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12の事例を紹介!2枚目の名刺を持つのなら、まず読んでおきたい「パラレルキャリアの基本」
人生100年時代が叫ばれ、『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』や『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(ともにリンダ・グラットン著)のような書籍がベストセラーとなる今、注目されている「パラレルキャリア」という働き方。
“パラレルキャリアとは、2枚目の名刺を持つこと”と同義だと、NPO二枚目の名刺は捉えています。
では、具体的に両者がどのようなものなのか、ということをこの記事で説明したいと思います。
【1】パラレルキャリアとは
【2】パラレルキャリアが注目される背景
【3】副業とパラレルキャリアの違い
【4】パラレルキャリアのメリット
【5】パラレルキャリアの注意点
【6】パラレルキャリアを始めるには?
【7】スタイル別!パラレルキャリア実践者の例12選
【8】パラレルキャリアで人生はもっと豊かに。まずは小さく始めてみては?
パラレルキャリアとは
「パラレルキャリア」という言葉を生んだのは、オーストリアの経営学者、ピーター・ドラッカー。
そう、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(通称『もしドラ』)』(岩崎夏海著)でおなじみの、あのドラッカーです。
彼が著書『明日を支配するもの〜21世紀のマネジメント革命〜』の中で提唱した、これからの社会における新しい働き方の一つが「パラレルキャリア」で、本業以外に仕事を持つことや、NPOの活動や地域の活動などに参加することを意味しています。
パラレルキャリアが注目される背景
『明日を支配するもの』のなかでドラッカーは、人の寿命が延び、組織の寿命を超した現代の社会においては、個人は一つの組織にのみ所属し、依存するのではなく、自分の時間や労力の一部を「第二のキャリア」に費やすべきだと述べています。そして彼は、こうしたキャリアの築き方を「パラレルキャリア」と呼びました。
しかし、パラレルキャリアという働き方・生き方が求められるようになってきたのは、人の寿命が延びたことだけが理由ではないように思います。
SNSをはじめとしたソーシャルメディアの普及によって、個人が情報を収集したり、発信したりすることが容易になり、ビジネスパーソンが余暇の時間を使って社外活動に参加したり、週末起業しやすくなったこと、自分と同じ価値観を持つ人たちと繋がりやすくなったことも一因でしょう。
また、日本の経済が伸び悩み、終身雇用の概念が崩れたことで、経済的にも精神的にも本業先の企業に依存できなくなったこともあるかもしれません。
いずれにしても、私たちビジネスパーソンを取り巻く環境がここ数年で大きく変化したことがその要因となっていることは間違いないように思います。
副業とパラレルキャリアの違い
これまで本業外の時間に働くというと、「副業」がイメージされるのが一般的でした。では、「副業」と「パラレルキャリア」、両者の違いはでしょうか?
2枚目の名刺Webマガジンは、副業とパラレルキャリアとでは「主なる目的」が大きく異なると考えています。
・副業=お金(副収入)を得ること
・パラレルキャリア=自分の価値観で活動すること
副収入を得ることもあるけれど、“お金を得ること”だけが目的ではない。パラレルキャリアは、単にお金を得ることを目的としているのではない社外での取り組みのことを指します。
それは、「単にお金を得るための副業ではなく、自分が楽しむだけの趣味でもない。ベクトルを社会に向けて、一人ひとりが大切にしている価値観を表現し、社会のこれからを創る人を増やす」という二枚目の名刺のビジョンとも重なります。
そのスタイルは、「複業」や「兼業」「プロボノ」「ボランティア」「地域活動」「趣味から派生した仕事」とさまざまですが、 “ベクトルを社会に向けた”取り組みを、普段の組織や立場を越えて実践することが、パラレルキャリアであり2枚目の名刺なのです。
また、パラレルキャリアや2枚目の名刺の軸足は、あくまでも本業(1枚目の名刺)。社外活動で得た知識やスキル、人脈などが本業に活きることが多いのも特長です。
二枚目の名刺がNPOサポートプロジェクトに社員を送り、パラレルキャリアを人材育成や企業におけるイノベーションの源泉として活用する企業も増えてきました。
詳しくは>シリーズ「越境学習を科学する」をお読みください。
パラレルキャリアのメリット
1)多様性に触れ、視野が広がる
「今の会社の仕事にやりがいを感じ、それなりに成果も出してきた。でも、社外に出たときに自分は通用するのだろうか?」
「転職したいわけではない。でも、より多くの経験をしてみたい」
仕事に慣れてきた頃に抱きがちな「もっと成長したい」「スキルを磨きたい」「組織や社会に貢献したい」という意欲。
その想いを叶えてくれるものの一つがパラレルキャリア、つまり2枚目の名刺を持つことです。
一つの組織にいると、仕事の仕方やコミュニケションの取り方が画一化し、視野が狭くなってしまいがちです。しかし、組織が違えば、課題解決の仕方や連絡の取り方、会議の進め方、資料の作り方など全てが違います。業種や職種が異なれば、物事の捉え方も大きく変わるものです。
「本業の組織や仕事の改善点が見えた」「マネジメントの幅が広がった」というのは、パラレルキャリアの実践者からよく聞く話。バックグラウンドの異なるメンバーが集まり、取り組むプロジェクト等に参加することで、思いもよらない価値観や視点が得られ、それを本業に活かすことができるようになります。
「スキルアップ」や「自己研鑽」を目的に、パラレルキャリアを実践する人がいるのには、こうした理由が挙げられます。
2)得意なことがわかる、見つかる
本業先では皆が当たり前のように持っている知識やスキルが、社外に出るとありがたがられ、評価されることがあります。こうした「強み」に気づくことができるのも、パラレルキャリアの利点です。
もしそれが、「細かな作業も苦とは思わない」「傾聴スキルが高い」「ユニークな発想ができる」など、スキルではなく性質や気質によるものだとしても、社外で認められ、誰かの役に立つことがわかることは、本人にとっての自信にもなります。
また、普段の業務ではやらないことをパラレルキャリアでやってみたら、実はすごく向いていた、あるいは好きなことだったということも。未経験のことを気軽にチャレンジできるのも余暇の時間で行うパラレルキャリアならではのことです。
3)本当に好きなこと、やりたかったことができる
パラレルキャリアをやってみた結果、得意なこと、やりたいことが見つかるという場合もありますが、本当はずっとやりたかったことを小さく始めてみることもできます。
パラレルキャリアは誰に指示されてやるわけでもありません。本業外の余暇の時間を使うわけですから、本当に好きなこと、昔からやりたかったこと、夢を実現するための活動に充てられます。
また、本業とは他の組織に参加することだけがパラレルキャリア、2枚目の名刺を持つことではありません。下記の全てがパラレルキャリアであり、2枚目の名刺を持つことと言えます。
>仲間を集めて「空飛ぶクルマ」の開発をする
>フリーランスの領域を広げ、自宅で料理教室を開いてみる
>家事育児の傍ら手作りのアクセサリーを売ってみる
4)人脈が広がる
本業では出会えなかった人たちと出会えることも、パラレルキャリアの魅力の一つです。しかもパラレルキャリアであれば、年齢や業種・職種を問わず、自分と近しい価値観を持つ仲間と出会うことができます。
さらに何かしらの取り組みを一緒にやることで、異業種交流会などのような浅く広い関係ではなく、一体感ともいうべき深い関係性が生まれる可能性も高まります。
すぐにとはいかなくとも、いずれは本業に還元され、ビジネスの場でも相互に利益を生むことにつながるかもしれません。そうでなくとも、いざというときに頼りになる、信頼できる仲間が増えることに違いありません。
5)未来の仕事や暮らしに対する備えになる
副収入を得ることが第一の目的ではないのだとしても、パラレルキャリアを実践することで収入が増えることがあります。
社外活動自体が収益を生む場合もありますし、パラレルキャリアをやりながら必要に応じて身につけた知識やスキルによって、本業先や転職先での昇給があることも考えられるからです。
こうした組織に依ることのない自らのスキルや知識による収入は、人生100年時代において、揺らぐことのない大きな自信となります。
お金の面だけではありません。ベストセラーとなった『下流老人』(藤田孝典著)で、著者は、老後も貧困に陥らず、安心して暮らしていくための対策の一つとして「密な人間関係」をあげています。また、収入が主目的の「仕事」である場合、退職後に人間関係が疎遠になり、仕事をしようにも有り付けず、貧困に陥ってしまうのだとも述べています。
つまり、自分の価値観に従った“第二のキャリア”こそが、収入の面でも、人間関係の面でも、未来の自分を守ることになるのです。
>パラレルキャリアのメリットをもっと知りたい方は次の記事をお読みください。
パラレルキャリアの注意点
これまでに述べてきたように、パラレルキャリアには多くのメリットがありますが、一方で注意しなければならない点もあります。
それは「本業も2枚目の活動も大事にする」ということ。
これまでに2枚目の名刺Webマガジンがインタビューしてきたパラレルキャリアの実践者は皆、「本業も大切にしている」と口を揃えていました。
パラレルキャリアを始めてから、本業のパフォーマンスに支障をきたしてしまうと、周囲に「社外活動をしているからだ」と捉えられかねません。パラレルキャリアは、あくまでも本業があってこそ。本業先での評価が落ちてしまっては、元も子もありません。
こう言うと、「本業だけで手一杯だから、自分にパラレルキャリアは無理だ…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。企業人事の方からは「2枚目の名刺に注力しすぎて本業に手を抜かれては困る」といった声も多く聞かれます。
しかし、本業でも2枚目の活動でも、「与えられた時間や役割の中で、自分がやるべきことをしっかりとやる(やってもらう)」と決めてしまえばどうでしょう?
タイムマネジメントを身につけたり、生産性を高めることを意識してみたりすると、仕事のパフォーマンスが高まり、パラレルキャリアを実践することでのメリットをより享受できるのではないでしょうか。
自分に合った両立方法を見つけるのに、実践者の工夫や声を参考にしてみるのもいいかもしれません。
>パラレルキャリア実践者のライフスタイルを知りたい方にオススメの記事はこちら
また、本業先企業の就業規則に兼業・副業禁止の規定がある場合、人事部に確認するなどして、クリアにしておいた方が良いこともあります。
>兼業禁止企業に勤める方が、まず読んでおきたい記事はこちら
パラレルキャリアを始めるには?
2枚目の名刺Webマガジンでは、これまでに数多くの実践者を取材してきましたが、パラレルキャリアの始め方や2枚目の名刺の持ち方は一人ひとり異なります。
取り組むテーマも、子どもや教育に関わるもの、医療や福祉分野のもの、国際協力、復興支援、地域活動と、個々の興味関心に応じて違えば、その目的も「長年の夢を実現したい」というものから、「スキルアップしたい」「社会を変えたい」「自分が本当にやりたいことを見つけたい」といったものまで、多岐にわたります。
パラレルキャリアの始め方に正解はありません。少し気になってやってみたら、いつの間にかパラレルキャリアを実践していたという話も多く聞きます。
スタイル別!パラレルキャリア実践者の例12選
それでは、パラレルキャリアにはどのようなやり方があるのでしょうか?
これまでに2枚目の名刺Webマガジンで取材してきた、パラレルキャリアの実践者をスタイル別にご紹介します。
1)兼業・複業
他のパラレルキャリアのスタイルと異なるのが、兼業も複業も“報酬を得ながら”複数の仕事を掛け持ちすること。
兼業と複業はほぼ同義であるとも言えますが、複数の仕事の中に主従の関係があり、「本業」と呼べるものがある場合を「兼業」、どちらが本業なのか明確に区別できない場合を「複業」と呼びます。複業はより価値観に基づく働き方を指すこともあります。
>兼業・複業でパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
2)プロボノ
大きくはボランティア活動の一つですが、社会人が本業の専門知識やスキル、ノウハウを活かして行う社会貢献活動のことを指します。
本業に近しい役割を担うため、参加しやすく、続けやすいのがメリット。また自分のスキルや知識について、社会的な価値を客観的に知ることができたり、スキルアップが図れたりするという利点も。
>プロボノでパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
3)ボランティア
自発的に、無償で、共感する人や団体、活動をサポートすることを言います。特別な知識や経験、スキルがなくても、自分ができることをするため、誰もが参加することができます。
またこうした活動が、個人のやりがいや生きがい、人や地域とのつながりを生むことも多くあり、金銭面以外のメリットを享受することができます。
>ボランティアでパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
4)趣味・ライフワーク
「よし、2枚目の名刺を持とう!」「この団体にボランティアに行ってみよう!」と思ってパラレルキャリアを始める人ばかりではありません。
好きなことをしていたら、いつの間にか社会に貢献できていた。たまたま自分が直面した社会課題を解決することに使命感を抱くようになっていた。そんなパラレルキャリアの始め方もあります。
>趣味・ライフワークでパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
5)地域活動
「本業+家事育児で時間がない!」「家族を差し置いて、新しい活動なんてとんでもない!」。
そんなパパ・ママは、子どもと一緒に地域活動に参加することで新しい扉が開けることもあります。普段の仕事では関わりのない地域の人たちとタテ・ヨコ・ナナメの関係を築くことも、一つのパラレルキャリアの形。
>地域活動でパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
“社会は自分で変えられる!”小学生が地域課題に本気で取り組む「Social Kids Action Project」密着レポ
6)本業関連活動
目的を同じくする社内横断メンバーでオフ会を開く、あるいは社内留学制度などを活用して、いつもの組織を越えてみることもまた、パラレルキャリアの一つだと言えます。
二枚目の名刺では、現役公務員メンバーが、公務員が2枚目の名刺を持つことを後押しする「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」を実施。自分のいる業界を知ってもらうための活動をしたり、古き風習に風穴をあけるような活動をしたりすることも、これにあたります。
>本業関連活動でパラレルキャリアを実践している人へのインタビューはこちら
パラレルキャリアで人生はもっと豊かに。まずは“小さく”始めてみては?
ドラッカーは、パラレルキャリアを“第二のキャリア”のための働き方として位置付けていましたが、今目の前にあるキャリアにも還元される働き方だと思います。
キャリアに対する考え方や価値観が変化し、多様化する今、組織頼みのキャリアを構築するのではなく、「自分がどうしたいか」を常に意識し、動いていく必要があると思うのです。
この記事を読んでくださった方の中には、「パラレルキャリアを始めてみたいけど、どうすれば良いのかわからない」「本当にできるか不安だ」と思われている方もいるかもしれません。
そのような方は、興味や関心のある社会課題に取り組んでいるNPO団体で、3〜4ヶ月のプロジェクトが体験できるNPOサポートプロジェクトに参加してみることをおすすめします。きっと新しい働き方や視点に出合えるはずですよ。
NPOサポートプロジェクトがスタートする場「Common Room」の日程は>NPO二枚目の名刺のイベントページよりご確認ください
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