TOP > 「地域活動への参加が、本業と子育てをつなぐ“1.8枚目の名刺”の扉を開いた」東急不動産・関口冬樹さん<前編>

「地域活動への参加が、本業と子育てをつなぐ“1.8枚目の名刺”の扉を開いた」東急不動産・関口冬樹さん<前編>

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「2枚目の名刺」を持つことは、ハードルが高いと思われることがある。そのような方は、本業とは関係のないところで、大きなアクションを起こさなければ持つことができないものだと感じているのではないだろうか。でも「2枚目の名刺」は、本業や子育てといったライフイベントの延長線で、自然に持ち始めていることもある。

東急不動産で働く関口冬樹さんの「2枚目の名刺」は、まさに本業ありきのもの。ほんの少し自分の間口をオープンにして、一歩を踏み出したことから、本業における自分のビジョンとリンクする「Social Kids Action Project」と出会い、このプロジェクトに、大きな貢献を果たすこととなった。原宿の街の再開発事業に携わる関口さんの「2枚目の名刺」ストーリーを紹介しよう。

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原宿にある企業と原宿に住む人をつなぎたい

「僕、そもそも名刺を2枚持っているんです」

関口さんがそう言いながら取り出したのは、東急不動産の所属部署が書かれた名刺と、「神宮前六丁目地区市街地開発準備組合 事務局長」としての名刺。

「僕が今、会社の業務として携わっているのは、原宿や表参道を含む神宮前六丁目地区の再開発事業です。再開発にあたっては、地域の方々とのコミュニケーションやリレーションづくりが重要な任務の一つ。準備組合の事務局長としては、地権者まわりの合意形成を進めるほか、ゼネコンさんとの交渉なども行っています。3年ほど前からは町会の理事もやっていますし、地域の商店会である原宿表参道欅会の理事にも交ぜていただき、地域とのつながりを深めているところです」

不動産会社の仕事というと、開いた土地にビルやマンションを建てて売ることがイメージされる。しかし、ここ数年は、「地域とのつながり」が業務のうえで重視されてきているという。

「昔は、地域とつながることに、それほど重きが置かれていませんでした。でも、地域の方々に愛されなければ、良い再開発ができたとは言えません。不動産会社の中には、再開発が決まると、若手社員がその地域に住んで、町会や商店会の一員として活動し、地域を活性化するお手伝いをする企業もあります。その姿に感銘を受けて、僕個人としても再開発で携わる地域の方々とのつながりを大切にしたいと思うようになりました」

実際に準備組合の事務局長として活動し、地域とつながりをつくることは、関口さんに大きな喜びをもたらした。

「地域コミュニティに入ってみると、とても楽しいんです。人とのご縁が生まれ、頑張れば頑張っただけ認めてもらえる。僕は渋谷区外に住んでいますが、家族を連れて神宮前六丁目地区のお祭りや清掃に参加しています。働く場所、つまりセカンドプレイスとも、“我が町”のようなお付き合いができているのはありがたいですね。小学4年の息子も、まるでこの地域の子どものようにかわいがっていただいています」

また、地域とつながりを持つことは、関口さんの中で新たな課題を見つけ、ビジョンを芽生えさせることにもなったようだ。

「原宿は若者の街というイメージがありますが、町会や商店会は、高齢化しているんです。こうしたコミュニティでは、40歳の僕が若手と言われるくらい、20代30代の人がなかなか入ってこない。でも、原宿にある企業と地域の方々がつながったり、企業同士や企業人同士がつながることで、若返りが図れる。さらに、住む人、働く人、みんなが原宿を好きになって、街のためになる活動をすることで、地域のバリューがあがる。その結果、たくさんの人が訪れてくれる街になれば、企業としてもメリットがある。そんな循環を描きたいなと。その第一歩として、原宿にある企業同士をつなげたいと思ったんです」

企業同士をつなげ、地域のためになる新たな取り組みがしたい。そんな関口さんの想いを具現化させるきっかけとなったのが、「渋谷をつなげる30人」への参加だった。

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ビジョンが形になった「Social Kids Action Project」

「渋谷をつなげる30人」とは、渋谷区の企業、行政、NPOで働く30人が集まり、それぞれが連携しながら、渋谷区がよりよい街になるよう自らが設定した課題解決に向けて活動していくという「まちづくり」のプロジェクト。関口さんはその第1期に参加した。

「最初は会社に言われ、やや後ろ向きで参加しました。でも、次第に人とつながるのが面白くなってきたんです。普段は接点のない企業やNPOの人と知り合えたことは大きかったですね。特にNPOは、団体が向き合う課題解決への熱い思いを持っているし、スピード感もある。NPOの活動と、僕がやりたいと思っていた地域と企業を結びつける活動をうまく融合できないかと思っていた矢先に、Social Kids Action Projectの構想を聞いたんです」

「Social Kids Action Project」(以下SKAP)は、NPO法人二枚目の名刺と放課後 NPO アフタースクールがKids Experience Designerの植野真由子氏と連携して2017年夏に開催した小学生対象のまちづくりプロジェクト。

>『“社会は自分で変えられる!”小学生が地域課題に本気で取り組む「Social Kids Action Project」密着レポ』

小学生が原宿の街の課題を発見して、解決のためのアイデアを考え、渋谷区長をはじめ、地域の大人に向けて提案するプロジェクトであるため、原宿の地域コミュニティや商店会、企業の協力が不可欠。そこで関口さんは、今で自分が培ってきたネットワークが活用できると直感する。

「SKAPの構想を聞いたときに、これは地域のためにもなるし、東急不動産のためにもなるプロジェクトだと感じました。お祭りでおみこしを担ぐなど、地域の方々発信のイベントのお手伝いをすることもとても大事なことですが、それだけでなく自分たちから地域をつなげるようなイベントを仕掛けていくことができる。しかも、自分がやりたいと思っていた企業同士をつなげるきっかけにもなる。ぜひ関わりたいと思いました」

そして関口さんは組織の枠を超えてSKAPに関わるとともに、部署の枠を超えて会社全体をSKAPに巻き込もうと尽力する。後編では、その経緯と経験からもたらされた新たな活動について聞いていく。

後編へつづく

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古川 はる香
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フリーライター。女性誌や育児誌を中心に雑誌、書籍、WEBで執筆。
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