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【HRカンファレンスレポ】パラレルキャリアを推進するための課題と企業の乗り越え方

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「日本の人事部『HRカンファレンス‐春‐2017』」の特別セッション「新しい働き方が社員のキャリアを豊かに構築する~「2枚目の名刺」の人材育成効果とは~」。このセッションの模様を全3回のレポートでお届けする。

「2枚目の名刺」の人材育成効果がわかる!
「HRカンファレンス‐春‐2017」レポートは全3回

-1- 枠を超えたら世界が変わる~ギャップジャパンが体験した越境学習の効果とは~
-2- 企業が「副業・兼業」「パラレルキャリア」を推進する意義やメリット
-3- パラレルキャリアを推進するための課題と企業の乗り越え方

人事担当こそが、既存の枠を超える必要がある

企業が社員のパラレルキャリアを推進していくための課題は、どう乗り越えていけばいいのだろうか。パネリストとして登壇したNPO二枚目の名刺代表・廣×ギャップジャパン人事・志水氏×法政大学大学院・石山恒貴教授の3人が、それぞれの経験や研究から人事担当者の疑問に答えた。

(写真左から:石山恒貴教授、志水静香氏、廣)

Q.ギャップジャパンのプロジェクトでは、自ら手を挙げた社員が参加したとのことだが、そこから選抜をしたのか? した場合はどのような基準を設けたのか?

志水:前回は、自主的に手を挙げた人全員に参加してもらいました。今年はアプローチを変えて、将来的に経営を担うリーダーとして会社を引っ張っていってくれそうな人たちに優先的に声をかけて、そこから手を挙げてもらいたいと思っています。社員の意思を大切にしたいので、できるだけ選抜はやらず、手を挙げた人全員が何かしらの形でプロジェクトに関われるように工夫していく予定です。

廣:企業協働のプロジェクトでは、選抜されるケースと選抜されないケースがあります。次世代リーダーなど、特定層の人材育成をしたいという明確な意思がある場合は、選抜されることが多いですね。一方で、やりたい人が声を上げることを大切にする企業もあり、そのケースだと入口をCSRにしていることもあります。

Q.プール人材に声をかけるということだが、そういったエース級の社員たちは本業だけで手いっぱいなのでは?

志水:私たちの会社では、ダラダラと長時間労働をしている人は、実は評価されないのです。能力が低く、非効率であるとみなされることさえあります。タレントレビューをする軸の中に、「短い時間で効率よく働き、自身のプライベートを大切にする。リーダーとしてそれを自ら体現しているか」「次世代のリーダーを育成しているか」というような指標も入っています。ポジションが上に上がれば上がるほど、社内外での活動も重視されるので、プール人材が本業で手一杯で長時間労働をしていることは、当社には当てはまりません。エース級の人材こそ、時間という限られた資源をうまく活用して、自身の成長につなげていると思います。

Q.CSRの軸から入っていこうとしたときに、プロボノの制度を持っていると、バッティングをしてブレーキがかかることはないのか?

廣:これまでに二枚目の名刺が関わったところでは、CSRに人材育成の機能を追加するという発想で取り組みを広げられたケースがあります。CSRという要素と、人材育成という要素を合わせ持つプロジェクトとして、人事とCSRという垣根を越えて、その目的を実現するための最適な形を模索すればよいのではないでしょうか。ぜひ人事の方も人事という視点にとどまらず、まずは自分自身が組織の枠やこれまでのやり方を超える姿を社員に見せていくことは重要だと思います。

それから、企業の社会貢献活動は、社員をボランティアに参加させること、CSRとして寄付することなどがこれまで行われてきました。しかし、ややこなしている感もある。そろそろもうひと工夫あってもいいのではと思いませんか? 例えば、CSRとして寄付した先に、社員がチームを組んで事業推進に取り組むことをセット人にするといこともありだと思います。CSRの変化も見てみたいですよね。

「どんな人生を生きたいか」が社会活動の動機になる

Q:スポンサードプロジェクトをやろうと進めていて、人事が諦めてしまうケースでは、どんなことが壁に?

廣:「これは業務なの? 研修なの?」というせめぎあいや、新しいことを通せるかどうかという難しさが大きいです。あとはほかの越境学習を提供している団体さんと話すと、やはりプロジェクトに参加した結果、「社員が辞めてしまうのではないか?」という議論があるようですね。

僕自身、社外の活動をやればやるほど自分のやりたいことが見つかって、違うところに行きたくなる人が出てくるのは仕方がない面もあると思います。ただ、社内外を行き来する人材が社内外で生み出す価値に意味を見出し、長い目で見れば、会社にとってプラスになると懐深く受け入れてくれる会社なのかどうかも、社員はきっと見ています。

石山:人材流出問題はありますね。サポートプロジェクトを導入することに、人材流出するリスクが全くないわけではありません。でも、そこで会社がどれだけの包容力を持てるかですよね。

志水:私自身は、社外でチャレンジすることに人事部がもっと寛容になってもいいのではと思います。今の組織でスキルを発揮できないなら、外に出て学び、自分にイノベーションを起こしながら自己成長につなげる。自分の希望する仕事がなければ他の会社で挑戦してみる(※ギャップジャパンでは再雇用制度が整備されている)。組織の枠を超えた人材育成が起こらなければ、労働移動が少ない日本はそろそろ難しい局面にきているのではないでしょうか。

Q.長時間労働が評価されないギャップジャパンだからこそ、サポートプロジェクトのような活動を受け入れる素地があったと感じる。働き方改革の中で、長時間労働で残業時間を減らすことに四苦八苦しているような企業や社員は、「2枚目の名刺を持つ」土俵にも立っていないということに?

廣:NPO二枚目の名刺立ち上げ当時のメンバーは、相当働いていたと思います。仕事も充実しているし、成果も出している。それでもなお自分の価値観を表現する手段を持ちたいという考えで動いていました。なので、長時間働いているから2枚目の名刺を持つことができないかというと決して、そうではないというのが私の感覚です。

2枚目の名刺を持つのは、たとえば、休日にサーフィンに行ったり、山登りしたりするのと、大して違わないと思います。むしろ、これは自分もそうですが、2枚目の名刺の活動の時間を確保するためにも、より生産的に仕事を進めようという思考になりましたね。

志水:ギャップジャパンだからできたというわけではないと思います。働く時間というよりは、その人がどんな人生を送っていきたいか、人生で何を達成したいのかが起点となっているからです。ワークとライフは対局にあるように見えて、違うのではないかと個人的には思います。理想の人生を実現するために仕事をしている。仕事はあくまで対立構造ではなく、人生の一部なのです。自分の夢を実現するために、個人が社内外で自分のワクワクすることに挑戦し、自身の得意なことや強みを伸ばすことが大切なのではないでしょうか。そのためには、自分の価値観に合う、あるいは共感できることに取り組んでみる、一歩踏み出してこのようなプロジェクトに参加するのも一つの方法だと考えています。自分の成長につながれば、自分に自信が持てるようになり、より豊かな人生が遅れるのではないかと思います。

石山:志水さんがおっしゃる通り、働き方改革は、自分が何をやりたいかを見つめ直そうということなんですよね。

人事が枠を超えることで、社員にもメッセージが伝わるのでは?

このあと参加者が6名前後に分かれ、「パラレルキャリアを推進するための課題や、その乗り越え方」をテーマに20分間のセッションが行われた。各グループの発表では、参加者のさまざまな思いが語られた。個人的に「2枚目の名刺を持つこと」に関心があり、参加したという人事担当者がいたことも興味深い。

志水:組織の枠を超えて学びたい、成長したいという方が増えていることがわかって嬉しく思います。人事や経営は、社員がワクワクしながら仕事ができる環境をつくっていかないといけないし、ワクワクするポイントを見つけて後押しすることも大事です。レベルの差はあれ、成長したいという意欲は誰もが持っているものだと信じています。個の可能性を見つけてそれが伸びるようサポートすることができれば、企業や個人の能力が、より増幅するのではないでしょうか。

廣:社員の意識を変えることができる、人材リソースの配置を通じて事業のシフトを後押しする、そして社会を変化させることができる、そんな役割を担っている人事部門自身の変化が見たいです。みなさんがこれまでの枠を超える姿を見せ、新しい人事の取り組みを展開することで、社員にもより深くメッセージが伝わるのではないかと思います。

――――――――――
「2枚目の名刺」が当たり前の選択肢となるためには、人事担当者自身がまず枠を超えるのだという熱意を持つこと、そして実際に超えてみること、さらにその体験を伝えていくことが必要なのだろう。こうした始めの一歩が、企業の将来を、そして最終的には日本の将来をも変えていくに違いない。

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古川 はる香
古川 はる香
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フリーライター。主に女性誌や育児誌、WEBで執筆。
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