心があったわけではありませんでしたが、この団体が掲げている理念(※)を聞いた時に、「もっとこの活動を知りたい」「自分にできることは何かないか」と思ったのです。自分にできることがあるかどうかはわかりませんでしたが、絶対に想いを乗せられると思って手をあげました。

(※)人生の最終段階を迎えた人が住み慣れた地域で最期を迎えるための支援ができる人材を育成する

(浅野さんが参加した「いのちの授業」プロジェクト)

ポジティブでアグレッシブなアイデアマンが集まるチーム

―――プロジェクトの中ではどのような役割を担われたのでしょうか?

岸さん: きょうされんプロジェクトはリーダーを置かず、やりながら何となく役回りができていったチームでした。僕は自然とファシリテーターをやっていましたね。というのが、それが僕にできる唯一のことだったのです(笑)。

会社では比較的アイデアをよく出す方なのですが、このメンバーには敵わなかった。プロジェクトのはじめの頃に、あるテーマでアイデアを募ったら、会社でポストイットワークをするときの3倍くらいの案が出て。会社でも量はたくさん出るのですが、似通ったものも多い。でもこのプロジェクトで出てくる案は、バリエーションに富んでいたのです。

とにかくみんなアイデア豊富で、発想豊かで。僕は同じ土俵には立てないから、みんなの意見を聞こう、アイデアを引き出そうと、気が付けばファシリテーターになっていました。

浅野さん:私たちはきょうされんチームと違って、役割を決めて進めることにしました。もともと「参加するならハードな方がためになるかな」と思っていたこともあり、自薦で若いメンバーから手が上がらなかったので、私がリーダーになりました。でもやってみて思ったのは、ここに集まってくるメンバーは、想いを持っている人たち。受け身な人は一人もいないんです。自薦では手が上がらなかったけれど、それは心理的な安全を確保しているだけであって、いざスタートしてみると、みんなポジティブでアグレッシブでした。

岸さん:浅野さん、「俺リーダーなんだけど、俺だけ付いていけない」ってよく言っていましたもんね(笑)。

(プロジェクトのことを話すお二人の顔が生き生きとしているのが印象的だった)

2枚目の名刺は「居心地が良くない」!?

―――「会社の中のやり方が通用しない」という点についてはいかがでしたか?

浅野さん:間違いなく言えるのは、「決して居心地が良いわけではなかった」ということですね。

1枚目の組織では、管理職としてのヒエラルキーみたいなものが少なからずあるし、みんなが同じ方向を向いているから、「これはこうだよね」という意思疎通ができる。2枚目ではリーダー制をとったとはいえ、基本的にはフラットなチームなので、20代前半のメンバーとも意見をぶつけ合う。ヒエラルキー組織に慣れている身からすると、決してやりやすくはないですよね(笑)。

でも、自分にはそれが必要だったのだろうなと思います。「あ・うん」でやれる環境に慣れてしまうと、クリエイティビティは生まれませんから。それに、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないのだと知ったことで、会社に感謝をする気持ちもすごく芽生えましたね。

岸さん:僕もそれは同感です。一方で、「異業種の人たちが集まれば、これだけダイバーシティに富んでいるんだ」ということを最初の段階で気付けたことで、社外のコミュニティーを尊重できたことは大きかったです。

会社の方がやりやすいなとは思うものの、逆も然りで、なかなかはみ出した意見が出づらいといったこともある。それはもしかしたら、自分自身が管理者として見えている指示をしてしまっていたのではないか、ゴールを決めすぎてしまっていたのではないかと、プロジェクト中に猛省しました。それ以降、メンバーに出す指示の仕方を変えました。

(岸さんの腕には、きょうされんプロジェクトのイベントで使用したイエローリボンリストバンドが)

―――越境したことでマネジメントのスタイルが変わったということですか?

岸さん:そうです。アデコでは新年度に部門キックオフを行うのですが、来期の部のスローガンや営業戦略の策定をメンバーに権限移譲しました。これまで僕が自分のリソースの30%くらいをかけてやっていたことですが、「メンバー全員で考えるのと、僕が考えて共有するの、どちらがいい?」とメンバーに尋ねたら、全員一致で「前者がいいです」と。そうしたら、素晴らしい来期の活動計画ができました。

「メンバーに権限を与えることで、組織が生き生きとする」ということを、リアルに体感しています。これまで気が付かなかったけれど、権限移譲してみたらすごく積極的に手を動かしてくれるメンバーが何人もいた。自分が率いる部はもう大丈夫だと思ったので、今このパッケージを全社でやろうと発信しているところです。

「権限移譲して、部の方針をメンバー全員で決める」。そんなパッケージを岸さんは社内で立ち上げ、現在30名の有志メンバーが参画し、今年から本格的に活動をスタートさせる。

続く(後編はこちら)
後編では、サポートプロジェクトの感想と今後の展望をうかがいます。

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はしもと ゆふこ
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2枚目の名刺webマガジン編集者。 出産を機に出版社を退職し、ママ向け雑誌や広告、Webメディアなどで編集・ライターとして活動している。
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