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もはや小学生は「未来の街の創り手」ではない⁉ 街づくりの即戦力誕生を実感!

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二枚目の名刺とKids Experience Designerの植野真由子さんが共催している「Social Kids Action Project(ソーシャルキッズアクションプロジェクト、以下SKAP)」。渋谷区のひとつの「街」をテーマに、小学生がその街に住む人・働く人・訪れる人たちへのインタビューを通じて「課題」を探り、ひとりひとりがそれを解决するアイデアを、区長をはじめとする大人に向けてプレゼンするものです。

 

2017年、SKAPのスタート当時は、「アクティブラーニング」という言葉がようやく広がりつつあった頃でした。しかし、2022年現在は義務教育にもアクティブラーニングの視点が取り入れられるように。なかでも渋谷区は、2021(令和3)年度から全区立小中学校で、「シブヤ科」という授業が行われています。渋谷に住んで、学ぶ子どもたちが、より深く渋谷を知っていくことで、渋谷に愛着を持ち、やがては未来の渋谷の街の創り手となる期待を込められたものです。区内の小中学校では子ども一人につき一台貸与されているタブレットパソコンを駆使しながら、主体的に渋谷のことを知り、渋谷と関わっていく体験を重ねています。

つまり渋谷区の小学生は、街の課題を見つける目、そしてそれを解決する手法をすでに日常の学習の中で学んできているということ! そんな小学生が2022年春のSKAPで課題探しと解決アイデア創出にトライするのは、SKAP初開催となる公園通り・神南エリアです。渋谷駅からもすぐ近くではありますが、ほんの少し歩けば緑あふれる代々木公園が。また、2021年にリニューアルした渋谷区初のPark-PFI(公募による選定された民間事業者に都市公園の整備管理を委託する制度)公園・北谷公園も街のひとつのシンボルとなりつつあります。神宮前とはまた趣の違うこのエリアで、小学生たちはどんな人、課題と出会ったのでしょうか?

公園通り・神南エリアの特徴のひとつである急な坂道も、子どもたちは駆け上がっていきます。

 

過去のレポートはこちら

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植野さんによると、2022年春のSKAPは「告知から保護者の反応があるまでがとても早かったです。あっという間に枠が埋まりました」とのこと。コロナ禍により、子どもたちがリアルに集まって活動するSKAPのようなプログラムが激減していたことも背景にあるのか、アクティブラーニングや探究学習の必要性も認知が広がり、感度の高い保護者が増えたこともあるのかもしれません。

集まった子どもたち9名もプログラムに対してとても前向き! 1日目に渋谷公園通商店街振興組合の川原理事長、東急不動産の小澤さん、PARCOの金子さんといった街のキーマンにお話を聞く時こそ、やや緊張もあったように感じましたが、2日目にはメンターの大人たちとも打ち解け、以前からの知り合いのような距離感に。長く続くたばこ屋さん、東急ハンズ渋谷店、ブルーボトルコーヒーなど地域の店舗や企業を訪問し、街で働く人たちへのインタビューを行った際も質問が止まりません。

 

9名中6名が男の子で、小学3年生から小学6年生と学年の幅も広いのが今回集まった子どもたちの特徴ですが、とにかく前向きでポジティブ、そして仲間に対してやさしいというのが全体的な印象。発表内容のまとめに困っている子がいれば、近くまで行ってフォローしてあげ、発表が終わった後には「声が大きくてよかったと思います!」「自分の意見も言えたところがよかったです」と「いいところ」をたくさん伝えられる。そして発表の資料を書きながら「俺のアイデア絶対採用されるよ!」「これ見たら区長感動しちゃうでしょ!」と言ってしまう自己肯定感の高さも感じられました。

仲間が書いた発表用の用紙をじっくり見よう!と、前に集まってきました。

 

彼らの前向きさを最も感じたのが、プログラム3日目に行われた突撃インタビュー。それまでお話を聞いてきたのは、植野さんが前もってアポイントを取っている企業やお店の方々。突撃インタビューは、街を歩く一般の方々にいきなり声をかけ、お話を聞かせていただくもの。見ず知らずの人に声をかけて質問をするなんて、大人でも尻込みして当然で、これまでのSKAPでも練習を重ねて行うものの、結果として数名でも聞ければ上出来!という試みでした。

ところが今回の子どもたちは出発前から「やったー!」「早く行こう!」と前のめり。実際に代々木公園のケヤキ並木通り、北谷公園で次々に街行く方々に声をかけていました。「まだやりたい!」「もっとやりたい!」の声があまりにも強すぎて、PARCO前でも実施。ここではそれまでの2カ所と違って、声をかけてもなかなか立ち止まってもらえないという経験も。街づくりにかかわる人、街で働く人とは違った視点の方から多くの声を聞けたことも、彼らのアイデア創出に影響を与えたでしょう。

メンターと一緒にどの人に声をかけようか相談中。

 

新たなスキルを身に着け、小学生はより“最強”になっている!

長谷部健渋谷区長も毎回最終発表会に出席し、子どもたちのアイデアに講評を伝えてくれます。

3日目の後半には、アイデアを形にするのに苦戦する姿も見られましたが、最終日の発表会では3日間で見聞きしたことからそれぞれに見つけた街の課題に対して、未来が明るくなるようなアイデアが飛び出しました。発表会でも今までと違ったことがありました。模造紙に書いたことの説明だけでなく、補足資料を印刷して配布した子が何人もいたのです。これも課題慣れ、発表慣れしているからこそでしょうか。どうしたら自分のアイデアがより伝わるかを理解しているのだと感じました。

子どもたちが最終日の発表会の際に配布した資料。見やすくまとめられていました。

子どもたちが楽しめる公園やイベントなどのアイデアがいくつか見られましたが、それらはやはり現役小学生にしか考えつかない発想です。ただ、それに加えて、子どもたちは新たなスキルを手に入れていることに気づいた2022年春のSKAPでした。主体的な学びに対して気後れしない自信、タブレットを操って資料や動画を作成するITリテラシーを彼らは持っています。以前から植野さんが「小学生は何でも楽しんでやってのける前向きなパワーがあるし、まわりの大人も協力したくなってしまう。だから最強なんです!」と強調していましたが、もしかしたらさらに最強になっているのかもしれません。

すでにSKAPで発表したアイデアを実現させ、渋谷の街づくりの担い手となっている先輩たちも誕生しています。小学生たちはもはや「未来の街の創り手」として成長するのを待つのではなく、現役で「街の創り手」となり得るのかもしれません。今回のSKAP参加者にも、すでにアイデア実現に向けて動き出している子がいると聞きます。さらなる「街の創り手」誕生に期待が止まりません。

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古川 はる香
古川 はる香
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フリーライター。主に女性誌や育児誌、WEBで執筆。
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