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副業はなぜ後ろめたい?―「隠れ副業家のホンネの話。」イベントからその理由を探る【後編】―

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2019年7月22日に行われたイベント「隠れ副業家のホンネの話。」を二枚目の名刺広報がレポート!

【前編】では、イベントで語られた「副業による後ろめたさの背景」を紹介しましたが、皆さんはもうお読みになりましたか? >読んでいないので、前編から読む

【後編】では、「副業の後ろめたさと付き合っていくために、どうすれば良いのか」ということを、筆者なりの見解を交えながらレポートします。

副業の“後ろめたさ”とうまく付き合っていくために

副業をする中で生まれる“後ろめたさ”の解決策、“後ろめたさ”とどう付き合っていくかというテーマでは、
・仲間を増やす
・本業にも役立っていることをつくり、アピールできるようにする
・副業をすること自体のメリットを伝えていく
・いい意味で「鈍感力」を発揮する、気にしないようにする
といった意見が出ました。

話し出すとなかなか止まらないテーマの中で、私が参加したテーブルの中では、「仲間を増やす」「本業にも役立っていることを話せるようにする」という2点で話が盛り上がりました。

「仲間を増やす」方法は2つ。社内で同じように活動している人を見つける、ということと、今回のイベントのように会社の外で、副業仲間と繋がるということです。

副業家同士が集まって自分の活動についての紹介をしたり、「後ろめたいのはなぜだろう?」という疑問について話し合ったりすることは、会社の人には言わずに一人で活動しているとなかなかない機会。言葉にして相手に伝えるということを通じて、自分の中でも改めて副業の意義を整理できたり、新しいやり方が見つかったりする、そして同じ活動をしている人同士で繋がる面白さがある、という話が出ました。

“後ろめたさ”はなくならない!?

様々な意見が上がったのですが、私が参加したテーブルでは「やっぱりまだ会社の人には話さない、このまま話さないで活動を続けていくつもり」という人が多く、この「後ろめたさ」というのはなかなか根深く、なくなることはないのではないかというのが私の今のところの結論です。なぜなら、これは「副業」に限ったことではないから……。

本業と副業を持つ人は、本業で関わる人たちに申し訳なさを感じると同時に、副業で関わる人たちにも「本業中の時間は対応ができない」という申し訳なさを感じることがあります。そしてこれは副業に限らずきっと、働きながら育児や介護をしている方、地域でボランティア活動をしている人や、友人関係、家族に対しても同じではないでしょうか。

「この時間しか活動できなくて申し訳ない。」
「仕事があって参加できなくて申し訳ない。」
「家族の事情で早く帰らないといけなくて申し訳ない。」
「仕事が長引いて、一緒に過ごす時間が取れなくて申し訳ない。」
「任せっきりで申し訳ない。」

こんな気持ちは、実は誰にでも日常のあらゆる場面で生まれていて、もしかしたらなくなることはないのかもしれません。

後ろめたさをパワーに変換する“コミュニケーション”

「後ろめたさ」はなくならないかもしれないけれど、その後ろめたさを前向きに捉えるのか、後ろ向きにばかり考えてしまうのかはその人次第です。

後ろめたさはありつつもそれを原動力に変えるためには、いかに自分と関わる人たちやそのコミュニティの中で、お互いに協力し合えるような関係性を築くことができるのか、普段から周囲とのコミュニケーションを取っておくことがカギなのかもしれないと今回のイベントを通じて強く思いました。

自分自身としては、「申し訳ない」と思うからこそしっかりやりきろうという気持ちになるでしょう。でもそれは、まわりの人にも伝わっているでしょうか。まわりの人と、応援や協力をしてもらえるような関係がつくれていれば、後ろめたさはありつつも、「できる時間の中で頑張ろう」「自分もサポートしてもらっている分、今後はあの人をサポートしよう」と思えるのではないかと思うのです。

同じ「副業」ではないかもしれないけれど、隣のあの人も、同じチームのあの人も、何か会社の仕事ではない自分の活動、自分の時間、会社とは違う顔があるはずです。人は、「分からない」「知らない」人やことには身構えてしまったりネガティブに捉えてしまうもの。でもお互いにどんな想いでいるのか、どんなことをしているのか、したいと思っているのか、知っていると、理解したり協力したりすることができます。

いきなり「私、副業しています!」と公言することは難しいかもしれませんし、する必要もないかもしれません。ですがちょっと隣の人と、会社の仕事以外のことも話せる、知っていけるようなコミュニケーションをとることが、お互いに気持ちよく、本業も本業以外の活動もできる秘訣なのかもしれないなと思いました。

自分の副業にも、会社(同僚)への理解にも「言語化」がカギ

最後に、上記で述べたコミュニケーションのためにも、社内・社外で仲間を増やすためにも、そして何より自分が副業や兼業でよりよい変化をしていくためにも、「言語化」は大切なポイントだと思いました。

・なぜ副業をしているのか
・何を目指しているのか
・副業をしてみてどうか(変化や実績、他に活かせることはあるか、など)

この3点を改めて自分の中で言語化=明確化することで、自分の活動を振り返り、自分の活動の動機を確認することができます。明確にすることができれば、会社の中で周りの人へも話しやすくなります。会社の人に話すハードルが高ければ、まずは社外の人、今回のようなイベントの場で同じような仲間をつくり、お互いに話すことでより自分の中でも言語化しやすくなるでしょう。そうすることで、会社の中でも話しやすくなるのではないでしょうか。

そして、副業での経験を本業でも活かすことができれば、自分にとっても会社にとってもプラスになります。副業のどんな経験を本業に活かすことができるか、まずは言語化することから初めてみるといいかもしれません。

副業の経験を本業に活かす方法はこちらをチェック!

越境学習研究者が説く、2枚目の名刺の学びを1枚目の名刺で活かす3ステップ【導入編】

今回はイベントのタイトルに合わせて「副業」という言葉を使っていますが、実際に集まった副業家の中には報酬をもらっている人もいれば今はまだ無報酬という方もいました。また自分で会社を立ち上げて行っている人もいれば、個人で契約している人もボランティアで行っている人もいました。

石山教授からも、「パラレルキャリア」の定義についての紹介がありましたが、改めて「副業」「複業」「兼業」「パラレルキャリア」など表現も多様化し、それぞれの言葉から認識する内容が人によって様々違うな、もっと世の中的に共通認識が広がればいいなと思いました。

私は「本業」「副業」というメインとサブ、のような言い方はあまり自分の感覚にはフィットしません(収入でみると、メインとサブになっていますが)。人によって副業を始めた動機や将来的に目指していることも様々ですので、ルールをつくる組織側も大変といえば大変ですよね…。でもだからこそ、個人同士も、個人と会社の間でも、お互いを理解し合い、どうしていくことがベターなのか、丁寧に対話を続けていく必要があるなと感じました。

※このレポートは、「隠れ副業家のホンネの話。」の主催者に許可を得て、非公開のイベントをレポートしたものです。文中の資料も、当日のイベントで使用されたものを一部加工し、流用させていただきました。

 

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藤﨑梢(ふじさきこずえ)
ライター
NPO法人二枚目の名刺 広報・バックオフィス担当。二枚目の名刺の他、HR業界・整体の仕事をしながら鍼灸師の資格取得のため専門学校へ通学中。「はたらく×カラダ」をテーマにパラレルキャリアを模索している。 大阪出身・大阪大学卒業、組織コンサルティング会社やITサービス企業での営業経験、事業会社での採用・広報・接客(トレーナー)・バックオフィス経験など。
はしもと ゆふこ
編集者
女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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