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多様化する地域の課題。子どもと街のポテンシャルを最大限に引き出す新しい「学びの形」

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学校教育で今求められている、主体的・能動的に学ぶアクティブラーニングの実践。それは、知識を暗記するだけの受動的な学び方から、自ら課題を見つけて考え解決する学び方に変えようとするもの。そのアクティブラーニングを学校ではなく、夏休みに自分たちの住む地域を舞台に実践しようとするプロジェクトがあります。それがKids Experience Designer 植野真由子(うえのまゆこ)氏によるSocial Kids Action Project、通称SKAPです。

SKAPは、小学生の子どもたちが地域の大人たちとの対話を通じて街の課題を見つけ、解決するために自発的な活動を行うプログラム。渋谷・原宿を舞台にしたSKAPの開催は今年で三回目。夏休みの5日間を使って、原宿の街でフィールドワークを行い、街の課題を見つけ出し、最終日には渋谷区長をはじめとした地域の大人たちにその解決策の提案を行います。本レポートでは、2017年のSKAPでサポートスタッフとして参加した筆者からの視点で、今年のSKAP最終報告会の様子をお届けいたします。

(プログラム期間中、小学生は街に出て、街で暮らす人や街で働く人など、様々な大人にインタビューを行います)

社会の課題を自分の課題として落とし込むこと

SKAPのプログラムの特徴の一つは、自分の意見や考えを5日間を通して常に求められていることです。「あなたは今の原宿をどう思いますか?」「あなたはインタビューした大人の意見に対してどう考えましたか」など、自分はどう考えたか、感じたかという問いがプログラムのなかで何度も繰り返されます。最終報告会で子どもたちが提案する内容は、子どもたちが自分主体で5日間考え抜いた成果とも言えます。そのため子どもたちは、フィールドワークを通じて発見した課題、それに対する解決方法を、「私」を主語にして堂々と発表していました。

(最終報告会には、渋谷区長も来場。実現への可能性を秘めたプログラムであるだけに、子どもたちの提案にも力が入ります)

特に印象的だったのは、必ず子どもたちが実現のために「自分はこれから何をするか」を宣言していること。

例えば、自然を守るロボット開発を提案した子どもは、「私ができることは、友達とゴミ拾いをしたり、ロボットのデザインを考えたりすることです」と発表していました。また、誰もが楽しめるお祭りとその後のゴミ拾い活動を提案した子どもは、「商店街の欅会の人たちにお祭りに協力してくれる人を集めてもらうようにお願いしたりします」と実現にむけた今後の具体的な行動を発表していました。

子どもたちは、社会の抱える課題に対して自分の案を発表するだけではなく、課題解決や実現のために自分になにができるかという具体的な行動にまで提案内容を落としこんでいます。この、自分に何ができるかという当事者意識が重要です。子どもたちが当事者意識を持って提案することで、発表した案を単なる「絵にかいた餅」で終わらせてしまうのではなく、実現に向けた一歩が踏み出せるようになります。

(様々な職業の大人に話を聞くことで、新しい価値観に触れられたり、知らなかった世界を垣間見られることも)

プロジェクトが終わっても子どもたちが主体的に活動できる

そして一歩踏み出して、SKAPで提案したことを実現するために活動した子どもたちがいました。今回の最終報告会では、過去2回のSKAPプロジェクトに参加した子どもたちで、自分の提案したことの実現に向けて活動をした4人の子どもたちによる成果報告も同時に行われました。

SKAPは参加して終わりではありません。SKAPに参加した子どもたちは、プロジェクト終了後も自分で考えて活動を継続しています。具体的には、様々な世代との交流を目的とした落ち葉拾い大会の企画・開催、ラフォーレ原宿とコラボしたユニフォームを用いた小学校での清掃活動の実施、観光客向けに原宿の人気スポットをまとめたパンフレットの制作・配布など。子どもたちが、協力を大人に呼びかけながら活動を続けた成果は、大人も驚くほど素晴らしいアウトプットでした。

(子どもたちが被っているお揃いのキャップは、過去のSKAP参加者がラフォーレ原宿とコラボして製作したもの)

これだけ子どもたちに主体性を持って行動できるだけのやる気と行動力を与えるのは、SKAPの魅力の一つと言えるでしょう。「私」を中心に主体的に考えること、そして自分には何ができるか当事者意識を持つことが、子どもたちと原宿のまちに可能性を与えているのです。

2年前のSKAPから変化したこと

2年ぶりにSKAPに参加し、子どもたちの成果発表を聞いて、この2年でも子どもたちを取り巻く環境は大きく変化していることを感じました。

例えば、同じプログラム内容を実施していても、子どもたちが見つける原宿の課題は2年前と今回では大きく違います。2年前は原宿のコミュニティの強化やセキュリティ対策といったことが多くのテーマになっていましたが、今年多かったのはごみ問題。ごみ問題の背景には、観光客の増加や容器が大きいタピオカドリンクの流行など、今の時代を反映した事象がありました。

また最も変化したと感じたのは、課題に対するアプローチの方法。子どもたちが利用できる解決の手段となりうるものが増えていると感じました。特に、スマートフォンやインターネットを利用した解決のアプローチが増えていました。

例えば、ゴミをゴミ箱に捨てるとポイントがもらえるアプリの開発という提案。アプリでゴミ箱の場所を知ることができて、ゴミを捨てた際のポイントを集めればアプリ限定商品がもらえるというもの。アプリ開発の技術と地域の協力があれば、すぐにでも実現できる提案です。今年の発表では以前よりも、提案や実現のために使う手段の具体性が増していて、提案の実現可能性が確実に増していると感じました。

(提案に対する賛同者を見つけて、形にしていくのがSKAPの醍醐味。そのため、実現性の高いアイデアが多いのが特長です)

他にも、昨年度提案した内容の成果報告でも今どきらしいアプローチの方法がありました。「観光客にやさしい街 渋谷を目指して」というテーマで、渋谷にあるお店や住む人が観光客に道案内をする意思表示ができるステッカーの制作をした子は、ステッカーの制作にかかる費用を集めるのに、クラウドファンディングを活用していました。もちろん、クラウドファンディングのためのサイトに掲載する文章や資金をくれる人へのリターンの内容も自身で考案しています。

●関連記事はこちら↓

「外国人がもっと観光しやすい原宿に」小学生がクラウドファンディングに挑戦!

このようにたった2年の間でも、「大人にしかできなかったこと」が「子どもでもできること」に変化してきていました。これからますます、大人や子どもといった年齢、場所などに関わらずあらゆる人が様々な課題解決の手段にアクセスできるようになるはずです。そういう世界になるからこそ私たちに必要なのは、現状に対してどんな課題を見つけ出すか、そして多様な手段があるなかで最適な手段を見いだし、それを用いて行動できるかです。これは、大人や子どもを超えて共通する課題になってくるでしょう。

(自分が通う小学校以外の仲間と出会い、意見を交わしながらプランを形にしていきます)

「最強で最高な小学生」から大人が学ぶべきこと

最後の講評で、「小学生は最高・最強です」と話していた植野氏。その理由について、「誰一人としてもできないと言って投げ出さないからです。そして、なにより小学生にはパワーがあるからです」とおっしゃっていました。

まさに小学生が最高で最強なことを感じられたのが、今回のSKAP最終報告会でした。原宿の街を変えるというと、大がかりなことに聞こえるかもしれません。しかし、小学生のアイディアが着実に街を変える波となって街に波及していました。

私たちが住む場所―それは街という単位でもいいし、日本や地球全体といった大きな単位でもいいのですが―、には今、必ず何かしらの課題があります。それは、社会課題と言われそれに取り組むことが社会貢献と呼ばれますが、自分主体でできることを考えようとすると大それたことはできないと尻込みしてしまったり、見て見ぬふりをしたりしていることが多いのではないでしょうか。ですが、実は小さなアクションから私たちの住む場所をよりよい場所にすることができることをSKAPに参加した小学生たちが教えてくれます。私たち大人が、最高で最強な小学生たちから学ぶことがたくさんあるように思います。

●SKAPに関する過去のレポート・インタビューはこちら

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篠崎紗英
篠崎紗英
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社会人2年目のSE。学生時代は教育系NPOのインターンとして、子ども向けイベントの企画・運営や障害児支援活動に携わる。入社後「社外の人ともっと出会ってみたい」という思いから2枚目の名刺での活動を開始。執筆活動を中心に活動中。
はしもと ゆふこ
はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。
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