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【イベントレポ】複業フェス2017「働き方改革のパイオニア企業に訊く!なぜ今、『副業解禁』なのか?」

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2017年5月14日(日)、東京都中央区月島のシェアアパートメント「月島荘」で、複業をテーマにしたイベント「複業フェス」が開催された。

「二兎を追って二兎を得られる世の中」を目指す株式会社HARES(代表:西村創一朗)が主催の本イベント。会社員の副業解禁の流れが社会的に高まっている中で、複業(副業)に取り組む人や、これから取り組もうとしている人にとって参考となる情報やネットワークづくりのため企画された。

(Session1)
「働き方改革のパイオニア企業に訊く!なぜ今、「副業解禁」なのか?」
・青野 慶久 氏(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
・中村 龍太 氏(複業家 サイボウズ株式会社/NKアグリ株式会社)

(Session2)
「『人生100年時代』を生き抜く新しい働き方とは?」
・黒田 悠介 氏(フリーランス ディスカッションパートナー)
・平田 麻莉 氏(プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事)
・新井 一平 氏(株式会社瞬 代表取締役CEO / アマチュアカレーグランプリ優勝者)

(Session3)
「会社を辞めずにやりたいことにチャレンジする “複業家” の生き様とは」
・正能 茉優 氏(株式会社ハピキラFACTORY 代表取締役 / ソニー株式会社 新規事業開発担当)
・千葉 智之 氏(株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー アカデミー長)
・九鬼 豊広 氏(株式会社エス・エム・エス / 株式会社muljob 代表取締役社長)

以上の3部構成で、それぞれゲストスピーカーが講演を行った。

ーーー

「複業フェス2017」レポートは全3回!
第1部:「働き方のパイオニア企業に訊く、なぜ今『副業解禁』なのか」
第2部:「『人生100年時代』を生き抜く新しい働き方とは?」
第3部:「会社を辞めずにやりたいことにチャレンジする “複業家” の生き様とは」

―――

第1部のテーマは「働き方改革のパイオニア企業に訊く、なぜ今『副業解禁』なのか」

東京都に本社を置くソフトウェア開発会社「サイボウズ」。キントーンなどのツールを職場で使用している読者も多いのではないだろうか。サイボウズは多様なワークスタイルを認めることでも知られ、その一つとして2012年から社員の副業を認めている。業務や会社資産と関係ないものは、上司の承認も報告する義務もなく自由に行うことができるというこの制度、導入の背景や成果とは?

ゲストはサイボウズ株式会社代表取締役の青野 慶久氏と、社長室所属の社員で農業法人などとの複業を実践する中村 龍太氏。経営者と副業第1号の社員、それぞれの立場から話を聞いた。

1)サイボウズが副業解禁した理由とは?

サイボウズが副業を認めたきっかけは、龍太さんの入社である。もともと外資系IT企業に勤めていた龍太さんは、かなりの高給を得ていたそうで、サイボウズへの入社に際し、給料面での待遇に差が生じてしまうことになった。そこで給与以外にサイボウズとしてできることはないかと考えた結果が、副業を認めることだったそうだ。

「副業を禁止する理由がなくなったから」
そう語るのは青野社長だ。当時進めていた働き方の多様化と矛盾していた「副業規定」。厚労省の作った就業規則のテンプレートにある副業規定を多くの会社がそのまま用いているが、そもそも副業を認めないことへの積極的な理由はない。そうであればまずはやってみようということで、サイボウズとしても新しい働き方を開拓していくことになった。

(サイボウズ株式会社代表取締役の青野慶久氏)

2)副業のメリット・デメリットとは?

副業を公認してから約5年。見えてきたメリットがある。

青野社長が語る、会社にとっての副業のメリットは、「事業領域の拡大」を実現できたことだ。従来は、オフィスワーカー向けのサービスだったサイボウズの製品。農業という副業を持つ龍太さんが、農業分野で使用することで、農業界でサイボウズのツールを使用することが一般化したそうだ。

また、採用力が高まったこともメリットの一つだという。多様な働き方を認めたことで、サイボウズの業務を副業にして週1回働く人もいる。企業としては「ちょっと手伝ってくれる優秀な人」が重宝するそうで、正規雇用すれば高給な人でも比較的気軽に仕事を頼むことができるようになったそうだ。

さらに、副業を行う社員は稼ぐ感覚が身に付き、経営者視点が養われる。社員の成長力が高まったという点でも成果があった。「他流試合をしない人間は強くならない。物事を見る視点を一段上にあげる意味で必要なことです」と青野社長。

それでは、働く側の龍太さんの立場ではどうだろうか。もちろん収入という面でのメリットはある。だがそれ以上に大きいのが「スキル・知見(人的資源)が加速度的に増えること」だと龍太さんは語る。

例えば、IoTを使ってリコピンの豊富なニンジンの収穫時期を予測することを日々実践している龍太さん。気づけば農業分野でのIT活用の第一人者となり、各地のイベントで講演する機会も増えたそうだ。その結果、自己有用感や幸福感が高まり、「次に何をしようか」と考えるいいサイクルができているという。

逆にデメリットはあるのだろうか? 青野社長は「情報をアウトプットするときに、本業で得たものなのか副業で得たものなのか、線引きが難しい」と語る。そこはサイボウズも課題として解決法を模索してきたそうだ。その一方で「時間が無くなる」「疲れて健康を害する」「二兎を追う者は一兎をも得ず」になると一般的に言われるデメリットは当たらないという。

3)企業は副業解禁すべきか

ワークスタイル改革の先進者として大手企業の相談にものっている青野さん。世の中の企業は副業解禁すべきか否か。どのように考えているのだろうか。

答えはいたってシンプルで、「経営戦略として、解禁しないと会社が沈没する」というものだ。

男性営業マンが歯を食いしばって頑張るモデルでは利益率が上がらなくなくなった時代である。とある製造業大手はアメリカのようなハイバリューなビジネスモデルをやりたいが、やり方がわからないと青野さんに相談しているそうだ。副業解禁で他流試合をすることが、新たなビジネスモデルを拓く術となる。

また、国の視点で見れば、人口減少で人手不足が深刻化する中で、一社で人を囲うよりも一人で何役もこなすほうが良いと青野さんは言う。それは、男性が家事育児に取り組むのも、女性がキャリアとして働くのも同じ文脈といえそうだ。

青野さんが米シリコンバレーを視察して感じたことは「シリコンバレーは、シリコンバレーという一つの会社」だということだ。会社を横断した情報共有の場があり、オープンイノベーションの発想で社をまたいで知識が早く広まる。その結果、イノベーションを起こしてきたのではないかと。

かといって、シリコンバレーがアメリカの標準かというとそうではなく、アメリカでも複業は一般的でない。だからこそ、日本でのハイブリッドなモデルができれば、世界にも輸出できると考えているそうだ。

龍太さんは言う。「みんながみんな副業をしたいわけではないでしょうが、したい人が選択できる会社が増えたらいいと思います。経営者が労働者は賃金払って言われたことをやってくれればいいと考えていたり、働く側が言われたことだけやっていればいいと考えたりしている会社ではうまくいかないでしょう」。

個人のレベルで副業をOKするかどうかではなく、副業をイノベーション創造のための方法としてとらえ、経営戦略として用いていく。未来を見据えた視野の広さが、会社には求められているようだ。

(サイボウズ株式会社の副業第1号社員、中村龍太氏)

4)副業解禁に向けて最初の一歩は?

これから副業解禁する企業へのアドバイスとして、「立候補制・時限制でやってみること」を青野さんは勧める。

まずはスモールスタートで、やりたい人がやりたいというタイミングでやればいい。立候補にすればどの部署にどのような人がいるか可視化もできる。実務レベルでは、マネージャーの力量が試されるが、マネージャーとしても成長ができる。

雇用契約の面では、サイボウズでは業務委託と正社員をケースバイケースで分けている。業務委託、といっても外注ではない。週1回でも社員のような一体感をどう作れるかが課題だという。勤務時間が短いからこそ、信頼性が高くないと任せられないからだ。

―――

副業解禁の社会的な機運が高まっているが、実際に自分の会社で自由なワークスタイルを提案して理解してもらえるのか不安に感じている読者も多いだろう。経営者や管理職サイドも未経験だからわからないことでもある。「だからやらない」というのが世の中の大勢なのかもしれない。

そんな状況にある人は、今回紹介したサイボウズの実績・事例を職場でさらっと話してみてはどうだろうか。副業解禁に理があること、そして実績・事例で証拠が積み上げられれば、副業に対するあなたの会社の見方も少しは変わっていくかもしれない。

“未経験だから”やってみようというスピリットを、それぞれの立場で実行してみてはいかがだろうか。

続く

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大竹 悠介(おおたけ・ゆうすけ)
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ライター・編集者。まちづくりNPOなどで広報・イベントディレクション等を含む複業を実践中。早稲田大学大学院にて地域ジャーナリズムを研究した後、広告代理店を経て現職。2拠点居住やサテライトオフィスなど地方を舞台にした新しいライフスタイルに関心がある。
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