個の力をどう磨くか?「やりたいことをできるだけやる」パラレルワーカーの軸
NPO法人二枚目の名刺の広報担当スタッフ、NPO法人ドットジェイピーの社会人アドバイザー、整体師、鍼灸専門学校の学生。
人材業界とヘルスケア業界の両方に“名刺”を持ち、フリーランスとして活動する藤﨑梢さんへのインタビュー後編をお届けします。
前編はこちら↓
“社会人版ドットジェイピー” 二枚目の名刺への参画
専門学校へ通い始める少し前、藤崎さんはNPO法人二枚目の名刺に参画した。
「大阪にいた頃からFacebookを通じて二枚目の名刺の存在は知っていました。私はドットジェイピーに自分の大学の外の世界に出るきっかけを作ってもらっていたので、本業とは違うフィールドに出るきっかけを作っているという二枚目の名刺の活動内容に共感するものがあったんだと思います。」
藤崎さんは「夏フェス」というイベントのボランティアスタッフからスタートし、その後『プロジェクトデザイナー』として、一般企業などで働く人たち複数人がNPOで短期のプロジェクトに取り組むプログラムのコーディネートを担当した。
「一般企業からの参加者には、普段とは違うフィールドで活動することで一人ひとり何かしらの気づきや変化を得てもらいたいと思って接していました。一方で、その社会人たちを受け入れてくる(NPOなどの)団体にとっても、忙しい中時間を割いて受け入れをしてもらっているので、プロジェクトとして何かしらの成果をきっちりと出してお返ししたい。団体と参加者両方の立場で考えることが必要なので難しい役回りでしたけど、だからこそ、やりがいやうまくいったときの達成感がありましたね。」
終了後にはNPOにインタビューも実施した↓
現在は、広報担当として団体の運営を行う役回りだ。
「何かやりたいんだけど一歩踏み出せない、もうちょっとやりたいんだけどやりきれない、そんな人たちの琴線に触れるような発信をしていきたいと思っています。期間限定でのチャレンジだし、仕事や友達とは違うコミュニティができる。社会課題に向き合っている人と接することで、気づきや変化もきっとあります。」
(複業メンバーの多い二枚目の名刺の中で、メンバー間のコミュニケーションの調整役を担っているのも藤崎さんだ)
何か物足りなさを感じている昔の自分のような人に、かつて大学生時代に経験した世界を広げる体験を届けたい。
「伝えることって難しいですね。まず知ってもらって、行動を起こしてもらえないと始まらない。なので今は文章を書く勉強をしたいなと思っているんです。誰かの背中を押せるだけの文章が書けるようになりたい。」
自分の任された役割に対して、真摯に、真っ直ぐ向き合っている。
やりたいことをできるだけやる
NPO法人二枚目の名刺に2016年から参画している藤崎さんだが、当初の3年間はボランティアスタッフだった。有給スタッフになったのは2019年からで、藤崎さんの二枚目の名刺での活動の仕方は、毎年変化している。
「2016年はメンバーとして精力的に活動していましたが、2017年・2018年は関わる度合いを下げさせてもらっていました。仕事と専門学校との両立をしていく中で、二枚目の名刺での活動にまでコミットすることが難しかったんです。」
これまでの仕事を辞めてフリーランスとして働き始めた2019年、二枚目の名刺のスタッフ募集のタイミングが重なり、広報を中心に担当する有給スタッフとなった。
「ボランティアスタッフから有給スタッフになったので、お金に見合った価値提供がきちんとできているのかと考えることはありますが、ボランティアのときも責任感を持って関わらせてもらっていたので、仕事に対する意識は自分の中ではあまり変わっていませんね。」
中途半端に多くのことに手を出すわけではなく、自分ができる範囲でメリハリをつけるため、毎年のように自分のワークスタイルを変化させているのだ。
今はこれを頑張るとき。今度はこっち。来年はこれ。
『やりたいことをできるだけやるというのが私のスタンス』
そう話す藤崎さんの中にあるいくつかのやりたいことの軸。その一つひとつをどう実現するのか模索しながら、その時々で優先順位をつけながらキャリアを築いている。
「ソーシャルを仕事にする」
現在、藤崎さんは二枚目の名刺のほかに、ドットジェイピーでもある役割を担っている。
「今は社会人アドバイザーとして、大学生の活動のサポートをしています。私自身が体験した一体感を感じる活動を今の大学生のみんなにもしてほしくて、経験を伝える中でそのサポートができたらなと思っています。」
だがこちらも、大学を卒業してからずっと続けてきているわけではない。
「大学を卒業してすぐに社会人アドバイザーになったわけではなく、7-8年は1人のOGとして時々顔を出す程度でした。東京に上京したタイミングで声をかけてもらい、参加する頻度を上げたんです。二枚目の名刺もそうですが、仕事と専門学校での勉強のバランスのことを相談しながらその時々で関わり方を変化させているからこそ、続けられている部分もあるのだと思います。」
2つのNPOとの関わり方をうまくコントロールしてきた藤崎さん。
「各団体の方針にもよるけれど、ずっとフルコミットする関わり方以外の選択肢もあっていいんじゃないかと思います。」
理念や活動内容に共感できる団体を見つけ、自ら縁を繋ぎ、関係性を保っていく。
そして、団体の中での自分の立ち位置を変えながら、その時々にできる貢献の仕方をする。
それが藤崎さんのソーシャル業界・NPOとの関わり方だ。
だが、その関わり方をするようになったのも、ここ数年のこと。
「20代の頃は『自分が前に立ちたい』という気持ちが強かったので、今のスタイルでの貢献はできなかったかもしれません。『チームとしての総合力を上げるにはどうすればいいか、チームのメンバーがいかに活躍できるか』をより考えるようになったのは30代になってから。1人のメンバーとして全体最適で動けるようになったことで、柔軟な関わり方ができるようになっている気がします。」
(二枚目の名刺では、プロジェクトデザイナーから広報へとポジションを変えた。自分の興味と組織のニーズが合致するところで動いている。)
納得した道の先に描く未来
ヘルスケア業界と人材業界でのパラレルキャリア。
企業勤めの人からすると、やや現実離れかもしれないこの選択を可能としているのは、藤崎さんの中にある2つの価値観なのだと、話を聞いていて感じた。
1つは、個の力を持つ自分でいたい、自立をしていたいということ。
もう1つは、組織の中でのキャリアアップやポジションに興味がないということ。
自分の足でしっかりと立てていれば、組織に依存したキャリアを歩む必要はなくなる。それが藤崎さんの考え方だ。だからこそ、自分が選択した道に納得感があるのだろう。
「まずは資格を取って、鍼灸師として自立したい。患者さんに寄り添える鍼灸師でいるために、一般で働いている感覚をもっていたいし、何より人材業界でのキャリアもやっぱり深めていきたいので、ゆくゆくは週3日の正社員で働けるような人材業界での仕事と両立していけるといいな。」
そんな目標を持って、この春から始まったフリーランスとしての自立した生活。
「フリーランスになってみて難しさも感じています。自分が止まると仕事も収入も止まる。自分で自分をコントロールする難しさもありますし、仕事相手の都合に左右されることも多い。自由なようで自由でないですね。」
ヘルスケアと人材の2つの軸での歩みは、まだ始まったばかりだ。
個の力をどう磨くか
働き方が多様化し、AIやロボットなどの代替技術もどんどん導入されている。終身雇用の崩壊も聞こえてきた。そんな中で、ますます重要となってきている『個の力』。
それは必ずしも、フリーランスにならないと得られないものではなく、会社生活の中でも培えるものだ。だが、同じ会社や業界の中に留まっていると、その力が社会で通用するのか客観視できなくなる。
「ひとつの会社で週5日働かないといけない、というこれまでの働き方の価値観自体を見直していく必要があるのでは」と藤崎さんも疑問を呈するが、社会の仕組みはすぐにはそう大きく変えらない。
自身の力を確かめる方法として、二枚目の名刺が提供するサポートプロジェクトや、多くのNPOが取り入れ始めている社会人インターンを活用するのも有効な手段の1つだろう。
ではそもそも、あなたがやりたいことは何か。
あなた自身が身につけたい『個の力』とは何なのか。
もしそれが何かわからないなら、答えを見つけるために1歩外に踏み出してみよう。
もしそれがたくさんあるなら、何かひとつを選ぶ必要なんてない。全部手に入れる方法を考えればいい。
ライフステージや夢への道しるべに合わせてワークスタイルを変えていく藤崎さんのような生き方をすれば、きっと全部手に入る。
そう思わせてくれる先輩の姿は、10年経っても眩しかった。
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