副収入目的はもう古い。自分の名前で勝負する“週末起業”でキャリアの幅を広げよう
「週末起業」という言葉をご存知でしょうか?
「週末起業」とは、休日や仕事終わりの時間を使って起業すること。藤井孝一さんが、今から約15年前の2003年に著書『週末起業』で提唱した未来の働き方です。
今でこそ、副業や兼業はそれほどめずらしいことではありませんが、この本が発売された当時はまだ副業や兼業を認める企業は少なく、大きな注目を集めました。
同書は、自ら週末起業で経営コンサルタントの仕事を始め、その後、多くのセミナーを開催するなど、週末起業で成功を収めたノウハウを凝縮した一冊。少し古い書籍ではありますが、働き方改革によって副業や兼業を推進する企業が増えた今だからこそ知っておきたい、週末企業で成功するためのポイントがたくさん詰まっています。
ここでは、10万部ものベストセラーになった『週末起業』を参考に、その起業ノウハウを学んでいきましょう。
長い不況の中でこそ、週末起業が活きてくる
バブル崩壊後、日本は長い不況に陥っています。週末起業が提唱されたころの社会背景や問題意識は、ここにありました。
「ボーナスのカット」、「リストラ」、「退職金が出ない」……。終身雇用はもはや幻想となり、給料の平均値も、20年前と比べて40万円ほど下がっています。
こうした先行き不安な日々は、これからもしばらく続いていくと言われています。そこで注目されるのが、副業や兼業で、複数の収入先を作っていく方法や、会社に全く頼らない起業という選択肢です。
副業あるいは兼業というとまず思い浮かべるのが、アルバイト。しかし、副業や兼業が認められつつあるとは言え、「時間の切り売り」で稼ぐアルバイトでは、収入に限界があります。
また、副収入を目的として、人からの指示のもとで働くアルバイトでは、気力体力的な消耗が大きいばかりで、よほど主体的に取り組まない限り、そこで得られるスキルや知識も限られてしまうことがほとんどです。
だからと言って、ゼロから起業するのもリスクが大きいもの。もしも起業したのにもかかわらず事業が失敗して収入は得られなければ、負債を負うことにもなりかねません。
そこでおすすめしたいのが、会社員との二足のわらじで稼ぐ「週末起業」。これまで培ってきたキャリアや、自分の特技や趣味を活かして起業し、会社の休みを利用して働こうという考え方です。
自分の特技や趣味を活かした週末起業の利点には、ただ収入が増えるだけではなく、ビジネススキルが身についたり、自分の得意なことを伸ばしたりできます。
例えば、起業すれば、経営判断をする社長、売上げを作る営業、経費計算をする経営管理も、さまざまな仕事を自分でやらなければいけないということもしばしば。担当業務以外は会社にお任せのサラリーマンに比べて大変なことは容易に想像できますが、いち会社員では決して経験することができない、さまざまな知見を身につけることができます。
実際に、会社の名前を使わず取り組む週末起業は、週末限定とはいえ、やったことすべてが自分に跳ね返ってきます。いいことも、悪いことも。言い訳もできません。週末だけとはいえ、会社員でありながら、会社に依存しない仕事をする経験ができる。そうした面白さは見逃せません。
また、自分が好きなことに邁進することで、人との出会いや発見、新しい物事が生まれることもあります。
こうした経験からは多くを学ぶことができ、本業の視野を広げることにもつながってくるのです。
週末起業の第一歩。楽しんで見つけるビジネスアイデア
では、ビジネスアイデアは、どのように見つければ良いのでしょうか?
週末起業を実践する際にポイントとなるのが、何よりも「楽しんでやること」。
カフェやBarといった飲食店や、ネットビジネスの開業など、アイデアは無限大です。しかし、週末起業はサラリーマンやOLにとって、貴重な休息時間である休日を使うものなので、自分の苦手なことや嫌いなことでは、長く続きません。
そして、ビジネスとして成功させるためには、「忙しくとも、ついついやってしまうこと」と「社会的に求められていること」が重なっている状態が理想的です。そのためにまずは自分のやりたいこと、あるいはできる事業や仕事を探っていきましょう。
・できること
・時流に乗っていること
自分の趣味って何だろう?
もしも自分のやりたいことがわからない方は、自分の趣味に関連する仕事を考えてみましょう。趣味とは、お金を使っても、体力を使っても、自分が嫌な気持ちにならないもの。つまり、趣味のような仕事であれば、それがやりたいことであり、長続きすることにつながるはずだからです。
・一晩ぐらい寝なくてもできることは何か
・これまでに最もお金を使ってきたことは何だろう
・2時間ぶっとおしで話しつづけられることは何だろう
自分の得意なことを探す
いまいち趣味が思いつかない方は、自分の得意なことは何かを探してみてください。自分の得意なことを見つけるために、次のようなことを自問自答してみましょう。
「好きなこと」か「得意なこと」のどちらかの仕事ができれば、努力する苦労を最小限にすることができます。その分成長でき、仕事の質も上がっていくことでしょう。
・子どもの頃、親や先生に褒められたことは何か
・クラブ活動では、どんな役割を果たしていたか
・かつてどんなアルバイトをやっていたか
・得意な科目は何だったか
“不”の感情から、ビジネスチャンスを考える
週末起業のテーマが決まれば、次にどのようなビジネスにするかを深掘りしていきます。多くのビジネスがひしめく現代では、他とは違ったものを持ち、人々に求められるものでなければ、ビジネスとして成功させるのは難しいもの。
ひとつヒントとなるのが、そのテーマに対して「困ったこと」や「こんなのがあったら良いな」と感じること。不満や不快、不安、不利など……人々の“不”には、多くのビジネスチャンスが眠っているからです。人々や社会に対して、どういったことを提供できるのかを重点に考えていきましょ
例えば、“あったらいいな”のキャッチコピーで知られる小林製薬では、「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念の下に、「不」を解消するビジネスを展開しています。
また、それまで複雑で使いづらかった電子機器を、シンプルなデザインで使いやすくしたのがアップル社のコンピュータです。
このように、人々の“不”の感情にこそニーズがあり、それがビジネスチャンスの切り口となるのです。
無理をせず、やりたいことを好きなだけ
本の中で、藤井さんは週末企業で成功するためには以下の3つのポイントが重要だと解説しています。
・無理をしないこと
・できることから、とにかくはじめること
・将来につなげること
週末起業を始めれば、そのぶん、働く時間が長くなるのは事実。そのためには、収入を増やすだけでなく、他にも週末企業してまで働くことの”意味”を持つことが、長く続けるコツでもあるとも言えます。例えば……
「自分が起業したことで、何か世の中のためになるかもしれない」「自分のビジネスで、誰かを笑顔にすることができるかもしれない」……。
ただ将来への不安から副収入を求めるだけではなく、自分の好きや得意を社会に生かすことで、新しい未来を創る。それが自分のやりがいにもなれば、とても素敵なことだと思いませんか?
ライター
編集者
カメラマン