TOP > 二枚目の名刺の広報は整体師!?人材×ヘルスケアで“名刺”を持つ理由を聞いた

二枚目の名刺の広報は整体師!?人材×ヘルスケアで“名刺”を持つ理由を聞いた

このエントリーをはてなブックマークに追加
「ソーシャルを仕事にする」は、NPOやNGOに関わりたい思いを持ちながら、なかなか一歩を踏み出せずにいる「あなた」のための連載です。NPOやNGOで働く彼ら彼女らが、なぜソーシャルを生業としているのか、普段どのような仕事をしているのか、これから先に何を見据えているのか。そして2枚目の名刺として携わりたいあなたに、何を求めているのか。あなたが2枚目の名刺を持つ第一歩に繋がることを祈ってお送りします。

Case.1民間企業に就職した彼女が、社会人3年目でNPOに転職した理由
Case.2「NPOで一花咲かせたい!」自分の暮らしも豊かにするためのNPOへの挑戦
Case.3「難民が暮らしやすい社会=全ての人に配慮された社会」だから私は難民支援に取り組む
Case.4「社会的意義をダイレクトに感じられる仕事がしたい!」起業を夢見た彼がNPOに出戻った理由
Case.5ボランティアや社会貢献に関心のなかった彼女に訊く「なぜNGOで8年も働けているんですか?」

Case.6

フリーランス/NPO法人二枚目の名刺 藤﨑梢さん

大阪府出身。大学在学中、議員インターンシップ(現在は「ソーシャルインターンシップ」)を運営するNPO法人ドットジェイピーで関西の中心メンバーとして活動。人材業界のベンチャー企業、IT業界の大手企業などを経て、現在はフリーランスとして人材(ソーシャル)業界とヘルスケア業界に軸足において活動中。鍼灸専門学校に通う社会人学生でもある。

(二枚目の名刺を通じて、「大人っておもしろい、仕事っておもしろい、と思える人を増やしたい」と藤﨑さん)

連載6回目にして、初めての知り合いへのインタビュー。
大学生のときの先輩で、インターンシップに参加しようと出向いたイベントで初めてお会いしたとき、「かっこいい人だなぁ」と眩しく感じたことをはっきり覚えている。

今筆者がここで記事を書かせてもらっているのも、この先輩が繋いでくれたご縁のおかげだ。

ちゃんとお話をするのは3年ぶり。普段のインタビューとは少し違う緊張感の中で、お話を伺った。

「いきいきと働く人を増やす」ためのアプローチ

・鍼灸専門学校の学生
・整体師
・NPO法人二枚目の名刺の広報担当スタッフ
・NPO法人ドットジェイピーの社会人アドバイザー

これは、この春からフリーランスとして活動し始めた藤﨑梢さんの、今の主な『名刺』だ。
さらにもう1枚名刺を増やそうと、週3日程度働ける仕事を探しているという。

これだけ聞くと、バイタリティー溢れる忙しい人というイメージだが(実際それは否定できないが)、しっかりとした考えのもとで、これだけの肩書を持つことを藤﨑さんは選んでいる。

藤﨑さんの多分野にわたる活動の根本にあるのは、「いきいきと働く人を増やしたい」という想いだ。この想いを実現するために、彼女は大きく2つのアプローチを取っている。

ひとつは、鍼灸師として、『働く人の身体のバランスを整える』というアプローチ。こちらは相手の1対1の関係性の中で、藤﨑さん個人として相手を支えるための手段だ。それに向けて、国家資格取得のための通学と、スキルアップのための整体師としての仕事に現在取り組んでいる。

もうひとつは、多くの人に向けて『変わるきっかけ、チャレンジするきっかけを提供する』アプローチ。こちらは不特定多数の人に向けて、NPOという組織を介して提供している。大学生に対しては、NPO法人ドットジェイピー、社会人に対してはNPO法人二枚目の名刺の一員として。

決して「医療に携わりたい!」「NPOで社会的課題を解決したい!」という想いが先行して今のキャリアがあるわけではなく、やりたいことを実現する手段として、ヘルスケア業界と人材業界に軸足を置き、その手段がたまたま鍼灸師とNPOだったという表現が適切なようだ。

なぜ彼女はこのように“複業”をする働き方を選ぶに至っただろうか。

「働くこと=就職することではない」と知った大学生時代

藤﨑さんのキャリアを語るうえで外せないのが、大学2年生の終わりに飛び込んだ『議員インターンシップ』だ。
議員インターンシップとは、大学生が国会議員・都道府県議会議員・市区町村議員のもとで約2か月間の就業体験を行うNPO法人ドットジェイピーが主催しているプログラムだ。インターンシップの企画・運営を大学生が中心となって行っているのも特徴となっている(現在はNPOや大使館・総領事館へのインターンシップのプログラムもあり、合わせて「ソーシャルインターンシップ」と呼んでいる)。

「当時は授業、サークル、バイトを繰り返す大学生活に飽きてきて、何か新しい刺激がほしかったタイミングだったんです。政治に興味があったわけでは全然なかったけれど、ほかの大学の人と知り合える機会もなかったので、興味のない分野に飛び込んでみても、逆に面白いかも、と思って。」

気軽な気持ちで説明会に参加したが、ここで2つの大きな出会いがあったという。

「説明会の場にいた議員の人たちは、TVの中で見る政治家とはイメージが違いました。20代や30代の若い議員さんが多くて、中にはイケメンもいて(笑)。一人ひとりの政治観や仕事観に説明会を通して触れる中で、そういった議員の方自身に興味が湧いたのがひとつです。もうひとつは、運営をしていた大学生たち。同じ大学生とは思えないぐらいにしっかりしていて、本気で運営をしているのがかっこよく見えたことをとても覚えています。」

そして、2か月間のプログラムに参加後、藤﨑さんはインターンの運営をするスタッフとして、NPO法人ドットジェイピーでの活動をスタートさせることになる。

「ドットジェイピーの活動では、仕事の基本や考え方を教えてもらいました。インターンシップに参加した頃から(そして今も)お世話になっていた議員さんが『政治家をやっているのは、あくまで手段。やりたいことを実現させるためにベストの選択肢だからやっている。違う有効な手段があれば、議員はすぐに辞めるよ』と話されていたことがとても印象的で。当時、私が思っていた『働くこと』は『就職すること』だったので、就職することはゴールではなく手段なんだと教えられましたね。」

就職活動や授業をそっちのけでドットジェイピーの活動に没頭していたと、当時を振り返る藤﨑さん。

「私自身、ドットジェイピーで活動をする中で、友達じゃない『戦友』が他大学にたくさんできました。1つのチームで同じ目的に向かって本気で取り組む中でできた、普通の友達とはまた違う関係性。あの仲間のおかげで、飽きていた大学生活がとても充実したものになりました。」

就職・転職。その中で見つけた「やりたいこと」

自身がドットジェイピーに入ることで『変わった』という実感を持っていたからだろうか。新卒で入社する会社を選ぶ際には「人が成長したり、変化したりすることに携わりたい」想いから、人材系のベンチャー企業へ就職する。

その会社では、営業・社長秘書・広報・採用・新規事業立ち上げと7年間在籍した中で多くの職種を経験。その後、大手IT会社に転職してからは、再び営業の仕事に携わった。

「20代は仕事を頑張ると決めていたので、とにかく仕事をしていました。いろんな部署を回って経験値を積ませてもらったおかげで、自分の中で関心のある分野とそうでない分野が明確になった時期だったかなと思います。」

興味を惹かれたのは、最初のキャリアだった「人と組織」の人材業界と新規事業で携わった「美容健康」の分野。逆に関心が湧かなかったのは「物販」。モノを扱う仕事より、サービスを提供する方が向いていると実感したそうだ。

「私は『社会に貢献できている』という実感を直接的に持てないと情熱を注げないタイプみたいで。「人と組織」の人材業界の仕事と美容健康分野の仕事をしていたときは人の役に立てている実感もあったし、面白いなとも感じていました。」

その美容健康分野での仕事経験がきっかけとなって、藤﨑さんは現在も通っている鍼灸専門学校に入学することになる。3年間、普通に仕事をしながら夜間に通う社会人学生になる選択をした理由を、このように教えてくれた。

「大学の友人やドットジェイピーの頃の友人と社会人になって話したときに、他の人と違って『私はこれをやっています』と自信を持って語れるものがなかったんです。その軸足になるものを探していた中で、しっくりきたのが鍼灸。大阪にいた頃に自分が治療を受けていた経験や、仕事を通して感じた面白さもあって、勉強しようと決めました。社会人になってから自分で勉強しようと決めたことなので、昔やっていた勉強とは面白さが違いますね。」

現在は専門学校3年生。この2年間で学んだ知識を活かしながら整体師としての仕事も始めた。

「目の前のお客さんの身体を触りながら、その状態に合わせた施術をするのは、知識を持っているからと言って簡単にはできない。正解がないことなので、経験を重ねながら少しずつ上手くなっていくしかないですね。」

人の身体を扱う仕事。自分の責任の重さを感じながら学び続ける毎日だそうだ。

週末だけでなく、平日も楽しみな自分でありたい

藤﨑さんの言葉の中で、興味深い言葉があった。

「『土日が楽しみな社会人』になっている自分に気づいたとき、『あ、この働き方じゃない』って思った。」

決してワークライフバランスを大事にしない、というわけではない。
仕事をする週のうちの5日間を十分に楽しめていない、熱量を注ぎ込めていないことが彼女の中で問題だった。

様々な職種を経験してきた藤﨑さんは、どんな仕事をしているときに自分自身がいきいきとしていたかを測る指標があって、だからこそヘルスケア領域を専門にするという選択肢にたどり着いた。

だが、企業で働く誰しもが藤﨑さんと同じように多くの職種を経験するわけではない。
もしかすると、自分がいきいきとしていないことに気づく機会すらないかもしれないし、もどかしさを感じながら働いている人がいるかもしれない。

そんな問題意識に対する彼女のアプローチが、NPO法人二枚目の名刺での活動だ。

続きはこちら↓

個の力をどう磨くか?「やりたいことをできるだけやる」パラレルワーカーの軸

このエントリーをはてなブックマークに追加
ライター

ライター

編集者

編集者

カメラマン

カメラマン

大西弘毅
ライター
多様な価値観・働き方に触れること、文章を書くこと、写真を撮ることが好きで、学生の頃から「2枚目の名刺」としてアマチュアライター実践中。1枚目の名刺は経営コンサルタント。3枚目の名刺は国家資格キャリアコンサルタント。
はしもと ゆふこ
編集者
女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
関連記事
「社会的意義をダイレクトに感じられる仕事がしたい!」起業を夢見た彼がNPOに出戻…
2019.05.16
「社会的意義をダイレクトに感じられる仕事がしたい!」起業を夢見た彼がNPOに出戻…
持ち方・スタイル
ボランティアや社会貢献に関心のなかった彼女に訊く「なぜNGOで8年も働けているん…
2019.06.07
ボランティアや社会貢献に関心のなかった彼女に訊く「なぜNGOで8年も働けているん…
活動テーマ