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【共同研究】イントレプレー”覚醒”の条件vol.3:イントレプレナー覚醒のリアル

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近年、様々な業界や企業でイノベーションの必要性が叫ばれる中、組織の中で新規事業や変革の担い手となるイントレプレナー(社内起業家)の育成への注目が集まっています。これまでビジネスやアカデミアなどで様々な議論や試行が重ねられていますが、中でも重要かつ育成困難とみられているのが、イントレプレナーのマインドセットです。そこでNPO二枚目の名刺では、2019年より三井不動産株式会社・BASEQ、慶應義塾大学大学院SDM研究科と共同で「イントレプレナーたる人材のマインドセットに関する調査研究」を行ってきました。
本稿vol.3では、2020年8月5日にBASEQで行われたイベントのレポートとして、本調査のインタビュー対象となっていただいたイントレプレナーのうち2名を迎え、調査結果にまつわるリアルなエピソードを紹介していきます。尚、調査結果についてはvol.1vol.2の記事を参照ください。

三石 原士(みついし もとし)
パーソルキャリア株式会社 iXキャリアコンパス編集長/「タニモク」プロジェクトリーダー
大学卒業後、渡独。設計事務所にてキャリアをスタート。帰国後、大手情報サービス会社を経て転職サービス「doda」の立ち上げメンバーとして、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。
求人広告では、500社1,000名を超える取材、執筆を担当。2011年より、マーケティング部門にてコンテンツ企画を担当。2015年6月には、これからのはたらくを考えるメディア&コミュニティ“未来を変える”プロジェクト(現「iXキャリアコンパス」)を立ち上げ、編集長に就任。2017年「タニモク」を開発。

三石原士
矢野 晋也(やの しんや)
株式会社KADOKAWA ビジネスプロデュース局 IP課 課長
投資ファンドやデジタルガレージにて事業再生や新規事業開発を担当。経験業種は食品、アニメ制作、出版、電子書籍、広告、メディア、プログラミング教育など。現在はKADOKAWAにてグループ資産を活用した事業改善、新規事業開発に従事。経産省イノベーター創出プログラム「始動」1期メンバー。
矢野晋也
猪俣 涼也(いのまた りょうや)
本調査のリサーチメンバー・慶應義塾大学大学院SDM研究科・研究員、令和2年度ものづくりスタートアップエコシステム構築事業・主査、株式会社Futurelabo・founder。スタートアップ支援の制度設計支援を行いながら、スタートアップビジネスにおける顧客価値のデザイン方法の研究や、スタートアップ領域の人材に関する研究に注力している。
猪股 涼也
光村 圭一郎(こうむら けいいちろう)
ファシリテーター/BASE Q運営責任者/三井不動産株式会社
1979年、東京都生まれ。 早稲田大学第一文学部を卒業後、講談社入社。2007年、三井不動産に転職。 ビルディング本部にて開発業務、プロパティマネジメント業務に従事。その後、2012年より新規事業担当。三井不動産初の本格的なインキュベートオフィス立ち上げを主導。2018年には、東京ミッドタウン日比谷に『BASE Q』を開設し、大手企業のオープンイノベーションを支援するプログラムの提供を開始。
光村 圭一郎

イントレプレナーはいかにして事業のタネを見つけ、育てるのか?

光村
はじめに、この研究結果を見て、矢野さんと三石さんは率直にどう思いました?
矢野
普段気にしていることを言語化してもらえたという印象で、実感と合います。意識していたけど出来ていなかったことも改めて認識できましたね。
三石
この結果を見ながら過去の自分を振り返えると、これが欠けていたから成果がでなかったのか、と整理されて、しっくりきています。研究結果を実践すると本当にイントレプレナーが育つのかどうか、興味がありますね。
光村
ではそれぞれ中身を見ていきますが、まず「A.社会起点の視座」では、会社よりも社会を起点としているところがポイントですが、お二人の実感としてはどうですか?
矢野
社会を良くしたいという視点はあって、社会の利益と会社がやるべきことを一致させることは意識していますね。会社としてできることがあるのに、それに会社が気づいていない場合は、自分がそれを言っていくことが重要だと思っています。
三石
私は視座が会社から社会に転換したきっかけがあって、リーマンショックで会社がつぶれかけたときでした。この会社で働く意味をよく考えた結果「日本の働き方を後押ししたい」という考えに至って、覚悟を決めてこの会社に残ることにしました。
光村
自分の考えが変わった時に、なぜ会社を辞めるのではなく、残るという選択をしたわけですか?
三石
会社に残った仲間が良かったからですね。この人たちとなら、何かできそうというだという期待感を持てました。
光村
研究結果では「D.多様な仲間と共に」の要素として「役割ではなく、想いでつながる」というのがありますが、その仲間とは想いでつながっていたと?
三石
そうですね。
光村
次に「B.自ら掲げたミッション」では、誰かから与えられたものではなく、自分で考えているかどうかがポイントですが、実感としてどうですか?
矢野
私のミッションは「事業によって世直しをすること」だと思っています。今やっている仕事や将来の仕事に対して、自然と、常に自問していますね。
三石
私はドイツで働いた経験があったので、日本とドイツの働き方の大きな違いに違和感を持っていました。そこから日本の働き方やキャリア観を変えていきたいと思って、社会的なおせっかいをやり始めましたね。
光村
AやBは、自分の価値観と大きくかかわってきますが、自分の好き嫌いをビジネスの場に持ち込むことはいかながものか?という考えもありますよね。
猪俣
「B.自ら掲げたミッション」には自分のエゴが出ますが、「A.社会起点の視座」との整合性を説明できることが重要だと思います。要は、自分の好き嫌いではあるけど、独りよがりではなく社会に貢献できる、と。
光村
それでも最後はビジネスにしないといけない。イントレプレナーが探索するふわっとした話って、本当に儲かるのか?という指摘もあるが、お二人は事業化についてどんな意識を持っていますか?
三石
いきなり大きく始めずに、小さく始めてジャッジすることを意識しています。小さく予算をとって始めて、外部の人たちと大きくしていく中で、将来のポテンシャルを測って、そこで辞めるかどうかを判断しますね。
矢野
私も最初から大きな勝負はしないです。初めの段階で「これがうまくいったら将来こういう事業モデルが描けるはず」っていう筋書を書いておいて、そのための検証の第1歩として自分で勝手に活動しちゃう。反応がでたら、それをエビデンスとして口説きに行く。
光村
日本の大企業では必ずしも定着していない考え方だと思いますが、事業のタネを探す、タネを植える、水を撒いて目を出す、育てる、収穫することって、全部一人でやらなくてもいいのかなと思ってます。それぞれを得意とする人がいるはずだから、役割分担を前提に組織や制度を設計してもいい。なので、タネを見つけて、ある程度自走できる状態になった後、事業を渡せる人を見つけおく努力もしておく必要はあるかもしれません。

イントレプレナーは経営者視点を持つ?大企業での戦い方とは?

光村
「C.自分を知り伝える」の要素として「経営者と同じくらい高い視点で語る」とありますが、お二人は経営者視点を持っている自覚はありますか?

矢野
経営者視点といえるかわかりませんが、自分のアクションが、B/SとP/Lの中でどういう位置づけになるか?会社のビジネスモデルにどう変革を起こせるか?ということは常に考えていますね。
光村
大企業のイントレプレナーなら、「大企業流の戦い方」というものも意識せざるを得ないですよね。大企業って、既存事業に最適化された組織になっていて、その中で新規事業やイノベーションを起こすのは、ある種の無理ゲー感もあるんじゃないかと、個人的には思っています。例えば資金調達でいえば、起業家は数多くのVCや投資家の中に一人でもお金を出してくれる人がいればいいわけですが、イントレプレナーにとっての投資家は自社の社長一人だけで、社長にNoと言われたらそれで終わり。それでもなお、大企業でやっていくと決めているのは、規模が大きいからこそできることが、自分のやりたいこととつながっているから。だから大企業で戦っていくには、自分のやりたいことを否定されないように、組織の文脈に編集してつなぐことが重要ではないかと思います。そういう意味でお二人は、社内政治とか、場合によっては抵抗勢力との戦い方みたいな話で、ご苦労も多いかと思いますが?
矢野
簡単ではないし、実際それでストップがかかったこともあるので、乗り越えるための戦術を立てていますね。例えば、事業をやる前からエビデンスを作っておくことなども重要だと思ってます。
三石
例えば社内の新規事業コンテストは、社内の力関係を知る良い機会でしたね。誰がYesといえば、狙ったストーリーが描きやすいのかが、わかるようになりました。私も過去は、通常のお作法に則ってボトムアップで提案していましたが、はじき返されつづけて、企画が通らないことに悩みながら現場でもがいていました。そんな時、私のメンターになってくれていた人が見かねて、私とメンターと部門長の飲み会の場を設けてくれたんですよ。そこでメンターが部門長の考え方をいろいろと引出してくれたことで、上の人の考えへの理解を深めることができました。
光村
お二人とも今の境地に至るには、結構な時間と苦労があったと思いますが、諦めずに続けたから飛躍できる瞬間にたどりついたのでしょうね。

イントレプレナーはなぜ、不確実性の中で進み続けられるのか?

光村
「D.多様な仲間と共に」について。最近はオープンイノベーションと多くの人が言っています。自分や自社だけで新しい価値を作るのは難しいから、外の人とつながろうと。その文脈とすごくマッチしていますね。お二人は社外の仲間とつながろうとする意識はありますか?
矢野
すごく意識しています。そうなったきっかけは、始動という経産省の起業家育成プログラムに参加した時で、自分だけでは事業プランを詰め切れませんでした。
三石
私もまったく同じです。新しいことをやるときは、分からないことがたくさんあるので、相談できるプロフェッショナルな人達とのつながりが、非常に支えになっています。
光村
「分からないことがたくさんある」と考えられることはとても大切ですよね。新規事業やイノベーションに取り組むことは、分からないことに挑戦すること。地図も羅針盤もない状況で、せめて「あっちかな?こっちかな?」と言い合える仲間がいないと、不安で前に進めないですよね。

光村
「E.活動力の源泉」では、好奇心や楽しいという言葉もありますが、お二人はいつも楽しそうですよね?笑
三石
楽しいです!楽しく行動していると、周りの人たちも面白がってくれたり後押ししてくれて、また楽しく動ける環境ができていく、というサイクルができています。
矢野
私は仕事と遊びの境界はほぼないですね。人を巻き込むには、まず自分が楽しんでいることが大切だと思います。例えば、矢沢永吉さんって、歌だけじゃなくて生き方そのものに引き込まれるじゃないですか。
光村
今の話を聴いて、仕事観って変わってきているなぁと思います。昔は仕事がある種の苦役であり、給料や出世は耐えたことへの報酬という価値観もあった。でも今は苦役よりも、楽しさとか好奇心が大切になってきた気がします。
猪俣
ビジョンやモチベーションからドライブしていこうという傾向はあると思います。現状の維持や改善をしていく仕事なら苦役でもよかったかもしれませんが、新しいことやろうとしたときに、苦役から主体的なアクションは起こらないですよね。

イントレプレナーにとっての成長とは?出世とは?

光村
調査結果の考察に「覚醒したイントレプレナーは成長し続ける」とあります。成長のために努力することは大事だとは思うが、成長や変わることが目的ではなく、イントレプレナーをやっていること自体が、自分が変わり続けることだと思います。なんか、そういう人って飽きっぽいですよね笑

矢野
今のことに飽きられるから、次のことができる、という感覚ですね。
三石
私も飽きっぽいです笑 変わり続けることは、意識もせず自然にやっていますね。例えば、常にお客さんからフィードバックをもらいながら、変わり続けている。自分は面白がって突き進んでいるから苦だとは思いません。
光村
入山章栄さんがよくおっしゃっている「両利きの経営」では、知の探索と知の深化の両方が重要だとされていますが、お二人は明らかに探索型ですよね。ただ、探索しつづけていると、新しい価値観、時には受け入れがたいものにも出会いますよね。それを自分の価値観に照らして拒絶するのではなく、まずは一旦受け止めて咀嚼したりします。
矢野
コンテンツ業界にいると、ヒットはしているが自分は全く興味を持てないコンテンツもあります。でもヒットする理由は知りたいので見てみると、共感はできないけど部分的に理解できることも見えてきたりします。変わり続けるためには、インプットを意図的に選択することが重要なんじゃないかと思います。
光村
ではちょっと生々しい話にもなりますが、今回の調査結果と近い概念に「ソーシャル・イントレプレナー(社内社会起業家)」があって、ソーシャル・イントレプレナーは社内出世を目的としないのだという説明があります。お二人は、社内出世を目的に生きている感じはしないですね笑
矢野
そうですね笑 社内出世を目的にしていたら、もう少し利口に生きていると思います笑
三石
私も出世が目的ではないですね。
光村
一方で、会社の力を活用するためには、出世して、権力・権限をもって社内の人を巻き込むことも必要ではないか?という考えもある。どう思いますか?
三石
役員になりたいとは思わないが、裁量は持ちたいと思う。幸い自社は、キャリアの道としてマネジメントとスペシャリストの2軸があって、私はスペシャリストの道で、ある程度裁量を持てています。あとは、自分を後押ししてくれるパトロンのような人とコミュニケーションすることで、補填している。
光村
なるほど。ゼネラルなマネージャーとしてではなく、専門性を活かして裁量権や社内への影響力を持つと。肩書は偉く見えなくても、実の部分ではちゃんと出世しているということですね。
矢野
弊社にはパーソルさん程ハッキリと制度化されていないので、自分で立場をつくる、ある種の政治みたいなことは必要だと思います。そのためには、既存の仕事でも一定以上のパフォーマンスを出せると示す必要があります。だから結果的に、ある程度の出世は必要になってくる。
光村
なるほど、微妙な落としどころがあるんですね。

イントレプレナー覚醒のきっかけは?サラリーマンの鎧を脱ぐ・・・

光村
今回の研究では、イントレプレナーが覚醒に至る経験について調査してきましたが、お二人が覚醒したきっかけとなったエピソードを詳しく教えてもらえますか。

三石
先ほど話したリーマンショックは、視座が会社起点から社会起点になる価値観の転換点でした。その後、価値観は変わったけど事業につなげられない、ふわふわしてた時期があったんです。そんなときに社内の新規事業コンテストに参加したことが、2つの意味で大きなきっかけでした。1つは経営の観点で必要なことへの解像度が高くなって、経営陣と直接コミュニケーションできるようになったこと。もう一つは、分からないことがあれば物怖じせずに飛び込んで教えてもらうスタンスができたことです。事業プランについて分からないことが多かったので、事業開発で有名な人をTwitterで探して「自分のプランにフィードバックをください」とメッセージを送りました。今考えると恐ろしい話ですけど笑。その方の仕事先がたまたま近かったので、会ってフィードバックをくれました。その方とは今もつながりがあります。
光村
その動き方って、すでに覚醒してますよね笑 常識で考えたらそんなことしないじゃないですか。なぜその時、自分にブレーキがかからなかったんでしょう?
三石
当時は、それ以外に手段が思いつかなかったからですね。これをクリアしないと物事が進まない、アクションするしかないって思っていました。
光村
三石さんは子供のころからそういう人だったんですか?「イントレプレナーのマインドセットは生まれつきか?変わっていくものか?」というのは、大きな論点ですよね。
三石
どちらかと言えば、若いころから飛び込みがちでしたね。例えば、最初のキャリアがドイツなんですが、ドイツ語も話せないのに飛び込んで就職したり。
光村
矢野さんが変わった大きなきっかけはありますか?
矢野
三石さんのように最初から飛び込める人はうらやましいですねー。自分は最初から飛び込める人ではなかったし、内弁慶のようなところもありました。それが変わったのは、本気で勝負して大負けしたことがきっかけですね。30歳くらいのとき、ある会社の新規事業担当として入社しました。上司の提案した事業案がうまくいかない気がして「この案では無理です。私が対案を出します」と言ってしまったんですが、当時の自分の実力では対案をだしきれず、結局意味のないクーデターをしてつぶされたみたいな感じになってしまった。自分はなんて甘いんだろうと本気で落ち込んで反省しました。いかに良いことを言っても、結果負けたら意味がない。負けた理由に真剣に向き合って、足りないものを自覚して変わろうと思いました。どうしたら勝てるか本気で考えるようになりました。
光村
矢野さんはさらっと言いましたけど、サラリーマンが本気で勝負をすること自体、大変ですよね。雇用が保証されている中で、本気で勝負する瞬間ってあるのかな。

光村
これは参加者からの意見で、「自分にかかるブレーキは、初めから持っているのではなくて、就職してしつけられて、ブレーキの踏み方を学んでしまうのではないか?」と。私もそんな気がしてならないですね。子どものころからブレーキ踏んでる人なんていないのに、就活でリクルートスーツに身を包み、たくさんの同期入社の1人になり、会社のビジョンに共感するよう教えられ・・・。必ずしも悪いことではないけど、サラリーマンとしての鎧を着ていくプロセスがありますよね。その中でブレーキの踏み方を学んでいく。イントレプレナーと対照的な言葉に、いわゆる「サラリーマン」があるのかもしれない。そうすると、サラリーマンとしての鎧を脱ぐことが重要になりますね。
猪俣
サラリーマンの鎧は「サラリーマンとしてのバイアス」と言い換えることもできます。厄介なことにバイアスというのは一旦身につけると、それ自体に気づかなくなっていく。バイアスを外すために、例えば社外の人と触れ合い、外の視点から見ることで、そのバイアスに気づきやすくなることが有効かもしれません。

イントレプレナーは育成できるのか?

光村
今後、イントレプレナーという人材が求められることが多くなると思いますが、イントレプレナーの後継者は育っていますか?
矢野
育っているとは言えないかもしれませんが、会社が育てようとしていることは感じます。例えば社内起業のような制度もできていたり。イントレプレナーは必要のわりに人が少ないという認識です。
三石
次に続く人はなかなかいないかなと思っていますが、もしかすると自分が気づいていないだけかもしれないですね、大きな会社なので。そういう人が出てくる場や、つなぎ合わせる場が必要かもしれない。
光村
どんな機会を提供していけば、覚醒する確率が上がると思いますか?
矢野
2パターンあると思って、1つは三石さんのようにもともとイントレプレナー気質を持っている人をすくい上げることですね。もう一つは、もともとそういう気質を持っていない人に、転ぶ前提で機会をあたえて訓練する、ということが重要だと思います。
光村
かわいい子には旅をさせろということですね。
三石
現場視点と経営視点では見え方が全然変わってくるので、経営層とのコミュニケーションのパイプが重要だと思います。個人の経験から、現場だけであがいていても難しいと思うので。
猪俣
過去、日本企業ではメーカーを中心に「闇研」というものがあって、予算や残業を裏でうまくやりくりしてやりたいことをやっていた。ただし今は予算や残業の管理がしっかりして余白が無くなってきたので、難しいかもしれません。社内ではできないという場合、社外にそのような創発の場を求めるというケースも、調査ではありました。 会社外に一緒に戦う仲間や、サラリーマンの鎧を脱げる場を作ることも有効ですね。

イントレプレナーの覚醒を促すために

以上、本調査のインタビュー対象となっていただいたイントレプレナーのリアルなエピソードを紹介してきました。BASEQと二枚目の名刺は、社会にこのようなイントレプレナー人材を増やしていくべく、今後イントレプレナーのマインドセット”覚醒プログラム”を展開していきます。

調査結果をもとに開発したこのプログラムでは、社会に向き合う越境と、自分に向き合う内省を繰り返すことを通じて、マインドセットの覚醒を促していきます。今後、BASEQの主催するコミュニティ活動であるIntrapreneurs Networkの中で、実装していく予定です。

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ライター

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編集者

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カメラマン

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磯村幸太
ライター
慶應義塾大学大学院SDM研究科・研究員/IAF認定プロフェッショナル・ファシリテーター。企業,NPO,自治体等にて、人材・組織開発,オープンイノベーション,社会課題解決等の変革をファシリテーターとして支援する傍ら、大学研究員として人材・組織分野の研究を行っている。  note: https://note.com/kota1106
海野 千尋
編集者
2枚目の名刺webマガジン編集者。複数の場所でパラレルキャリアとして働く。「働く」「働き方」「生き方」に特化した取材、記事などの編集・ライターとして活動している。